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26 [刹那な想い]


玄関の前に立ち、俺がインターホンを押そうとした、その瞬間だった。


「――あっ」


タイミングを見計らったかのように、内側から扉がふわりと開いた。

現れたのはまいだった。ドア越しに顔を出した彼女は、俺たちの姿を見て小さく息を呑んだ。


ちょうどその瞬間、まいと香の目がぴたりと合った。

ふたりの視線が交差した瞬間、香が声を上げる。


「まいちゃん!」


その声に応えるように、まいも驚きと嬉しさを含んだ表情で叫んだ。


「香さん!」


次の瞬間には、ふたりは何も言わずに駆け寄り、自然と抱きしめ合っていた。

再会の喜びと、安堵、そして言葉にできない感情が、その抱擁の中にすべて込められているようだった。


「まいちゃん……心配したんだよぉ……」


香の声は少し震えていた。まるで、ずっと張り詰めていたものが解けたように。


まいは香の背中にそっと腕を回しながら、少し申し訳なさそうに目を伏せて言った。


「香さん……ごめんなさい。わがまま言って、黙って出てきちゃって……何の挨拶もしないで……」


香はまいの言葉を遮るように、ふわりと笑って首を振った。


「でもね、まいちゃんの気持ち、ちゃんとわかってたよ。……それに、良かったね。こうしてふたり揃って」


その言葉に、まいも小さく頷く。


「……うん」


ふたりの間に流れる静かな時間が、言葉以上に大切なものを伝えていた。


その光景を少し離れた場所で見つめていた俺は、自然と口元が緩んだ。

こんなふうに誰かを想える関係って、やっぱりいいな――ふと、そんなことを思った。


そして、場の空気が少し落ち着いたのを見計らって、俺は声をかけた。


「なあ、そろそろ中に入ろうぜ。こういう話はさ、中でゆっくり話せばいいじゃん」


俺の言葉に、ふたりは顔を見合わせて、照れたように微笑んだ。


そして、まいが「うん」と頷き、俺たちはようやく玄関の中へと足を踏み入れた。 

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