番外編44 もふもふさんに会いに行こう2
しかし、早矢もユイもニコニコとしているな。
前列からの眺めはそんなにもいいのだろうか。
買ったパンとコーヒーを頬張りながら、渡良瀬川を越えると、静から声がかかった。
「光司」
「分かった」
「えっ!? ええっ!?」
そんなに驚いていたらこの先疲れてしまうぞ?
早矢は少し常識人よりなんだろうな。
はい。来ましたよ。佐野SA。ラーメンも勿論だが、静の目当てはこれではない。
「はい早矢さん」
「これは?」
「レモン牛乳です」
「レモン……牛乳……。話には聞いていましたが……これが……」
「おいしーよーこれー」
「ええ。栃木にきたらこれです」
「まぁ、これを飲まないと、旅が始まった気がしないのよね」
全員で勧める。みんなのお気に入りだ。
「そんなにですか!?」
「とりあえず飲んでみたら?」
「そ、そうですね……んっ!? これは!?」
一口飲んで、目を見開く早矢。
「にしし。どう?」
「おいし……あ、いえ、とてもおいしいです。なんというか、この独特のフレーバー。名前だけで忌避すると勿体無いですね」
「でしょう」
四人がレモン牛乳片手に胸を張る。
なんでそんなにドヤれるんだよ。
というか、何でそんなに買ってるんだよ。
静の腕にはレモン牛乳のたくさん入った買い物袋が下げられていた。
と、いうことで北上していく。
「上河内は寄ってかなくていいのか?」
「帰りでいいんじゃない? 行きで餃子買うと溶けちゃうし」
「そうですね。まぁ買わなくても作ればいいですし」
「本当なら寄りたいところですが、一刻も早く目的地入りすべきかと存じます」
ユイと早矢がそれを聞いて苦笑いした。
まぁ、俺もそう思うんだけど、ついつい寄り道するのが楽しいんだよな。
だが、俺は知っている。さっきの佐野でホールのチーズケーキを買ったことを。
そんな感じで那須ICで降りる。
別に那須高原SAで降りてもいいんだ。ただ、少し早く着きすぎてしまったんだ。三十分くらい。
ミニクロワッサンをいっぱい食べたが、この時間で空いているのはパン屋さんくらいだ。
「じゃあパン屋さんで朝ごはん食べてから行こうか」
「さんせー」「賛成です」「賛成よ」「いい提案ですね」
「早矢は?」
「はい。いいと思います」
パン屋さんは朝早くからやっているからな。
目的のパン屋さんに来たら、既に車が多く停まっており、外で食べている家族連れやカップルが座って食べていた。
「よく朝からそんなホットドック食えるな」
「塩というのがいいですね」
「今までケチャップしかないと思いましたが、これはソーセージ本来の味が楽しめますね」
「パンも美味しいです」
「寧ろソーセージ入ってればオッケーみたいな?」
そんな中、早矢が俺の袖をクイクイと引っ張った。
「あの、光司さん」
「どうかしたか?」
「あの……いつも、こうなんですか?」
「今日はまだ控えめな方だよ」
「そうなんですね」
「まぁ、そのうち慣れるさ」
ハムハムと頬張る早矢を見た後に、空を見上げた。
しかし、季節柄少し天気が悪いのが難点だな。もう少し晴れてもいいと思うんだよな。
まぁ、涼しくていいんだけど、雨が降らないといいな。
二十分くらいで着くと思ったんだが、結構かかったな。
最後の交差点を左折し、最後の緩やかな坂を登っていく。
前後に数台の車がある。目的地は一緒なのだろう。
「くっ……わたくし達が一番乗りだと思ったのですが……」
「いろいろ寄ってるし、なんなら十時過ぎてるぞ」
「ぐぬぬ……」
だが、開園してすぐだったのだろう。上の方の駐車場に停められてよかった。
「光司どこへ行くのですか?」
「先に駐車場代清算しに行くんだよ」
ここは先に払っておけば、そのまま出られるからな。
そして、チケットを買うことになったのだが。
「みなさん証明写真は持ってきましたね」
年間パスポート作成のために必要だと静が言ってきたから持ってきたのだが……。
「なぁ、お前らの写真、なんでそんな写りいいの?」
「年間パスポートに使うのですから、いい写真を用意するのは当然でしょう」
「そうよ。それにしても光司のこの写りの悪さ。笑っちゃうわね」
「そんなこと言ってはいけませんよ、星羅。ちなみに……三枚余ってますね。一枚はあたしが持っておきましょう」
「あ、じゃああーしが残り一枚を」
「では最後の一枚はうちが保管しておきましょう」
「あ、ずるい」
「でも星羅はいらないんでしょ?」
「そうですよ。写り悪いからいらないのでしょう?」
だが、静がそこで待ったをかけた。
「ダメです。他でも使う可能性もあるので保管は光司がしてください」
「「「「えー」」」」
多分、静のは助け舟じゃなくて、他でも年間パスポート発行時に必要になるかもしれないから、とっておけといいたいのだろう。
目的が違うのが静らしい。
尚、代表者は静になっている。
職員の人が苦笑いだ。
「では、出来上がるまで、三十分少々かかりますので……」
「じゃあ、帰りに来ましょうか」
「そうですね」
軽く会釈して事務所を出る。
「光司、早く……早くもふもふさんに!」
切羽詰まってるな。まぁ気持ちは分かる。
ユイ、寧々、星羅、早矢もうずうずしている。
「じゃあ、入ろうか」
「うん!」「はい!」「ええ、そうね!」「はいっ……!」「はい! 行きましょう」
静が感極まってる。これは大丈夫だろうか。
もちろん、心配なのは動物の方だ。




