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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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20 親方の成果


 中間テストが終わった日───

 「うわぁー、ムズすぎー」

 机に突っ伏して言うのは蓮である。

 「でも、教えてもらったところは全部出てたよね?」

 そう言って、蓮の前の席に座ったのは冴である。


 「いやぁ、そうなんだけど、どっちかと言うと、料理とお菓子と星羅や唯の格好ばっかり頭に残っててー」

 「全くアンタは……。でも、分かるわ。確かにあれは美味しかったわ」

 「でしょう?」

 頭を上げて、仲間を得たとばかりに笑顔になる蓮。


 「でも、それとこれは別よ」

 すげなく告げる冴。

 そこに、静が通り過ぎようとしたので、蓮が腕を取って引き留めた。


 「どうかしましたか?」

 「あ、いや、お礼を言っておこうって思って」

 「そうね。実際、わたしは全部の教科でいい点取れたと思うし」

 「うちも英語以外はいつも以上だよ。だから、ありがとね」

 「ふっ。どういたしまして」

 「それにしても、静はああいう格好しないと思ってたよ」

 「わたしも」

 蓮と冴が意外とばかりに言うが、返ってきた言葉は予想外だった。


 「寧ろ、率先して着てますがね」

 「えっ!」「ええっ!」

 「では、わたくしは用事がありますので、失礼しますね」

 そう言って、軽く頭を下げて去っていく静。


 「冗談じゃなさそうね。意外だわ……」

 「だね。ねぇ、次もあるかな?」

 「どうかしらね?」

 「いい成績が取れたらあるんじゃない?」

 声のする方を向くと、静と仲のいい愛花がいた。

 今日も頭に二箇所ツノを作り、カラフルなピンで止めまくっていた。

 アンダーリムメガネがキランと光った。


 「マジで?」

 「だって、かなり大規模なことになってたでしょ? 結果が出なかったら多分次回は教室ね」

 「うぇー、それは困るー」

 「まあ、明後日の結果発表次第ね」

 「そうだねー」

 そう言いながらも、頭の中にはあの時食べたお菓子や料理でいっぱいの三人だった。



 そんなことを、クラスのあちこちで話し合っていた。

 「麗華はどうだった?」

 似たような見た目から親近感を抱いていたエレナが話しかけた。


 「ふふ。あの勉強会のお陰ですわ。わたくし、トップ10入りは確実かと思われますわぁ」

 ファサッと髪の毛をかき上げる麗華。

 それを見て真似をするエレナ。


 「いいなー」

 「そういう、エレナさんはどうなんです?」

 「わたしに聞く?」

 「聞いてきたのは貴女ではありませんか」

 「エレナはね、お菓子ばっかり食べてたから多分ダメね」

 そう言って、エレナの肩に手を置き、会話に混ざったのは、クラスでもツッコミ担当の優華だった。


 「そ、そんなことないわよ。ただ、赤点は余裕で回避出来たし」

 「折角唯様が教えてくれたのに、そんな意識低いんですの?」

 麗華が信じられないといった顔をした。


 「だってだって美味しかったんだもん!」

 「それは分かりますが……」

 「でも、赤点取ったらエレナは確実にお呼ばれされないわね」

 「というか、そんな成績でよく英愛に入れましたわね」

 麗華と優華が不思議そうな顔でエレナを見ていた。

 エレナはなぜかドヤ顔をして返したのだった。



 窓際では、サッシの部分に体重を預けた愛と燈が。その横の席に座る操と美羽の四人が話し合っていた。


 「どうだった?」

 そう最初に切り出したのは操だ。

 「多分、大丈夫」

 「あーしもなんとか」

 愛と燈は苦笑いしながら答えた。


 「国語の最後以外は出来たよね?」

 美羽がそう言うと、三人がコクコクと頷いた。

 「でも、英語はダメかも。八割くらい?」

 操が首を傾げながら問う。


 「最後の長文多すぎよね」

 「あれ、読んでて時間無くなったし」

 「でも、それくらいよね」

 「うん。勉強会でやった内容は全部出たしね」

 このグループではそれなりに出来たと結論づけていた。

 もっとも、楽観視し過ぎてはいるのだが。



 廊下側の席では、美琴と陽菜と柚とティナの四人が、一つの席に椅子を置いて答え合わせしていた。


 「どうだった?」

 まず、美琴がテストの出来を聞いた。

 「英語と国語の最後以外は大丈夫」

 柚が自信満々に答える。


 「陽菜は?」

 「同じく。美琴は?」

 「英語のラスト以外は多分大丈夫」

 「ティナは?」

 「理科は任せなさい」

 「他はどうなのよ」

 美琴が胡乱げな目でティナを見ると、ティナは窓の外の方に視線を向けてしまった。


 「おい!」

 「でも。今思うと自信ないとこ多いよねー」

 陽菜が机に突っ伏して諦めたような声を出した。


 「分かる。理科の三問目のあれなんだっけ」

 「あ、それはねー」

 理科だけは自信満々のティナが胸に手を当てて答えを言った。

 そんな感じで自信のないところを言い合い、答え合わせをして一喜一憂していた。



 そんな様子を後ろの黒板の前で、唯、寧々、星羅が、教室内を見回しながら話していた。

 「いやぁ、みんな死屍累々だねー」

 「あんなに勉強会したんですけどねー」

 「いや、実際難易度高かったんじゃない? 最初であれはイジワルよ」

 「確かに」

 唯が、苦笑いしながら頷いた。


 「応用問題が多かった印象ですね」

 「そこもフォローしたんだけどなぁ……」

 寧々が思い出しながら言うと、唯が脱力しながら返した。


 「光司と寧々の料理が美味しすぎたのが良くなかったのね」

 「あれで、覚えたこと忘れるなんて、そんな……ありえますね」

 星羅が両腰に手を当てて言うと、寧々は顎に手をやり、真面目に考察し始めた。


 実際に、何人かは雷に撃たれたかのような衝撃を受けていた。それで、覚えたことを忘れた可能性もある。

 更に言えば、1組の男子は翌日曜日に、料理を教わりに来たくらいだ。

 光司と寧々が嬉しそうにしていたのも相まって、かなりの料理を作っていた。


 「まぁ、多分大丈夫っしょ」

 「そうね。ところで、静はどこ行ったのかしら」

 「たまーに消えるときあるのよね」

 三人は覚えていない。理事の仕事を任せっぱなしにしていることに。


 そして残る男子グループは、テストの結果よりも料理の向上の方に興味があるようだった。


 翌々日、午後───

 廊下に試験の結果が張り出された。

 そこには、衝撃の結果が載っていた。


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