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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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番外編30 委員会活動


 それは、入学して早々の出来事である。

 「はーい、それじゃあ委員会決めていくぞー」

 担任の大神いのりがそう宣言した。

 まだ、学級委員長すら決まっていない。

 黒板には、副担任の小鳥遊先生が、可愛らしい丸文字で書いていった。


 星羅が、斜め前から静の方へ振り返り、ニンマリとした顔で言った。

 「静、飼育委員会みたいのはないみたいね」

 「残念ですが、仕方ありません。ですが、わたくしは既に入る委員会を決めております」

 「へ、へぇー……そうなの」

 思った反応が返ってこなくて、少し寂しそうにする星羅。


 そんな星羅は、黒板の方へ向き直すと、早速手を挙げた。

 手を挙げたのは、星羅の他は女子の小此木冴。メガネがキラリと光る。

 もう一人は男子の米沢鷹臣。幹事長みたいな風格があった。


 「ふむ。学級委員長の立候補が三人か。じゃんけんだな」

 「なっ! こういうのは多数決なんじゃないの?」

 「星羅、考えても見ろ。いちいちやってたら時間が足りないぞ?」

 「なるほど」

 素直に前に出て、冴と鷹臣を見る星羅。

 必要もないのに手を握ってクロスさせたりしている。

 もう既に勝つ気満々である。


 「負けても文句言わないでよね」

 「その時はその時よ」

 「結果には従おう」

 星羅はニンマリとして構えた。

 「いいわね。行くわよ」

 「「「じゃーんけーん……」」」



 「見てましたよ」

 「そ、そう……」

 すごすごと気落ちしながら席に戻る星羅。

 黒板の前では、決まったばかりの学級委員長と副委員長が先生に代わって仕切っていた。


 「ま、まぁ生徒会がまだあるし」

 「一年生は会長とか役職には付けないみたいですね。雑用のみだそうです」

 星羅の隣に座る智坂柚がそう言った。

 「え、そうなの? じゃあ、いいや。入んなくて」

 「ありがと」と言って、頬杖をついた星羅。


 そんな様子をじーっと静は見ていた。

 「な、なによ……」

 「いえ、星羅さんなら勝てたのではないかな、と」

 「ジャンケンなんて運でしょうに」

 「いつもなら確率論で導き出しそうなのに」

 「あんたじゃないからそんな無粋なことはしないわよ」

 手をひらひらさせながら言う星羅。


 「ホントに仲いいわよね」

 「夫婦漫才じゃなくて?」

 「それは言い過ぎよ」

 星羅の横に座る柚と宇慶操が言った。

 なぜかその言葉に口角を上げたのだった。


 そうして、順に決まっていった。

 そして、ある委員会の時に寧々と静が手を挙げた。

 教室の中は少しざわついた。

 「図書委員……」

 星羅が意外そうな顔をしている中、寧々と静が席を立った。


 もちろんジャンケンで決めるためだ。手を挙げたのは二人だけではない。

 八人が教壇の前に集まって、一斉にジャンケンをした。

 そして、意外なことに一回目で静と寧々が勝ち取った。


 席に戻るときに、静がドヤ顔を星羅に向けてから席に戻った。

 「ぐっ……」

 そして、段々と委員会の数が少なくなってきた。


 唯はというと、委員長が言う前に手を挙げていた。

 「はいはーい! あーし、文化祭実行委員がいいっしょ!」

 それを聞いて、希望でなかった者まで挙げてしまった。


 「あーしは、狙ったものは外さないしー」

 唯は、十五人という希望者の中から、文化祭実行委員を勝ち取った。

 「やったー」

 「いえーい」

 もう一人は織部燈が勝ち取っていた。

 黒板の前で謎の小躍りまでしていた。


 そして、いつの間にか星羅は放送委員になっていた。

 「放送委員って、うちの学園で放送することなんてあるの?」

 「さあ。でも、一緒になったし頑張ろっか」

 「そうね。わたしの美声を校内中に轟かせてあげるわ」

 「その自信はどこからくるのさ」

 栗栖ティノが特に考えずに答えた。


 「常に自信を持って行動すれば、自ずと結果はついてくるものよ」

 「へぇー。それは恋愛も?」

 「えっ!? ま、まぁ、そうね。うん……」

 顔を真っ赤にして自信なさげに俯いてしまった。

 「(うちの女王様はかわいいなぁ、もう)」

 ティナは、今日の星羅様ファンクラブの議題が決まったと、ホクホク顔をしていた。

 尚、会員番号は07で、書記長である。五人いる書記のトップである。



 ある日の放課後――

 図書室には長大な列が伸びており、その列は階段まで伸びていた。

 学園の主席かつ美少女である寧々と、学園の主席かつ女神である静を一目見ようと、全学年の生徒が並んでいた。

 さながら、動物園や水族館の展示物のようになっていたが、二人は気にすることなく本の貸出、返却業務を行っていた。


 「しかし、意外です。寧々さんは委員会には入らないものだと。入っても美化委員かと思ってました」

 「それを言ったら、あたしも同じなんですけど。静さんはどうして図書委員に?」

 「デジタルで保存されていない動物さんの本や図鑑がありますからね」

 そこまで聞いて苦笑いする寧々。


 「あたしも同じです。アナログで保存された資料から、いろんな料理の作り方を知ろうと。まぁ、今の方が効率化されてていいんですけど、意外な発見や、これまで人が築いてきたものなんかも知れますし、なんなら郷土料理とかは新鮮ですね」

 そう。二人ともネットには無い情報を求めてやってきたのだ。

 わざわざ委員会に入る必要もないのだが、入らなかったら、おそらく訪れなかっただろう。


 「で、どうなんです?」

 「非常に興味深いです。最適化された部分に未知の可能性を感じました」

 胸の前でふんすと鼻息荒く話す寧々。


 「そうですか。わたくしは、今では見られない動物さんの姿や勇姿をこの目に焼き付けておきます」

 恍惚の表情で、感情を交えて話す静。

 それを遠巻きに眺める生徒達は、まさかそんな話をしているとは思わず、きっと高尚なことを話していると勘違いしていた。


 一方唯はと言うと。

 「え、文化祭実行委員って、文化祭前まで何にも仕事ないの?」

 「そうだよー。だから、人気なんだよー」

 燈がニコニコと話す。

 「えー、めっちゃ暇じゃん」

 「じゃあ、そろそろ部活入らないとねー」

 颯爽と陽菜が寄ってきて、テニス部の入部届を見せた。


 「や、部活はもう少し考えさせて」

 「仕方ないなー。じゃあ走ろっか」

 「あ、いいね」

 「いや、走らないし」

 燈も一緒になって同意するが、唯はぴしゃりと断ったのだった。


 「えー、なんでー?」

 「いつでも走れるよう温存しとかないと」

 「走れば、体力増えるよー」

 「そうだねー」

 だが、毎朝走ってる唯としては、十二分に走ってるので、これ以上は走りたくなかった。

 「じゃあ、帰ろっか」

 「そだねー」「うん」

 直前まで仕事が無いのなら、光司といれる時間が増えるなと、一人、にししと笑ったのだった。


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