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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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番外編53 もふもふさんに会いに行こう11


 動かない静を引きずって猛禽類のエリアから引き剥がした。

 なんせ、俺と静しか残ってなかったからな。

 引きずるとき、鳥達がじーっと首を動かしながら見てくるんだ。困ったよ。


 そうして、奥の方へと向かう。

 アスレチックのような建造物の上にヤギが二匹いる。

 一匹は優雅に座り、もう一匹はその横に立って佇んでいた。

 なんと言うか、長老と参謀って感じだな。

 下では若衆っぽいヤギがうろうろしていた。


 「ああいうのいいですね」

 静がヤギを見ながら言う。

 「年取ったおじいさんとおばあさんが縁側に座ってる感じがしますね」

 そう言って俺を見る。


 「まぁ……そうだな」

 そんな感想を言うとは思わなかった。

 「ああいうのが理想です」

 「随分と落ち着いた理想だな」

 「あら、わたくしは名前通り、静かに過ごしたいだけですよ」

 どの口で言うんだと思ったが、それ言うのは野暮だな。


 そんな静は俺の顔を見て言う。

 「縁側で、お茶でも飲みながら……ですね」

 それはいい未来だと思った。

 気がつけば、曇り空から光がいくつも漏れ出ていた。

 もう雨は降らないかもしれない。


 そうして、ユイ達の行った方へ静と一緒に歩いていく。

 プレハブから顔を出したマダラの子ヤギが「俺もいるぞ!」とばかりに鳴きながら駆け寄ってくる。


 「あらあらー」

 ほら、すぐにこうして目を奪われちゃうんだ。

 子ヤギは飛び跳ねるように、駆けている。

 「元気ですねぇ」

 「今日ずっと雨だったもんな。体力有り余ってるんだろ」

 「わたくしも有り余ってますよ」

 何でそこで張り合うんだよ。

 ふんすと、両拳を握って俺を見る静。

 そんな静を見て、子ヤギは戸惑ったかのように、地面を左右に首を振りながら見ていた。


 その次のエリアにはアルパカが暇そうに座っていた。

 「なんか某俳優みたいな雰囲気が」

 「気のせいだろ」

 ずーっとこっちを見ている。

 何か言いたそうだな。

 そんなアルパカとお別れして、奥へ行くが、あいつらどこまで行ったんだ?

 

 「今日は雨が降ったからですかね。ラクダさんに乗れないようです」

 澄ました顔をしているが、内心がっくり来てるんじゃないだろうか。

 そう思いながら、奥へ奥と四人がある場所で固まって立っていた。


 文字通り固まっているが、何が──

 「っ!」

 静もそれを見て固まってしまった。

 俺も何も言えずにその場に立ちすくしてしまった。


 そこには、ラクダが顔を出して反芻していた。

 それはいいんだが、なんと言うか、煽るというか、マフィアのボスみたいな風格があった。

 「あ、コージ……」「光司さん……」「光司……」「あ、光司さん、これなんですが」

 その中であんまり恐れていない早矢が、困ったような顔をしていた。


 「まぁ、びっくりするよな。まぁ、普通に通れるから」

 「そうですよね」

 そうして奥へ向かうと、毛が生え変わる途中のトナカイしかいなかった。

 トナカイも生え変わりなのか、雨なのかはわからないが退屈そうにしていた。

 先ほどのラクダの前を通り、馬やポニーのいるところに戻った。

 黒い馬と目が合い、つい挨拶してしまった。


 そして、全員があるものに目がいった。

 そう、うさぎさんと触れ合えるコーナーだ。

 颯爽と優雅に扉を開けて中へ入っていく静。

 その後を、星羅、ユイ、寧々、早矢の順で入っていく。


 俺が入った時には恍惚の表情の静とニマニマと嬉しそうな顔の星羅がアンゴラウサギを撫でていた。

 残り一匹いるのに、なぜか俺の頭を撫でるユイ。

 「なんで?」

 その答えは静が代わりに答えた。


 「なぜって、光司はうさぎさんじゃないですか」

 「なるほど。わからん」

 「まぁいいじゃん」

 そう言いながら器用に俺の髪の毛とアンゴラウサギを撫でるユイ。

 寧々と早矢も順番待ちをしている。


 「俺じゃなくてうさぎさんを撫でなよ」

 「もちろん撫でますよ」

 「ええ。郷に入っては郷に従えと言いますからね」

 気がつけば、静と星羅はモルモットの方に移っていた。

 気付かないフリをしてそっちへ向かう。


 「どうした……あ、触れないんだな」

 『かみます』とちゃんと注意書きがしてあった。

 しかし、家の中からのぞいてるモルモットはなかなかにシュールだな。

 意外と動かないんだな。どこぞの鳥より動かない。


 その後、アルパカ、カンガルー、羊と見て回った。

 アルパカってなかなかに独特なフォルムをしているな。

 カンガルーと羊は雨が降ったからだろうか、小屋の中に居たんだが、どう見てもカンガルーはマフィアの会合にしか見えなかった。

 もう少し、ダラけている姿とか見たかったんだがな。


 イベントがあるとのことで、広場の方へみんなで向かう。

 戻ってる最中、先ほど高いところにいた二匹のヤギは下に居て、若いヤギが堂々と佇んでいた。

 「世代交代があったようですね」

 「そうだな」

 「「「「?」」」」

 状況がつかめない四人は頭に『?』を浮かべて首を傾げていた。


 そうして、イベント会場へ向かう。

 雨が降ったので、シートを敷いて座って待つ。

 早く来たからだろうか、そこまでお客さんは多くない。

 そう思っていたんだが、後からどんどんとお客さんがやってきた。


 「先に来ていて良かったですね」

 「そうだな」

 俺の横には静と星羅が座っていた。

 俺が真ん中でいいのだろうか?

 なんか、勘違いしたおっさんみたいに見えないだろうか?

 「光司は心配性ね」

 「そうですね。もう少し堂々としていたらいいのです」

 どうして二人とも俺の心を読むんだろうな。


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