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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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17 琴線


 「おい、その格好はなんだ?」

 朝、朝食の準備をしていたら、ユイが女教師の格好をしていた。

 ボウタイリボンブラウスにタイトスカートに黒ストッキング。

 そして、一番意味不明なのがフォックス型のメガネだ。なぜ、それを選んだ。

 しかもきっちりと低めの位置にお団子ヘアだ。

 というか、その指し棒は要らないだろう?


 「にっしっし。コージこういうの好きでしょ?」

 「好き」

 「ちょ! そんな速攻で好きだなんて……」

 何を照れる必要がある。それに聞いてきたのはユイだろう?


 「だって好きなんだからいいだろう?」

 「も、もう……コージったらぁ……」

 すまんな。(へき)が出てしまった。

 隠しているつもりも無かったんだが、ちょっと琴線に触れまくってな。寧ろ千切れそうなくらい。


 そして、静と星羅がそれを見て、ドタバタと走りながら二階の自分の部屋へ戻っていった。


 そして、ドタドタと階段を駆け下りてきた二人。

 朝から元気だなぁ。


 「はぁはぁ……。んっぐ……、もうそういうのは早くいいなさいよね」

 どんだけ急いでたんだ。机に手を置いて息を整えている。


 「はぁ〜〜〜」

 そして深呼吸すると、ドヤ顔を見せた。

 「ふふん。どうかしら?」


 そんな星羅は、ジャケットを着たタイプの格好だ。胸元は開けている。それ以外はユイと同じだ。

 髪型はユイと同じく結んでいるが、バレッタで髪を留めていて、上に少し跳ねている。

 これもなかなかにいい。


 「こ、光司どうよ?」

 「控えめに言って最高」

 「ちょ! 光司がそんなこと言うなんて意外だったわ……もう……」

 両頬に手を当て左右に揺れている星羅。

 俺だっていいものはいいって言うぞ?


 対する静は黒いベストに黒いパンツを履いており、青いネクタイを締めていた。

 そしてなぜか白衣を着ていて、髪の毛は下ろしていた。


 「どうでしょうか?」

 「静、それは違う静さんだ」

 ココアシガレットを咥えている。分かっててやってるな。だが……。


 「静……」

 「はい。なんでしょう」

 俺はサムズアップして言った。

 「最高」


 ボンっと大きな音がして、部屋全体が八月の気温のようになってしまった。

 すかさずユイがエアコンをつけて、温度を下げまくっていた。


 「もう、コージ褒めすぎ……」

 「すまんな。俺だって好きなものはあるぞ?」

 「これさぁ、いのりちゃん先生が聞いたらヤバイよね」

 「ええ。黙っていましょう。あの人は危険ですからね」


 いのりちゃん先生って確か、担任の先生だったよな。

 確かラノベの茶○先生みたいな見た目の俺の好みのどストレートな人だった気がする。

 性格は知らないから、何とも言えないが、遠目から見る分には素晴らしいと思う。


 「もう……朝から何バカなことやってるんです?」

 朝一で野菜の手入れをしていた寧々が戻ってきた。

 小脇に抱えたカゴにはきゅうりとトマトが入っていた。


 「光司、これはどうなの?」

 「んー。こっちは特には……」

 「え、なんですか?」

 それは体育の先生みたいに、ジャージを着ていて、上はファスナーを全開にしていた。

 どうしてホイッスルを首に下げているのかは謎だが。


 「なんか、あたしの知らないところで話が進んでますね……」

 「ま、まぁいいじゃないか。じゃあ、朝ごはんにしようか」

 「ダメです。光司さん、説明を要求します」

 俺のエプロンを掴んで引き寄せる寧々。

 その手には、普段以上に力が込められていた。


 「寧々もこういう格好すればいいのよ」

 「ふぇ?」

 手を離し、三人をまじまじと見る寧々。


 「なるほど。光司さんはこういうのが好きなんですね?」

 「はい」

 「はい……って、なんかやけに素直じゃないですかぁ?」


 寧々の笑顔がだんだんと黒くなっていく。

 そんなに攻め立てることないじゃないか。

 俺にだって、好きなものの一つや二つあるんだから。


 「でも、あたし、こういうの持ってないです」

 「寧々、わたしの貸してあげるわ」

 「ありがとう星羅。ではちょっと着替えてきますね。正座して待っていてください」


 星羅と共に二階へ行く寧々。

 言われた通り、ちゃんと、期待して正座で待つ。なぜかユイと静も俺の両隣で正座して座っていた。


 「お待たせー」

 「お待たせしました」

 寧々の格好はアイボリーのジャケットにパンツスタイルと静の格好に似ていたが、インナーはシンプルな白のカットソーだった。


 「なんか営業の人みたいだな……」

 ついうっかり言ってしまったがために、俺の正座時間は延長になってしまった。

 いや、でもそれも悪くないんだけど、なぜか寧々が着ると保護者にしか見えないんだ。

 すまない……。


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