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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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番外編56 もふもふさんに会いに行こう14


 さて、お土産屋さんに来たのだが、案の定って感じだな。

 静は速攻でハシビロコウのぬいぐるみを手に取っていた。それも二種類。

 立つやつと、座ってるタイプのもの。合計一万円弱。

 外のUFOキャッチャーでも違うの取っていたよな。星羅が。

 そして───


 「静、それは?」

 「これですか? これはペンギンですよ? 見たら分かるじゃないですか」

 あ、うん。そうだな。


 「それは分かるんだが、それ、でかくないか?」

 「はい。副隊長のお嫁さんにどうかな、と」

 「副隊長…………?」

 「はい。わたくしの──」

 「あ、長くなりそうだからいいや」

 「え?」

 その場で見つめ合ってしまった。なんだこれ?


 「まぁ、自分で出すならいいけど」

 「もちろんです」

 まぁ、全種類買わずに取捨選択出来るだけ、成長したと思うよ、ホント。

 でも、その副隊長だけで一万五千円弱するんだよ。かなりずっしりしてるし。


 お土産コーナーを俺も見て回る。

 寧々はクリアファイルを買っていた。

 星羅と、早矢はお菓子を買うようだ。

 「ユイは何も買わないのか?」

 「や、迷っちゃって」

 結局ユイもお菓子を買っていた。

 だが、カゴがいっぱいになるくらい買わなくてもいいと思うんだ。

 というか、早矢まで、そんなに買って……。


 「あ、違うんです。ただ、箱に描かれた動物さんが可愛くて」

 「分かる」「分かるわぁ」「分かります」「当然ですね」

 ここぞとばかりに賛同するなぁ。


 「早矢も段々とうちに染まってきたわね」

 「はい!」

 そういうところは真似しなくてもいいと思うんだが、まぁいいか。

 静一人だけすごい量を抱えていた。


 「む!」

 「どうかしたか?」

 「ハシビロコウの和パフェ……」

 「寄ってくか?」

 「是非」

 ということで、みんなでハシビロコウ和パフェを頼んだ。

 ゴマのアイスクリームで作ってあるんだな。間にわらび餅。下にゴマのプリンかな。アクセントで抹茶クリーム。

 目、くちばし、頭の毛はチョコレートだ。


 「これは困ったわ」

 「はい。困りました」

 「困ったねー」

 星羅、静、ユイがにらめっこしていた。

 どうやら可愛くて食べられないらしい。

 じゃあ、どうして買ったんだって話になるんだけどな。

 しかし、寧々と早矢は「おいしー」「これ好きですねー」と言いながら食べている。


 そんな中真っ先に食べたのはユイだ。

 「和スイーツと言ったらあーしだよね」

 かわいいから評価にシフトしたらしい。

 スプーンを刺すと、「「あっ!」」と声が上がる。

 ハシビロコウカレーも食べたんだからいけるだろうに。


 「んー!! おいしい! あーしこれ好きかも」

 「ですよね。美味しいですよね」

 「星羅も静さんも食べないと溶けちゃいますよ」

 「そ、そうね」

 「そうですね」

 結局一口食べたら、「おいしい、おいしい」言いながら、綺麗に食べ終わっていた。

 「見た目だけでなく、味も完璧でした」

 どんだけ好きなんだよ……。


 そして、そのままゲートを潜る訳ないのは分かっていた。

 もう一つのお土産屋さんに吸い込まれるように、そのまま入っていった。

 「あ、あーしこれがいい」

 それはホッキョクオオカミのぬいぐるみだった。

 「ふわふわー」

 「唯さん、わたくしの分も代わりにお願いします。手がふさがってまして」

 「オッケー」

 「ありがとうございます。お代はあとで」

 「いいっていいって、あーしが出したげるよ」

 「唯さん、ありがとうございます」

 ホントに可愛いもの好きだなぁ。

 早矢はトートバッグを。

 寧々と星羅はTシャツを買っていた。


 そして、お土産屋さんを出て、すんなりゲートをくぐらないんだなこれが。

 「星羅さんすいません。御獣印を全種類お願いします」

 「分かったわ」

 自分の分と合わせて全種類二枚ずつ買う星羅。

 なんだかんだで、協力しているのは素晴らしいことだと思う。

 だがな、俺らもいく必要があるんだ。

 出来るのに時間がかかるからと、帰りに年間パスポート受け取る予定だったからな。

 ただ、やっぱり代表者が静なのはなんか笑えるな。


 今度こそ、ゲートを出る。

 時間は十六時を過ぎていた。

 ユイと星羅がトランクに荷物をせっせと詰めていた。

 静はというと、後部座席の真ん中に座り、大きなペンギンとハシビロコウのぬいぐるみを抱えてご満悦だ。


 「じゃあ、次はあーしのナビだね」

 ユイが前列の真ん中に座った。早矢は助手席側だ。

 「もういい時間だな」

 夕飯は何にしようかそんなことを漠然と考えながら、エンジンをかけた。


 「じゃあ、あーしがナビするからねー」

 「お、おう」

 別に那須の道は分かるんだけどな。

 とりあえず、やる気満々のユイに従う。

 そして、着いた場所は──


 「旅館だな」

 「おつかれー」

 言われるまま駐車場に車を止めると、俺と静を除いて車を降りた。

 まぁ、静はぬいぐるみを抱えているからな。

 静は、ぬいぐるみを横に丁寧に置いてから降りた。

 一体どういうことだ? 日帰りのはずじゃなかったのか?

 そう思って俺も降りると、トランクから大きなスーツケースを二つ寧々と早矢が下ろしていた。


 「え、スーツケース?」

 いつのまにそんなものを積んでいたんだ?

 というか、俺今日トランク見てないや。率先して荷物積んでいたのは、もしかしてサプライズってことか?


 「はい。ということで、今日泊まるのはこちらの旅館です」

 寧々がにっこりとスーツケースの取っ手を持ち上げて言った。

 「聞いてないんだが」

 「敢えて黙ってたのよ」

 「そうか」

 温泉か。久しぶりだな。


 「で、誰が予約したんだ?」

 「ウチですよ」

 まさかの早矢。

 「みんなで調べて決めたんだー」

 「そうよ。感謝なさい」

 「あ、ああ」

 驚きっぱなしで、さっきから生返事ばかりだな。


 「なんでここにしたんだ?」

 「はい。こちらの泉質はアルカリ性と──」

 「あ、いや、そういうことじゃなくて」

 「夕食が美味しそうだったので」

 「温泉が広いの」

 「あと、値段も少し安かったですね」

 「まぁ、空いてるところが少なくてね。六人泊まれるのがここしかなかったの」

 「ラスト一部屋でした」

 「そうか」

 ここ結構高い方だと思うんだが、よく取れたな。

 しかし、昨日の今日でいつそんな準備をしていたのだろうか。

 もしかして、結構前から計画していたのではないだろうか。

 まぁ、いいか。明日も休みだしな。


 そうしてフロントへ入っていく。

 俺と静でスーツケースを持っていく。

 先頭を寧々が歩いていく。

 「あ、『須永』で予約したものですがー」

 「はい。承っておりますよ」

 恭しくフロントの人が会釈した。

 そして、書類にサインしたのだが、今の俺は父親に見えるんだろうか。

 

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