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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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33 そういえば


 「そういえば、早矢の部屋どうするの?」

 星羅が風呂上がりに冷凍庫からアイスを取って頬張っていた。


 「そういえば、そうだな」

 我が家は一応は5LDKとなっているが、それぞれの部屋はかなり広い。

 持て余していると言っても過言ではないだろう。


 それに、一つ開かずの間みたいのがある。まぁ、倉庫になってるだけなんだが。どうも何か潜んでる気がするんだよな。除霊みたいのはしたはずなんだけどな。


 あとは、俺の一階の部屋の横に和室があるんだよな。少し小さいが、普通の家に比べたら広い方だろう。

 正直、5LDK以上の部屋があるんだが、なんでそういう表記になってたんだろうな。


 ふむ……。

 方法としては三つか。

 まずは、あの部屋を片付ける。しかし、今日は時間がない。それにやはり少し小さい。

 二つ目は和室を充てがう。ここも少し小さい。

 三つ目が早く出来る。俺の部屋を明け渡し、以前同様ソファで寝ればいい。

 まぁ、大して部屋に物置いてないし、買い換えたこのソファもでかくて寝るには丁度いい。


 そう結論づけたところで、ユイと静と寧々が降りてきた。

 ユイだけニマニマしていた。何をやっていたんだ?

 いや、よく見たら静もだな。ホクホク顔をしていた。気取られぬよう隠しているが、バレバレだ。

 寧々は普通だな。いや、普通か?


 そしてみんな集まったところで、星羅が再び同じことを言ったので、俺の考えを話した。

 「はい却下」

 ユイに速攻で却下されてしまった。


 「いや、そっちのが合理的だろ?」

 「いや、ダメだし。流石にその選択はダメだし」

 「そうですね」

 「むしろその考えに至った思考がやばいですね」

 そんなにダメか?

 だが、早矢は何か閃いたとばかりに、笑みを増した。


 「もう、そんな小難しいこと考えていただかなくても大丈夫ですよ」

 「「「「?」」」」

 早矢の言葉にみんな首を傾げた。一体どんな答えに行き着いたのだろうか。


 「うちが光司さんと一緒の部屋を使えばいいのです」

 「ダメっしょ」「ダメです」「ダメよ」「認められません」

 「ええ……。みなさんに迷惑はかけてませんし……」

 「まぁ、確かにその案はダメだな。ここは俺がソファに」

 「ダメだし。てか、なんでコージはそんなソファで寝たがるん?」

 「便利だから……」


 だが、またも却下されてしまった。更にいえば、二度とその案を提起することすら却下されてしまった。

 そして、星羅と寧々が見やって頷いた。

 「わたしと寧々一緒の部屋でいいわよ?」

 「そうですね。それに広すぎるので、二人で使って丁度いいと言うか」

 「え、そう? 私は寧ろ丁度いいというか……」

 「え?」

 ただそれにしたって、今日はすぐには移動出来ないだろう。


 「まぁ、寧々と星羅がそれでいいなら」

 「まぁ姉妹ですしね」

 「ええ。それに共有するのに丁度いいしね」

 トントン拍子で話が進んでいく。


 「じゃあ今日は……」

 「では、わたくしの部屋なんてどうでしょう」

 「え、静さんの部屋?」

 「ええ。話したいこともありますしね」

 静があんな積極的だとは思わなかった。


 「一度部屋を見ますか?」

 「あ、はい。では……」

 「じゃあ、あーしお風呂入ってくるねー」

 ユイはお風呂に早矢は静と共に静の部屋へ行った。

 そして、寧々は俺の手を取ってソファへ座らせた。


 「光司さん。お説教です」

 「そうね」

 星羅も前に座った。


 「どうして言われたか分かりますか?」

 「いやぁ……」

 いや、分かっている。ソファで寝ることを提案したことだろう。


 「光司さん。そんなに自分を犠牲にするような提案は止めてください」

 「はい。ごめんなさい」

 「何かあればあたし達で調整できるんですから! だから……」

 俺の眉間に指を押し付けてお怒りの寧々さん。

 少し泣きそうなそんな怒った顔だった。


 「まぁ、光司はたまーに、自己犠牲が過ぎるところあるからね。どーんと構えてればいいのよ」

 そんなユイみたいな言い方しなくても。

 まぁ、星羅の言うことも尤もかもな。


 「すまんな」

 「いいのよ。それに寧々が怒ってるのはそこじゃないし」

 「ん?」

 「つまりね、寧々はね光司がソファで寝ていたら抜け駆けされるって思っちゃったのよ」

 「は!?」「ちょ、星羅!」


 真面目な雰囲気壊すのほんと上手ですね。

 まぁ、お陰で助かったよ。こういう時、いつもユイに助けられてるからな。

 そんなユイは早々にお風呂に逃げてしまった。多分分かってて逃げたんだろう。戒めのために。


 「星羅が全部言っちゃいました」

 寧々はツンと斜め上を向いてしまった。

 そのままの状態で寧々は言った。とんでもない爆弾発言を。


 「今日はあたしと一緒に寝ましょうか?」

 「ダメよ。抜け駆けはダメなんでしょう。寧々?」

 「うっ……」

 星羅に振りかえり、気まずそうな顔をして、そしてまた俺の方に向き直った。


 「星羅と三人で寝ましょう」

 「どうしてそうなるんだよ」

 まさか、速攻で否定されると思わなかったのか、ギギギと錆びた音がしそうな感じで星羅に振り返った。


 「せ……星羅、ここから先どうしたらいいですか?」

 俺と星羅が盛大にずっこけてしまった。まさかそんなオチだとは思わなかった。

 流石の星羅もこれには苦笑いだ。

 寧々の頭をポンポンと触りながら、「もっとがんばりましょう!」とテストの評価みたいな回答をしていた。

 ただ、そういうのは、笑いを堪えながら言うもんじゃないと思うんだ。


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