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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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28 もうすでに


 一度、教室に戻り、カバンを取ると、クラスメイト達にお礼を言って、教室を出て行った。


 「おい、お前ら、これから授業だぞ? どこいくんだ?」

 そう声をかけたのは、五時間目を担当する教師、神崎修司だった。

 「あ、ごめん修司。今から早矢の必需品を買わないとだから」

 「いやお前そんなこと言って……」


 そこで、早矢の姿を見て、ボサボサの髪の毛を直す。直すが、髪の毛の跳ねは直っていない。

 だが、少し落ち着かない様子で視線を彷徨わせ、顔はどんどんと紅潮していく。


 「どったのシュージ?」

 「いや、その……なんだ……」

 「赤くなってますね。生徒相手に」

 「ばっ……、おま、人見……」

 静の指摘で、仰け反りそうな程、驚く神崎先生。


 「早矢さん含めあたし達は既に埋まってますので」

 「なので、ごめんなさい」

 「いや、謝られても……」

 勝手に誤解され、勝手に振られる神崎先生。


 「まぁ、シュージにはレイコちゃん先生がいるしね」

 「そうでした。すみませんね」

 「まあ、そうなんですか? それはそれは」

 「ちょ、まだそこまでいってない……」

 静と寧々が申し訳なさそうにし、早矢が口元に手を当て驚いていた。


 そして、そんな早矢をスマホで撮って、何やら操作している唯。

 「レイコちゃん先生に送っといたよー」

 「え!?」「御坂お前なにやって」

 「あんたの為にやってあげたのよ。感謝なさい」

 「星羅お前……」

 そんな時、神崎先生のスマホが振動した。

 一瞬躊躇いながらも、画面を見て目を見開いた。


 「じゃあわたし達行くから、あとよろしくね?」

 「あ、ああ。分かった。出席扱いにしておくよ」

 その顔はどこか嬉しそうだった。


 そしてそのまま校門を抜ける手前で、唯が疑問を口にした。

 「そういえば早矢っちはお腹空いてないの?」

 四人はお昼を食べたが、早矢は食べてきたのか分からなかったのだ。


 「ふふ。光司さんのお弁当をいただきました」

 「美味しかったっしょ」

 唯のその言葉に一瞬目を見開いたが、眦を細めると、「はい」とはにかむように頷いた。


 「初めての食事が光司くんのお弁当ですか」

 「ええ」

 「ふーん。何が美味しかったの?」

 「どれも美味しかったですね。そして、とても繊細で真心が籠ってました」

 静と星羅がうんうんと頷く。


 「そして、寧々さんのお漬物。あれも大変美味しゅうございました」

 「えっ!?」

 「良かったじゃん寧々」

 「は、はい……」

 おさげをわしゃわしゃしながら顔を真っ赤にする寧々。


 「あれは、わたくしも好きですね」

 「し、静さんはいつも食べ過ぎです。塩分摂り過ぎになっちゃいますよ?」

 「頭使ってるので大丈夫です」

 「それは糖分よ静」

 星羅がベタに胸を叩いて突っ込んでいた。


 「ふふふ。いつもこうなんですか?」

 「そう……ね……。うん。そうかも」「そうだね。いつもこんな感じだよ」

 星羅と唯が肯定した。


 「いいですね。いつかうちもそうなりたいものです」

 「早矢っち、違うよ」

 「?」

 「いつかじゃなくて、もうすでに、だよ」

 「そうですね」「そうよねぇ」「そうです」

 その言葉を聞いて嬉しそうにする早矢。


 だが、そのニコニコした顔のまま刺した。

 「でしたらどうして研究所壊したんでしょうねぇ」

 「「「「…………」」」」

 四人が慌ててそっぽを向いた。


 「まぁいいです。後から来た方が特別感もありますでしょう?」

 「でも、負けヒロインの可能性も」「ちょ……」

 星羅が負けじというと、唯が止める間もなく、すかさず早矢が返答した。


 「あら、うちは負けるつもりはありませんよ」

 「そうこなくっちゃ」

 二人の応酬に「はわわわわ」と寧々が慌てているが、二人ともおかしそうに笑い始めた。


 「さて、話もそこそこに行きましょうか」

 「そうね」「そうだねー」

 唯と星羅と静が先に行くと、早矢は寧々にこっそりと話した。


 「うちも寧々さんに負けないくらい料理上手になりますからね」

 「はい。あたしも負けませんよ」

 寧々がグッと胸の前で両方の拳を握ると、早矢も同じようにポーズを取った。


 「ちょ、何してんのー? 行くよー」

 唯が先で、手を振っていた。


 「行きましょうか」

 「ですね」

 そうして、学園から最寄りの地下鉄駅まで歩いて、いつもの場所へと向かったのだった。


 しかし、移動中美少女四人が集まっていると、かなりの視線を集めた。

 超有名高の制服を着た四人と袴スタイルの子が一人。それは目的地に着くまで、ずっと注目を集めたのだった。


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