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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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19 ユイ先生に任せなさい


 その後、それぞれが適当に座って、参考書とノートを取り出す。

 さすが、名門校の生徒さんはオンオフの切り替えが出来るんだなと、感心していた。


 ちなみにどんな内容をやっているのか気になって覗いてみた。

 最初は数学か……。


 「っ!?」

 一瞬呼吸するのを忘れてしまった。

 え? 高校一年生の最初の中間テストなんて、もっと簡単なもんだと思ってたんだが、これマジか……。


 すごいな。俺には全然分からない内容なんだが。

 え、今の子ってしょっぱなからこんな難しい内容やるのか?

 それともこの学校だけが特殊なんだろうか?

 これ、下手したらどこぞの大学より上だぞ?


 そして、最初に教えるのはユイのようだ。

 俺もユイがどんな風に教えるのか気になって、一緒になって見学してしまう。

 もちろん、朝の先生の格好だ。様になっているな。うん。


 普段直感優先のユイがあんなに論理的に分かりやすく説明している姿に感動してしまった。

 なんか、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。

 参考書見たときは、ちんぷんかんだったが、ユイの説明を聞いた今は、俺でも解けそうだって思えた。

 まぁ、実際問題を前にしたらダメかもしれないが。

 しかしまぁ、輝いてるわ。

 あんなにイキイキと教えているんだもんな。


 しかし、こんだけやってたら頭使ってお腹空くだろうな。

 と言うことで、ユイの説明をBGMに料理を作っていく。


 「あたしも手伝いますね」

 「寧々は教えなくていいのか?」

 「唯さんの方が上手ですから」

 「それにあたし達は、個別に聞かれたら教える感じですね」

 なるほど。役割が違うんだな。

 だが、折角その格好したのに勿体ないな。


 続く、科学や英語もユイが教えていた。

 格好的に科学は静。英語は星羅な気がするんだよな。

 「なぁ、静と星羅はユイに任せっぱなしでいいのか?」

 「わたくしは国語を担当しますので」

 「わたしは地理とか歴史ね。寧々のが得意だけど、邪魔しちゃ悪いし」

 「そうなのか。それにしても教え方上手いな」

 「そうなのよ。でも学園でもあれだからね。わたしもびっくりしたわ」


 聞いていると、『ユイ先生!』って駆け寄って教えてもらいたくなる魔力があるよな。

 「じゃあ、少し休憩しよっか」

 ユイがそう言うと、緊張の糸が切れたかのように場の空気が変わった。


 そして、みんなが思い思いにお菓子や飲み物で休憩していた。

 それにしても、あそこの金髪の子だけ、やたらと食べるな。うちの娘達と同じくらいの勢いだ。

 確か、エレナちゃんとか呼ばれてたっけ。

 それを見て、俺と寧々は互いに見やって笑ってしまった。


 「みんな美味しそうに食べてくれるのいいですね」

 「作った甲斐があるな」

 「はい」

 ただ、当初の予定の三倍になっているが、綺麗に無くなっていた。

 それはとても気持ちのいい食べっぷりだった。


 続く、静の国語は凄かった。学会かな? って思える雰囲気だった。

 でも、合間合間に小粋なジョークを入れて、固くならないように話す技術は凄い。

 俺も勉強になるなぁ。少しメモっとくか。

 それにしてもあのジョークの技術は一体どこで身につけたんだろうな?

 後で聞いてみるか。


 続く星羅の社会は、まるでその地域や時代を見てきたかのように言うから、ついつい引き込まれてしまった。

 やっぱり演劇とかやったら上手いんじゃないだろうか?

 クラスメイト達がメモをする手が止まるくらい引き込まれていた。

 俺も少し料理を焦がしてしまうくらい、星羅の語りは見事だった。

 正直、星羅の語りの最中に唐揚げを揚げていたのに、誰も気がつかないのは、相当に引き込まれていたんだろう。


 時間はお昼を少し過ぎたくらいか。

 みんなも「お腹すいたー」と言っていたので、出来た料理をテーブルに並べていった。

 そして、あっという間に無くなってしまった。


 「わたし、この家の子になる」「これから毎日通うといいかも」「これはメシの顔になっちゃうよね」「こんなん食べたら、もう普通のご飯食べられないってー」「これを唯達は毎日食べているのか」「ずるいな」「ずるいね」「ギルティ……」


 なんか過激なコメントも散見されたが、まぁ絶賛してくれたってことで。


 「それにしてもおかーさんのおかーさん料理上手すぎ問題」「これは解けないわ」「もうない……」「足りないよ……」


 おかしいなぁ。結構な量作ったはずなんだけどな。

 一応、デザートとしてカップデザートが残っているので、それを出したら、あっという間に消えたぞ。


 そして、当初の目的を終えたのか、少し庭を見た後に、それぞれが挨拶をして帰っていった。


 だが、何故か男子組だけがその場に残った。

 「光司さん、すいません、俺達に料理教えてもらえませんか!」

 まさかまさかの俺指名とは。

 「俺でいいなら構わないけど」

 「「「「「「「「「ありがとうございます!!!」」」」」」」」」

 男子九人が一斉に頭を下げた。

 本来の目的はいいのだろうか?


 試験前だというのに、翌日の日曜日はその男子生徒達が来て、俺が料理を教える羽目になるとは思わなかったよ。

 そして、俺の呼び方が『おかーさん』から『親方』になるとは夢にも思わなかったよ。

 

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