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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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番外編66 お魚さんを見に行こう6


 その後、違うサメの寝姿を見て、大きな水槽を見ていた。

 サメは緩やかに動いているのに、魚はかなりアクティブだ。


 一匹、スキューバダイビングみたいな動きをしている魚がいた。

 隅っこで勢いよく、沈んで、上昇してを繰り返している。

 やっぱりこういうのをずっと見てしまうよな。


 「スキューバいいわね」

 星羅がそんなことを言いながら俺の横に来た。


 「そんなん言ってもなぁ」

 「え、なに? 今度はスキューバ行くん?」

 「いいですね。青い海。白い砂浜」

 ユイと寧々も乗ってきた。


 「そんなに毎回旅行に行ってるんですか?」

 早矢が驚き交じりに言った。


 「いや、そんなには……行ってるのかな?」

 「じゃあさー、水着買わないとだねー」

 「光司が赤面しちゃうのを選ばないとね」

 「そんな破廉恥なのはダメです」

 そうだな。他の男の視線を集めるものはよくないな。


 「寧々はスク水でいいんじゃない? 光司そういうの好きでしょ?」

 「黙秘します」

 「じゃあ、うちもそうしますかねー」

 「早矢まで……」

 クスクスと笑いながら、なんの水着を買うかを話し合っている。


 もう既に行くことが決定しているんだが……。

 そんな時、静が俺の肩をポンと叩いた。


 「もう逃げられませんね」

 「静だったら、どこに行きたい?」

 「おや。否定しないとは、成長しましたね」

 「まぁな」

 みんなが行きたいっていうなら、それを叶えてあげるのは当然だろう。


 「まぁ、順当に行けば沖縄ですかね。宮古島、石垣島、波照間島。……久米島に座間味島も捨てがたいですね」

 「俺、飛行機苦手なんだけど」

 ついでに言うと、船も苦手だ。

 墜ちたり、沈んだりするかもしれないって思うとどうもな。


 そんなことを言うと、まずユイと星羅が振り返った。

 「そういう話はみんなで決めよーよ」

 「そうよ。ちゃんと旅行計画は綿密にしないとね」

 意外だ。どこどこの島がいいとか言うのかと思った。


 その様子を寧々はただ、にっこり微笑んで見ていた。

 それはどこか母親のような感じに見えたのは気のせいだよな。


 「スキューバもいいですけど、こっちもすごいですよ」

 「あ、そうだ、めっちゃ可愛いお魚さんいたんだよ」

 早矢がそう言うと、ユイが思い出したかのように腕を引っ張った。

 そう言って、連れられたところには、真っ黒な魚がいたが、尻尾が特徴的だった。


 「確かにかわいい……かな」

 「いや、かわいいっしょ? かわいいよね?」

 「かわいいわよ。尻尾が悪魔の槍みたいで」

 それは、可愛いのか? まぁ、雰囲気クロ◯感はあるな。

 しかし、この二人の趣味はなんというか、似ているなぁ。


 そして次のサンゴ礁とナマコの水槽は、あっという間だった。

 お前らスキューバ行くとか言ってたんじゃないのか?


 そして、次もスルーしそうになったところで、寧々が気づいたのか、歩みを止めた。

 「エビさんがいっぱいいますよ」

 「え、いた?」

 「どれどれ……あ、ほんとだー」

 「よく見たらたくさんいますね」

 「喧嘩している子もいますね」

 俺も最初、魚の方に目がいって、砂の上のエビには気がつかなかったよ。


 器用に崖の上を登っているのもいるし、意外と冒険心があるんだな。

 アクアリウムやるとしたら、こういうエビとかハゼみたいな方が好きなんだよな。

 ずっと一日中見ていられるし。

 なかがわ水遊園でずっと見ていたら、一時間くらい経っていたし。


 「これは一日中見ていられますね」

 「お、早矢もそう思うか?」

 「はい。こういう小さい生き物がちょこちょこ動くのを見ているのは好きですね。飽きません」

 「分かる。早矢とはいいお酒が飲めそうだ」

 「ふふ。随分古い言い回しですね。でも、それは成人してからにしましょうか」

 「今、お酒飲むっていった?」

 星羅がグイッと入ってきた。


 「こういうこともありますから」

 「だな」

 「何よ、もう」

 「ふふ。例え話です。星羅さん」

 「あら、そうなの?」

 「そうですよ。だから寧々さんも怖い顔しないでください」

 「し、してませんよー」

 寧々がしゃがんだ状態で振り返り、こっちを見ていた。

 まぁ、照明が暗いからそう見えるだけだろう。


 「お酒の何がいいのかなー」

 「酔えるからじゃないですかね」

 「あーし、もうコージに酔ってるんだけど」

 「それをシラフで言える唯さんは強いですね」

 「?」

 ユイと静が何か言ってるな。

 ユイはなぜか首を傾げていた。


 そんなユイと静のいる方へ行くと、そこには有名なチンアナゴがいた。

 「これは星羅さんの部屋にもいますね」

 「抱き枕でね。でも、意外と細いのよね」

 「水玉とシマシマがいるね」

 「水玉の方がチンアナゴね。黄色と白のシマシマの方がニシキアナゴね」

 「ちなみに、星羅さんの部屋にいるのは、実はニシキアナゴの方です」

 「いいじゃない別に」

 まぁ、好みの問題だしな。


 しかし、チンアナゴも喧嘩するんだな。このエリアは結構血気盛んな生き物が揃ってるんだろうか?

 そんなとき、闖入者がいた。エビだ。

 一匹だけこの中でウロウロしている。


 「え、上と繋がってる?」

 みんなで水槽の上を覗くがよくわからない。

 さっきの水槽で、岩を登っていたから、可能性としてはあるけれど、どうなんだろうか。


 戻ろうとしているのか、こっち側の岩を登っているが、途中で落ちてしまう。

 諦めてその辺をウロウロしているが、チンアナゴ達が警戒して、砂の中に沈んでいく。

 一匹のエビが悠然と歩き回る姿は、なんともシュールだった。


 まぁ、気がついた飼育員さんに回収されるまではあのまんまなのかな?

 でも、さっきのところのエビと形状が違う気がするんだよな。

 見比べてみるが、よく分からない。

 「あの子戻れるのかな?」

 「多分、お迎えが来るんじゃないか?」

 だって、向こう側でも何匹も岩を登っているエビがいるからな。


 そして、次のフロアに向かう前に、このフロアのラスト。マンボウだ。

 「マンボウだね」「マンボウですね」「マンボウ……」「マンボウですねぇ」「マンボウですか」「まごうことなきマンボウだな」

 それ以外の言葉が出なかった。


 暫く黙って、その泳ぐ様子を見ていた。

 なんか、エビ、チンアナゴ、マンボウ。更に言えば、サメと、ずーっと一日中見ていられるくらいだ。

 結構心おだやかにいられるなと思った。

 それはみんなも同じだったのか、ただじーっと見ていた。


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