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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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番外編39 星羅の美学③


 奥から出てきた二人の表情は変わっていた。

 それは、何かに気づいた者の顔だった。

 「ふふっ。今度は間違えないわ。真面目に三つ考えてきたわよっ!」

 ウインクしながら言う星羅。

 「今まで真面目じゃなかったんですか?」

 静が呆れたように言う。


 「ま、真面目だったわよ。ちょっとベクトルがちがっただけよ、もう……。早矢準備はいい?」

 「あ、はい」

 星羅の掛け声と共に出てきた早矢。

 今回は少し違っていた。


 「一つ目は、早矢が好きだって言う白ニーハイソックスという、最高なパーツを1000%活かした、わたし渾身の意外性&絶対領域コーデよ!

 早矢は前回、ミモレ丈やマキシ丈の長いスカートばっかり選んでいるから、あえてそこを変えて、ボトムに淡い紫色のサテン製プリーツミニスカートを穿かせるの!

 トップスは露出を控えたクリーム色のハイネック・フレアスリーブブラウスにして、上品さをしっかりキープ。

 そして足元は……そう、早矢の白ニーハイにメアリージェーンのパンプス!

 どう? 光司もキュン死(大爆死)確定でしょっ!?」


 光司は5点の点数棒を二つあげていた。意外と好きなようだ。

 そして、唯の評価はというと、4点だった。

 「これは意外と良い! 早矢が赤面しそうな『清楚なのに脚出し』感がちゃんと出てる。星羅の悪戯心が活きてる。これはアリ寄りのアリ!」


 寧々と静も頷いていた。

 「ちゃんと早矢さんに寄せてきて偉いです。星四つです」

 「これはこれでいいですね。ちゃんと早矢さんを考えてます。ですが、わたくしとしては先ほどの方が……」

 そこそこの評価と光司の評価で気分を良くする星羅と早矢。

 そんな様子を微笑ましく燈と柚は見ていた。

 二人も4点の棒を上げていた。


 満足した星羅と早矢は早速着替えて戻ってきた。


 「二つ目はこれよ! 早矢の甘々で無自覚な部分を、限界までデコラティブにした完全な甘ロリよ!

 生地は光沢のあるペールピンク。

 そう苺ミルク色のサテンをベースに、白のフリルとリボンをこれでもかとティアード状に何重にも重ねた超ボリュームスカート!

 胸元には大きなリボン。袖は姫袖で手元が隠れるくらいに。

 髪型は高めのツインテールにして、ピンクの大きなリボン付きクリップ。足元は白のレース付きニーハイソックス!」

 そこで、一息ついた星羅。

 わざと演技を変えて続きを話した。


 「鏡を見た早矢が『ほ、本当にお姫様みたいです……っ』って赤面して、カゴバッグをぎゅっと抱きしめたらから、わたしの完全勝利よ!」

 両手を広げて完全勝利宣言する星羅。


 光司も先ほど同様5点の棒を二本上げていた。

 唯は4点の棒を上げて苦笑しながら評価を言った。


 「可愛い! ただボリュームが強すぎて動きにくそう。早矢が喜んでるからいいけど、少しやりすぎ感。まぁ、早矢が満足そうにしてるから、あーしからはこれ以上言うことはないかなー」

 「あたしは、これ好きですね。でも確かに日常使いには向かなそうですね」

 「早矢さんの好みに寄せていて、なおかつ自分の主張も崩さない。上出来です」


 「ふふん。わたしにかかればこんなもんよ。でも、ラストはあっと言わせてあげるわ。覚悟なさい唯!」

 「目的と手段が逆転してるし」

 「あ、そうね。じゃあ早矢行こっか」

 「はい」

 光司がニコニコと満点を出すので、嬉しくなっている早矢。

 最後は早矢が先導していた。


 そして二人が出てくると、そこにいた全員が息を飲んだ。

 星羅は早矢に手を向けると、今回も演劇っぽい言い方で説明した。


 「ガラッと意外性を出して、誰も手が届かないほどの清純さと儚さを演出するわ。

 全体は、風にふわふわと舞う純白の最高級シフォンワンピース。

 袖は長めのフレアスリーブで、胸元には早矢の好きな上品な和柄。

 そう……小紋の刺繍が白糸で繊細に入っているの。

 ウエストは淡いラベンダーの細いサテンリボンで上品にマークして、頭には静が前に選んだ布帛のベレー帽。

 足元は白のレースソックスにクリーム色のローファー。

 あまりの神々しさと美しさに、光司もみんなも息を吸うのすら忘れて見惚れたくなっちゃうわよね!?」


 星羅が言い終わると、そこにいた全員が拍手をした。

 「これが一番良い! 早矢の好みに一番近くて、清楚で儚い雰囲気が出てる。あーしもこれ好き!」

 高々と5点の棒を掲げた。


 「星羅もやればできるんですねぇ」

 と、まるで母親のように言い、眦に溜まった涙を拭った寧々。もう片方の手で5点の棒を上げていた。


 「わたくしの負けです。おめでとうございます星羅さん」

 5点の棒を上げて微笑む。その顔はとても清々しかった。


 「俺もこれが一番好きかもな」

 今回も5点を上げた光司。もう一本は静に奪い取られたので、今回はシンプルに5点満点だ。


 「星羅もー、おしゃれさんだからねー」

 「ええ。いいもの見られましたね」

 燈と柚も満足したようだ。


 そして、周りで見ていたオーディエンスも口々に来て良かったと言いながら、解散していった。


 「では、星羅さん」

 「早矢、どうしたの?」

 「他に選んでくれたものも含めて全部いただきますね」

 「え、いいの?」

 「はい。光司さんが気に入っていたので、うちも欲しくなっちゃいました」

 「分かったわ。もっとすごいのがあるの。女王様っぽいのや悪役令嬢みたいなの」

 「…………まぁ、それも見てみます…………」

 言ってちょっと後悔した早矢。


 だが、全部購入してみんなで家路に着いた。

 早矢が少し、お姫様への階段を上がった瞬間だった。

 

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