眠りの図書館
孤児院の院長に結晶を届けるとものすごい感謝された。この大きさの結晶ならかなり長い年月、孤児院でマナのかけらを集める必要はなくなるそうだ。
ショウにも再び感謝をされ、お礼がしたいと言われたので、図書館に案内してもらった。
大きな図書館はかなりの蔵書があるようで、タッチパネルの端末で簡単に検索できるようになっていた。
(えーと、歴史書とかそんなんでいいのかな?)
端末を操作していくつかの本に目星をつけていく。
(図書館でとりあえず情報収集しよう)
図書館で歴史書などを見て得られた情報は
まず、この世界は自分の世界と同じ形であること。
違いはいつからか今の魔獣のような生き物の目撃報告があること。
同時に憑神と呼ばれる黒い人型のモヤが各地で報告され始めたこと。
人々に魔法のような力が発現し始めた事。
そして、全ての国でドラゴンが暴れて既存の文明が滅びかけた事だった。
ドラゴンは破壊の限りを尽くし、どこかに去ったという。その後何度か目撃報告があるが、真偽は定かではない。
マナの結晶と呼ばれているものが、突然色々な所から発見されるようになった。
マナの結晶をエネルギー源として使用する方法が確立。
動力としてマナの結晶を用いて機械を使用するようになった。
魔法、奇跡、魔術、超能力、色々な呼び方があり、地域によって異なる。
周囲のマナを使用して発現する力であり、使用者の練度により効果は変わる。
大きな力を発現するには相当の集中が必要であり、その補助として魔道具というものが開発されている。
全国に魔獣対策課があり、魔獣討伐師という職まである。
空と海の移動は少ないが存在する。空と海の魔獣は少ししか解明されていないので移動は命懸け。
(こんなに世界の様相が違うのか…)
憑神はただノロノロと動き回るだけで何もしてこないが、憑神が現れた所はマナが豊富になる事がわかっている。
マナが豊富になると作物の実りもよく、マナのかけらも産出されやすくなるので人々からは感謝されている。
一方で、稀に動物・魔獣・人に憑神が憑いてしまう事があり、憑神化した個体は例外なく凶暴化する。使用できるマナが増えるからか特殊な能力を獲得する個体もあり、災害級の被害を出す事もある。
憑神化した個体が絶命すると、個体にもよるが大きなマナの結晶と、マナの力を蓄えた部位を残す事がある。
マナの力を蓄えた部位は武具に使用され、各地の憑神対策課と魔獣対策課が、憑神討伐時や強力な魔獣討伐時に使用している。
(憑神って、そういう…。俺が剣を大きくしたりするのが異常な力かもと思ってショウは憑神化してるかもって思ったのか…。)
地図を見てみると、ここは現実の日本の静岡東部にあたるようだ。
(なーんか、首都らへんの形が違うよーな?なんか少し凹んでない?)
地図の形に少し違和感があったが、気のせいかと深く考えるのをやめた。
図書館を出て街を歩いてみた。
見た目はよくある住宅街だが、行き交う人たちは剣や杖のようなものを携帯しているようだ。
よく見ると普段着と共に防具のような物をつけているようだ。
(剣と魔法の世界か…ファンタジーの世界だな…)
目の前が天井に変わる。自分の部屋で目覚めたようだ。
「…あー、大学行かなきゃ…」
(…夢の内容、全然忘れてないな。ドラゴン、か)
夢の中の図書館で得た情報の中で、ドラゴンの存在がやけに気になった。
(文明を滅ぼしかけるってどんだけ規格外なんだよ。国が無くなる規模って事だよな?…ん?首都らへんが凹んでたのってまさか…)
ベッドに横になりながらスマホで日本地図を見る。やはり夢で見た地図は首都部分が凹んでいるようだ。
(…いやいやいやいや!ないないない!地図の形を変えるなんてありえないだろ!他に原因があるんだよ、たぶん)
一体の生物が与える影響としては現実では考えられない規模であった。
(まぁ、あくまで夢だしな。あり得ない話だ。そもそもドラゴンなんてファンタジーだし。)
ベッドから起き上がり体を伸ばして朝の支度を始めるのであった。




