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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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番外編70 お魚さんを見に行こう10


 俺たちがオットセイとアシカを見ている間に静と早矢は大きなぬいぐるみをしまいに行っていた。

 まさか、ものの三分で戻ってくるとは思わなかった。


 「はぁはぁ……お、お待たせ……しました」「……した」

 膝に手をついて肩で息をしている。

 水族館でこんなに疲れている人を初めて見たよ。


 「して、何を見ていたのですか……ほう。オットセイですか」

 「よく分かったな。看板に書いてあります」

 「あ、そうね……」


 まさか、そんな返しをされるとは思わなかった。

 ユイと星羅は腹を抱えて笑っていた。

 寧々と早矢は眦を拭いながら笑っていた。


 「ところで、アシカとオットセイって何が違うの?」

 意外と博識の寧々が「こほん」と咳払いして答えた。


 「まず、顔つきと毛並みですね。オットセイは顔がほっそりと尖っていて、毛が密になってますね、アシカは鼻づら太く短いですね。ボールでバランスを取るのが上手です。それは鼻の周りにある毛でバランスをとってるんですね。あと、アシカの毛は短く硬いです。簡単に言うとこんな感じですね」


 「「「へぇー」」」

 「あと、耳たぶでも判別できますね。オットセイの方が大きいです」

 「「「へぇー」」」

 そんなことを話していたからだろうか、オットセイが泳ぐのをやめて、その場に留まって見つめていた。


 「やーんかわいいー」

 「あ、手振ってない?」

 「おおー、流石オットセイさんですね」

 「アシカさんも、こっち見てますねー」

 「本当ですねー」

 アシカも泳ぐのをやめて、その場で見つめている。

 オットセイとアシカが、再び泳ぎ始めたところで、次の場所へ向かった。


 そこには多くのフンボルトペンギンがいた。

 結構多くのお客さんが集まっており、看板を挟んだ位置で見ることにした。

 俺と寧々と早矢が看板の左側。

 右側にユイ、静、星羅と並んでいる。


 「結構端の方ですけど、近いですね」

 「岩の先端や泳いでるのがいるからですね」

 やはり、ペンギンは陸にいるとあんまり動かないみたいだ。


 そんな時、ペンギンのもぐもぐタイムが始まった。

 飼育員さんが、アジが大量に入ったバケツを持ってくると、それまでぼーっとしていたペンギン達が一斉に飼育員のお姉さんの所へ向かった。


 ペンギン達について解説しながら餌をあげているが、ちょっと鈍臭い子は、餌を食べられずにいた。

 嘴に当たって落とし、別の子に横取りされていた。

 それをじーっと、見ている間に他の子が、何度も食べていた。

 水中を泳いでいるのは、器用に食べているが、陸上では格差社会が広がっていた。


 「あの子、なかなか食べられませんねー」

 「他の子は上手に食べるんですけどね」

 「なんか、ああいう子ばっか見ちゃうよな」

 「ですね。なんか応援しちゃいますよね」

 「がんばれー」

 だが、相変わらず餌を求めて、よちよちしていた。


 そして、解説しながら飼育員のお姉さんは岩場を登り、橋の方へやって来た。

 後ろから何羽ものペンギンがついて来ている。


 「「「!?」」」

 丁度、静達の目の前だ。


 「えっ!? えっ!?」

 「え、うそ……ほんと?」

 「マジ? うそ……マジ?」

 三人とも驚いて戸惑っている。


 だが、ちゃんとスマホだけは固定して録画しているのは流石だと思う。

 そして、目の前で繰り広げられるもぐもぐタイム。

 こうして見ると、分かりやすい。

 解説と合わせて見ていく。


 アジを横向きに咥えると、器用に頭を下にして飲み込んでいる。

 結局食べられなかった子だけ、呆然としていた。

 ここでも同様に、落として、他の子に掠め取られていた。


 その後、小走りで駆け寄って、ついにご飯にありつくことができたところで、俺は寧々と早矢と顔を見合わせてしまった。

 「良かったですねー」

 「良かったな」

 「仲間に取られてましたもんね」

 「ある意味恋愛と同じですね」

 「そうかもな」


 チラッと静達の方を見る。

 「ちょっと、ペンギンさん達近くまで来たよー」

 「こんな奇跡があっていいのでしょうか」

 「もう、可愛過ぎるでしょ!」

 「だよね、だよね!」

 「ああ、今日は来て本当に良かった」

 「ホントよね。あ、この後餌やり体験出来るって」

 「それは参加しないといけませんね」

 「あーしもやるっしょ」

 「わたしもよ……って、光司どうしたの? そんなポカーンと、ご飯食べられなかったペンギンみたいな顔して」

 「そうですよ。あの愛らしい姿をちゃんと見たんですか?」

 「あ、もしかして、コージも感動した感じ?」

 平和だなぁ。


 「なんで寧々と早矢もそんな顔してるのよ」

 「あ、いえ、ペンギンさんがご飯食べられて良かったなーって」

 「ええ。最後の子も食べられて良かったですね」

 話を合わせる寧々と早矢。

 まぁ、実際見ていたしな。

 ただ、感想のベクトルが違うというか。


 「そうよね。最後に持っていくのは大事よね」

 「やるときはちゃんとやりましたね」

 「みんな食べられて良かったねー」

 合ってるんだか、合ってないんだか。

 まぁ、それが彼女達らしいというか。

 その後、ユイ、星羅、静と列に並んで餌やり体験をしていた。

 もちろん、寧々と早矢に撮影を頼んで。


 「かわいかったー」

 「かわいかったわねー」

 「かわいかったですね」

 三人ともかわいいしか言ってない。

 だが、まぁ、楽しんでくれたようで何よりだよ。


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