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夢見るアイ  作者: 玉名 くじら
第三章

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12 七不思議3/7+1


 この学園には七不思議がある。

 といっても、内容の一部はその年ごとに変わるし、生徒によって語り継がれているものもある。


 「おはようございます」

 「「「おはようございます」」」

 朝のホームルーム。

 週直が挨拶すると、他の生徒も倣って挨拶した。


 「うん。おはよう!」

 担任である大神いのり。彼女がこの学園の七不思議の一つである。

 見た目はよくいる感じの女性教師である。


 胸元を少し開けたシャツに黒いジャケットを羽織っている。そしてタイトなスカートに黒のストッキング。

 黒髪を白いリボンでまとめ、ポニーテールにしていた。

 先は首にかかるかかからないかといった長さである。


 強いていえば、胸を強調しているようにも見えるが、金色の眼が少し畏怖を感じさせた。

 見た目としては十八歳にも二十九歳にも見える。

 見方によっては若いし、年相応にも見える。

 もっとも、彼女が何歳であるのか知っているのは理事長と秘書くらいのものである。


 そして、どうして七不思議の一つと言われているのかというと───

 遥か昔からいたかのように、いつから教師としてここにきたのか誰も知らないことだ。

 見た目からして、そんな長く勤めているようにも見えないが、この学園の歴史や出来事を全て熟知しており、殆どの教師のサポートまでしてしまう為、年齢を偽っているのではないか、整形しているのではないかと噂されているのだ。


 今年は大神先生が面倒ごとに介入する前に四人がいろいろしてしまった為、少し影が薄い。

 だが、例年通り、面倒見の良さと明るさから、生徒達からも慕われている。

 それ故に、よく「いのりちゃん先生」と呼ばれており、本人も訂正はさせていない。

 いや、寧ろ推奨していると言っても過言ではないかもしれない。


 「──はい、ということで、来週から中間テストが始まるので、その期間は、部活動はお休みになります」

 「えー」「やだー」「なんでー」「必要ないですー」「撤回してくださーい」

 何人かの生徒が非難の声をあげた。

 その中には星羅も含まれていた。


 「じ……じゃあ、出題範囲は副担の小鳥遊先生が後ろに書いてくれたので各自確認しておくように」

 苦笑しながら、話を続けるいのりちゃん先生。


 「はーい。ちゃんと確認しておいてねー」

 副担任の小鳥遊美月は今年教師になったばかりの新人だ。

 水色のワンピースに白いケープを羽織っており、髪の毛は髪留めで止めている。

 尚、彼女は七不思議の一人ではない。


 そして、このクラス。1年1組には他に二つ七不思議がある。

 それは、首席が四人も集まっていること。

 もう一つは、五番目の成績だった生徒が入学以来きておらず、名簿には文字化けで記載されていることだ。


 「テストまであと四日しかないから、気を抜かないようになー」

 そう言って、点呼を取った後は一時間目の教師と入れ替わり出て行ってしまった。


 お昼──

 教室で食べてもいいのだが、この学園大きなカフェテラスがあるのだ。

 1組の生徒の半数以上がここにきて食べている。

 そして、唯、寧々、星羅、静とくれば友人達も一緒になるのは当然であり、あっという間に大きなグループが形成される。


 そして、四人がお弁当箱を開けるのを今か今かと待ちわびている。

 正直、これが一番のメインイベントと化していると言っても過言ではない。

 他のクラスや学年の生徒すら、それを見る為に集まるくらいだ。


 「静さんは今日ものり弁なんですね?」

 寧々のお弁当箱と見比べた燈がつい呟いてしまう。

 そして、しまったと思うが遅かった。

 「のり弁を侮ってはいけませんよ」

 どこから取り出したのか、メガネをかけて講釈垂れようとした瞬間、美羽に奪い取られた。


 「長くなるから、これは没収」

 「仕方ありませんね」

 そう言って別のところから違うメガネを取り出す静。

 「「「!?」」」

 「あんたどんだけ持ってんのよ……」

 優華が呆れた声を出していた。

 もちろんそれも美羽に没収された。


 「それにしても、中間テストかぁ……」

 「自信ないなぁ」

 愛と燈が微妙な顔をして呟いた。

 そんな中で陽菜がいいことを思いついたとばかりに立ち上がった。


 「ね、ねぇ。勉強会しようよ」

 「勉強会?」

 唯が不思議そうな顔をして見上げた。

 「そう。うちのクラスには首席が四人もいるんだよ? こんな機会なくない?」


 「確かに」「一理ある」「いいこと言うわね」「それ乗った」「私も!」「全員参加よね?」「お菓子はでますか?」


 次々に立ち上がるクラスメイト達。

 座ったままなのは四人だけだった。

 「いいんじゃないですか?」

 そんな中で一人口角を上げて微笑んだのは静だった。


 「そう……だね。うんいいかも」

 唯も頷いて了承した。

 「うーん、でも……」「そうねえ……」

 寧々と星羅は反応が芳しくない。

 寧々の理由は簡単だ。


 「もしかして、うちでやる流れですか?」

 「ダメなの?」

 柚が小首を傾げた。

 「……。まぁ、いいんじゃない?」

 「星羅……。そうですね。ただ、光司さんの許可を取ってからですね」

 みんなそうだろうなとは思っていたが、一番の難所を超えた。

 寧々からその言質を取れたのは大きかった。


 そして、四つ目の七不思議は、彼女たち四人の保護者である光司のことである。

 学園関係者でもないのに、教師陣からも話題に出る人物。一体誰なのか、と。


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