表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

113/143

16 放課後はデートのはずだったのに


 翌日───

 「おかーさん」

 いつもの呼び方にすっかり慣れてしまった寧々は、違和感なく振り返った。

 「はいなんですかー?」

 声のする方を見ると、クラスの女子生徒と男子生徒が立っていた。よく見ると、他のクラスの子までいた。


 「どうか……しましたか?」

 「おかーさん。うちらも勉強会に参加したいんです」「俺らも勉強会に参加したいです」

 全員が一斉に言ったので、少し驚き固まってしまった。


 1組は一人欠席中だが、二十九人いる。他のクラスの生徒が約十人くらいだろうか。

 一応はリビングに入れるが、追加の人員について光司に言わなくて大丈夫かと思案する寧々。

 だが、そこに唯、星羅、静もやってきた。


 流石に多いと言ってくれるのかと思っていた寧々。

 みんな等しく見てあげたいが、光司に迷惑かけるのは違うなと思っていた。

 だが、その予想はあっさりと裏切られる。


 「いいよいいよ。みんな来ちゃいなよ」

 「そうね。みんなまとめて面倒見てあげるわ」

 「ふっ……。教えがいがあると言うものです」


 寧々は思った。これは大変だと。

 勉強を教える方ではない。光司にお願いしていた料理の方だ。

 これでは足りない。圧倒的に足りない。

 何より男子生徒より食べる三人がいるのだ。これは戦場になるぞ。と、寧々は一人戦々恐々としていた。


 なし崩し的に大勉強会が催されることになってしまった。

 ちなみに大人数のため、もし次回やるとしたら教室になるだろうなと、寧々は漠然と考えていた。


 寧々はこっそりとスマホを取り出し、光司にLINEでメッセージを送った。

 『←今日の放課後スーパーの前でお待ちしています』

 数分で返信が来た。

 「りょ→」

 仕事で忙しかったのか、唯みたいな返信が返ってきて、思わず笑ってしまった。


 放課後、星羅は案の定、お花に水やりしてから帰ると言っていたので、教室で別れた。

 唯と静は何やら用事があると先に行ってしまった。

 もしかして配慮されているのかなと思っていたが、好都合だと割り切った。


 スーパーの前で待つ寧々。

 これが銭湯なら歌の通りだな、なんて思って一人でにやけてしまう。


 「すまん。遅くなった」

 「いえ、大丈夫ですよ。寧ろ早いくらいです」

 光司は、少し早めに早退してきてくれたようだ。


 「良かったんですか?」

 「今日は暇で暇で退屈だったんだ。俺だけじゃなくて部長も早く帰るかーって言ってたしな」

 「ええ……。それで会社回るんですか?」

 「課長も室長も一緒くたになって帰っちゃったからなんとも」

 どんな会社なんだろうと、寧々は聞くのが少し怖くなってしまった。


 「ところで、人数が増えるって聞いたんだが……」

 「はい。うちのクラス全員と他のクラスの子達も」

 「多いな……。まぁいいんじゃないか? それだけ慕われてるってことだろ?」

 「え、ええ……まぁ」


 生憎と、問題児はいないので大丈夫だろうと寧々も思っていた。

 なんせ、一番の問題児は唯、星羅、静なのだから。

 そう勝手に結論づけていた。


 「じゃあ、買っていくか」

 「はい」

 これはもう実質デートでは? なんて思いながら、カートにカゴを乗せて買い物を始めた。

 光司がカートを押しているので、その横を付かず離れずの距離で並ぶ。


 スマホアプリでどっちが得かを確認したり、お肉の脂の層を見ながら判断したり、野菜の艶とかハリを見ながらカゴに入れていった。


 今だけは凄く楽しい時間だった。

 だが、近所のスーパーである。

 知り合いに会う可能性はゼロではない。


 「あら、寧々ちゃんじゃない」

 声のする方に振り返ると、近所の奥様がニコニコしながら立っていた。


 「あら、今日はご主人も一緒に?」

 「やだもう。ご主人だなんてー」

 否定はしないが、声が弾んでいた。

 それを聞いて、ペコリと軽く頭を下げる光司。


 「あ、どうも家主の須永光司と申します」

 「ご丁寧にどうもー。いつも寧々ちゃんにはお世話になってるのよー。あ、わたしは大塚っていいますー」

 「いつも寧々がお世話になってます」

 「いいえー、いつもこっちが助けたれてるのよー」

 「そうなんですか?」

 「ええ。それはもう──」

 そしたら、次々と知り合いに遭遇した。


 「どうもー滝野川ですー」「尾久ですわぁ」「町屋でーす」「中里と申しますの」

 次々と寧々は知り合いに会ってしまい、なかなか買い物が進まなくなってしまった。

 最後は、一緒にスーパーを出て、いろいろ追加でもらってしまった。


 「寧々は普段何をやっているんだ?」

 光司が疑問を口にするが、寧々もどう答えたものかと困った顔をしてしまった。

 「まぁ、そのうちな」

 「はい……」

 奥様方にもらった食料がとても重く感じたのだった。


 そして家に帰るとリビングにはホワイトボードが置いてあった。

 「なんだそれ?」

 「昨日頼んどいたんだー。今日届くって言ってたから」

 唯が早速ホワイトボードに落書きをしていた。

 静も一緒になってなんだかよくわからない動物の絵を描いていた。

 「随分と本格的だな」

 「でしょー」「ええ」

 勉強会とは一体なんなんだろうかと寧々は改めて考えてしまった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ