37 定例会議
光司は鼻血の出しすぎにより早めに就寝した。
星羅は再度お風呂に入ってから、唯の部屋へ入った。
「ごめんごめん。お待たせ」
「大丈夫ですよ……って、凄い格好ですね、ホント……」
「早矢っちも慣れないとねー」
「早矢もこういうの着たらいいのよ。光司もイチコロよ」
「そうなんですか?」
「もう免疫がついてます」
既に寧々、早矢、静と集まっており、ラグカーペットの上に座っていた。
ちなみに唯は椅子逆さまにして座っていた。
それにしてもと、星羅は思った。
なんてガーリッシュな部屋だろうと。
全体的にピンクかと思いきや、そこまでピンクは多用されていない。
寧ろ、白を基調としてアクセント程度だ。
ただ、キラキラは少し多めになっている。
「じゃあ星羅も揃ったことだし……」
唯がそう言うと、唯、寧々、星羅、静と横一列になって、一斉に土下座した。
「「「「ごめんなさい」」」」
「ちょ、頭を上げてください!」
「だって、早矢っちに迷惑かけちゃったし」
「ええ。自分たちのことしか考えてませんでしたし」
「まぁ、壊したのはわたしだから、寧々が謝るのはちょっと違うんだけどね。……ごめんね」
「わたくしは、軍事利用されそうだったので、真っ先に」
それぞれが、思い思いに語った。
「もういいですよ。こうしてこれたんですから。気にしないでください」
「でも……」
唯が申し訳なさそうな顔をした。
「もう、その話は無しです」
ピシャリと告げる早矢に、四人はぎこちなく頷いた。
「そんなことよりも、静さんの言っていた『努力』の方が気になります」
そして、四人は早矢へ語って聞かせた。
全員でデートに行ったり、食事したり、遊んだり。
その過程で、全員を求めろと迫ったら、なぜか父親のようになってしまい、自分たちは娘扱いされたこと。
これはよくないと、とある方法でお礼したら、より悪化して母親のようになってしまった。
更に言うと、自分たちが学園に通うようになったのはこれが原因である、と。
それを聞いて、早矢はニコニコしていた顔のまま表情を凍らせた。
意味が分からなかった。
普通であれば、ここまで求められれば靡くはず。
好感度が高ければ、傾くのは一瞬であると。
それがどうしたら、恋人ではなく保護者になるというのか。
これは難儀するぞ、と早矢は思った。
お昼の様子からそんなに難しくないなと考えていたが、まさかハードモード超えてルナティックモードとは想像の埒外であった。
孫悟空が釈迦の掌の上でドヤっていたような気分になった。
でも、それでも前向きに考えるのが早矢である。
「つまり、光司さんは、オカンで時々オトンだと」
「「「「はい」」」」
その声は夜の帳よりも静だった。
そこで、早矢は少し考えて口を開いた。
「うちはこの家では末っ子になるんですね」
「そうね。ちなみに長女はわたしよ」
「ちがうし、あーしだし」
星羅と唯が猫のようにじゃれ合う。
「つまり末っ子ならば、親に甘えてもいいってことですよね?」
「「「「!?」」」」
「うふふ……」
「わ、わたし末っ子になるわ」
「待ってください。この家の末っ子はわたくしの筈」
それぞれが的外れなことを言っている中、寧々だけが一人黙っていた。
「どうかしましたか寧々さん」
「こんな家ですけど、これからもよろしくお願いしますね」
にっこりとしながら頭を下げると、唯、星羅、静も慌てて座って、頭を下げた。
「はい。こちらも末長くよろしくお願いします」
早矢も丁寧に頭を下げたのだった。
その後は、これまであったことを共有した。
明日は学園に行く日だというのに、遅い時間まで話し合ってしまったのだった。
そして、翌日。
昨日のうちに届いていた制服に身を包んだ早矢。
「うん。似合ってるねー」
唯がサムズアップすると、他の三人も頷いた。
「では、朝ごはんですね。光司くんに見せましょうか」
そうして、リビングへ降りると、光司が朝ごはんの準備をしていた。
そして、早矢を見て「おはよう」と言った後、言葉が詰まった。
「おはようございます。どうですか?」
「早矢、それ……なんでもう改造してあるんだ?」
「あ……、昨日唯さんにやってもらいまして……」
「おいユイ」
「や、そんなにいじってないよ。ほら、スリットのとこ。黒と紫の市松模様にしただけじゃん!」
「まぁ、可愛いからいいけどさ、なんでそんなすぐイジるんだよ」
それを聞いて早矢が一言言った。
「多分、少しでも変化に気づいて欲しいからじゃないですかね。こうして気づいてくれるわけですし」
光司は一瞬目を見開いた。
そして照れ隠しをするように横を向いた。
その横顔はとても赤かった。




