第十三話
そんなに話は進みません。
連続投稿イェイ
次の日。
私が向かったのは、ある一つの学校。この学校は凄く実力を重視する。だから、校内で頭の悪い人といい人がすぐに分かる。しかも、頭が悪い人の大愚はよくない。最低でも百人はいる。なので、そこから貰って行こうという作戦だ。…まぁ上手く行くかわかんないけどね。
ちなみに、学校にちゃんと交渉して許可を得た。勿論、本人達の意思が最優先だって言われたけど。まぁそれは当たり前だし。
あ、そうそう。私は特攻隊副隊長として学校に行くからきっちりした格好をしている。騎士団の中にも正装ってのがあって、貴族みたいに派手ではないんだけど。えっと、ざっくり色が決まってる。
特攻隊、金。暗黒隊、黒。情報隊、青。空撃隊、水色。魔法隊、白。まぁ、それを貴重としただから、他の色とかも混ざってるけど。
特攻隊の正装は、白い記事に金色で模様が書かれてるシンプルな感じだ。いつも暑苦しいあいつらが着ても爽やかな感じになるから不思議だ。特攻隊の正装は元々男専用だったらしい。ていうか、男しか入隊しないから自然に男だけになったんだって。昨日、急いで女物を作ってもらった。仕立て屋のおじさんにちょっと驚かれたけど。
学校の中に入れてもらい、校長室につれられた。私の学校のイメージは11才で止まってるけど、あまり変わりはないみたい。校長室には職員が集まっていた。
「失礼します。騎士団特攻隊副隊長、シズカ・アプロスです。今日はよろしくお願いします」
「…あなたが、ですか?」
一人の職員が呟いた。全員がそう思っているんだと思う。笑顔で頷いておいた。
「皆さんが疑うのも無理はありませんが、本当に特攻隊の副団長をしております。それでも信じられないのであれば、特攻隊隊長に掛け合ってもらってかまいません」
笑顔でそういいきると、校長と思われる男が職員の一人の指示を出していた。その場ですぐに確認し、私が特攻隊の副隊長だということが証明された。校長が立ち上がって頭を下げた。
「疑って申し訳ない」
「いえ、慣れていますから。それでは、確認のため、もう一度内容を説明させていただきますがよろしいでしょうか」
「あぁ」
その言葉を聞いて話し始めた。
「先日、魔国から戦争の意思はないという手紙が来たことは皆さんご存知だと思います。我々はその後すぐに魔国へと向かい、魔王と話し合いました。その結果、魔国とモルキアーナ共通の学校を作る事が決まり、私はそのための生徒集めの為に来たわけです。今日は全校生徒に話す場を与えていただき、その中から志望するものだけをこの学園に入学させようと思っています。勿論、魔族と一緒に生活することは包み隠さず話す事を約束します。よろしいでしょうか?」
「分かった。今、生徒を集めているところだ。教員を一人案内役で寄こそう」
「ありがとうございます」
そう言って傍にいた職員に指示を出す校長。取り敢えずお礼をいい、その職員に従い、部屋を出た。どうやら、あまり頭がよくない人達を担当している教員らしい。あーでも、普通なんじゃない?ここでは馬鹿は馬鹿じゃないから。普通だから。
「自分はサーシャイン・オレビと言います。シャインと呼んでください」
「よろしくお願いします、シャインさん」
自己紹介を済ませると、シャインさんは歩き始めた。それについていく。シャインさんはなんとも親しみやすい人だった。常に笑顔の彼は、生徒達にも好かれているらしい。すれ違う生徒が必ず声をかけてくる。うん。すっごい普通だ。寧ろ、私の中ではこれが教師のイメージだ。
「アプロスさんは、何歳なんですか?」
「シズカでかまいません。まだ、十六なんです」
そういうと驚かれた。うん。だろうと思った。言う人皆に驚かれるからいい加減なれたけど。
「まだ、学生の年齢じゃないですか!シズカさんって、凄い方なんですね」
「ありがとうございます。こんな小娘が、偉そうなことを言っていいのかと思ったりするのですが」
苦笑してそういうと、小娘なんてとんでもないと否定された。そんな話をしていると、体育館についた。うん。あんま、イメージと変わらないな。そんな事を思いながら、舞台の袖に立っている。台本なんてない。全校生徒が集まったようなので言ってきますよ。
司会者の紹介と共に私は舞台の真ん中へと向かった。
マイクとか便利なのはないから、音を大きく響くようにする拡張魔法が常に発動されている。舞台の真ん中へと立った私は、お辞儀をしてから話し始めた。
「皆さん、始めまして。騎士団特攻隊副隊長のシズカ・アプロスと言います。今日は皆さんに聞いて欲しい話があって来ました」
ザワザワとする。うーん。予想はしてたけど、すっごい多いな。生徒数。
「皆さんは、魔族と聞いていいイメージを思い浮かべますか?悪いイメージを思い浮かべますか?殆どの人が悪いイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。けれど、それは本当に自分の目で確かめた事ですか?」
そういうと、ザワザワと隣の子と話し出したりする。
「今日、私がこの場に来たのは、聞いて欲しい話と共に一つ、報告があったからです。私はこの国に、魔族と一緒に学び、育つ学校を作ろうと思っています」
その言葉を聞いた瞬間、ザワっと生徒達がざわついた。まぁ今までならありえないことだろうし。
「皆さんは誤解をしています。魔族と人間の生活は変わりません。見た目が少し異なるだけ。それ以外、私達と変わる所などないのです。
皆さんは、知りもしないのに、自分の目で確かめていないのに、魔族が嫌い、憎いと言い切れるのは何故でしょうか。人間の大人達からしか話を聞いていないからではないですか?
人というものは、自分が受けた悪いことは話すのに、自分がやった悪いことは話さないのです。それは魔族も同じでしょう。そんな情報だけを聞いて、あなた達は魔族は悪い奴だ。魔族は憎むべき存在だ。悪いのは魔族だと、決め付けてはいませんか?
私は、その考えは可笑しいと思います。何故、自分で見てもいない存在を否定できるのか、憎めるのか。その存在を見てそう思うならば分かります。ですが、知りもしない、知ろうともしない。そんな人が、魔族そのものを否定するのは可笑しいとは思いませんか?
確かに、今まではそう教えられてきました。そう、大人達から言われました。それだけ。もう、魔族がどうのこうの言う時代は終わりにしましょう。魔族も、人間も、共に手をとれば、今よりももっと発展できる。成長できる。ならば手をとればいい。手をとってみて無理だと感じるならばそれでいい。私はそう思います。
今日から一週間、入学者を募集します。今の話を聞いて何か思うのであれば、入学してみてください。ここよりは学力は劣っているかもしれない。何もかもが初めてで不憫に思うかもしれない。一緒に学校を作り上げていきましょう」
長い話を一度きる。疲れる。予想以上疲れるよこれ。もう少しで終わる。
「何か聞きたいことがあれば、私に気軽に話しかけてください。上から言ってますが同じ年齢ですし、寧ろ私の方が年下なので。気になる事、分からないこと、文句や質問。何でもかまいません。世間話でもいいです。皆さんが聞きたいことを、遠慮なく聞いてください。なるべく答えるようにします」
そう言ってお辞儀をして舞台袖へと消えた。
「緊張したー…」
「シズカさん!まだ魔法かかってます!」
「えっ!…すみませんでしたー」
息を吐きながら言うと、シャインさんにそう言われた。即座に謝ったけど、クスクスと笑いに包まれる。…うわ、ハズイ。超ハズイ。恥ずかしすぎる。シャインさんが笑って慰めてくれた。
「いいお話でした。最後、油断しましたが」
「言わないでください。本気で恥ずかしいです。あんなに生徒がいるとは思わなかったんです」
おそらく赤いであろう顔を両手で隠す。熱が引いてから、ある部屋へ案内された。取り敢えずここで待機していてくれと。出されたお茶を飲んでいるとドアをノックされる。扉を開けると、制服を着た学生らしい男女が立っていた。
「副隊長さん。お話いいですか?」
「どうぞ。シズカでかまいませんよ」
男の方がそう言ったのでそう返す。二人を部屋に置いてあったソファへと案内した。…うん。ちょっと緊張してるのかな。凄いカチコチ。そんな二人に思わず笑ってしまった。
「そんなに硬くならなくてもいいよ。同じ位の年齢でしょ?」
「十六、です」
「うん。同じ。同級生同士よろしくね」
そういうと、二人とも顔を見合わせて私をガン見した。ゴメンネ。老けてて。二人は驚きながらも少しリラックスしたようだった。
「俺はチュゼイン・ハーバスト。チュゼと呼んでくれ」
「私はセアール・ポルターノ。セアと呼んでね」
「よろしく、チュゼ、セア」
そう言って私達は握手を交わした。
「あの、私達は貴族じゃなくて庶民なの。それでもいいの?」
「勿論。そう言うの関係ないからね」
そう言えば、それ言うの忘れてた。セアの心配そうな顔がホッと安心した顔になる。二人の話によると、二人は魔族を嫌な生き物だとは思ってないみたいだった。それよりも、偉そうな貴族達が嫌いなんだと。まぁ私も嫌いだからね。
「シズカ。魔王ってどんな奴なんだ?やっぱり強いのか?」
そう聞いてきたのはチュゼ。春翔?春翔は…
「凄い人見知りで、でも自分の意思をしっかり持ってて、勝負してないからわかんないけど、強いと思うよ。それこそ、騎士団長よりも」
そういうと、チュゼは目を輝かせた。あ、チュゼはもしや、騎士団志望なのか。そんな事を思いながら、気になっていた事を聞く。
「二人の特技って何?」
「俺は剣術!その中でも双剣が得意だ。魔法も並に使えるぞ」
「私は魔法。治癒魔法と防御が得意なの。攻撃魔法は得意じゃないし、出来るのも少ないかな」
ほほう。なかなか二人ともやるな。そう思っていると、チュゼがちらちらとソファに立て掛けてある白露を見ていた。
「見てみる?」
「いいのか!」
興奮気味に返してくるチュゼに笑って白露を手渡した。興味津々で白露を見るチュゼに笑いながらセアと盛り上がる。主にどんな人がタイプってのでね。
「私は落ち着いた人が好きなの!でもね、落ち着きすぎも嫌だし。優しい人が一番だよね!」
「優しいは絶対条件でしょ。セアはあれだね。お兄さんタイプの人が好きそう」
「え、どうして分かったの!?そう!もうね、あの安定感が凄いいいのよ!」
興奮気味に話すセア。うん。これだな。これが女子のノリだ。ちょっと疲れるけど、女子のノリだ。最近は男に囲まれて生活してたから忘れかけてたけど、これが女子だ。ちょっと面倒なのが女子だ。うん。
「シズカシズカ。これ、どうなってるんだ?刃が片方にしか付いていないぞ」
「あぁ珍しいんだってね。私がいたとこでは普通だっただけど。それは"刀"って言ってね。片方にしか刃が付いていないのが特徴なんだよ」
「扱いにくそうだな」
「だろうね。普通は両刃だし。私はこっちの方が慣れているんだけど」
チュゼが白露を返してくれる。それを受け取ってソファに立て掛けた。それから色々と話した。シャインさんが来るまでずっと。




