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夢現〜眠りの鏡界  作者: ヴィトー・シームルグ


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途切れぬ眠り

「あ、あれ?ここは?」


気付けば森の中にいた。


(え?これ、夢の続き!?なんで!?)


意識もはっきりしており、すぐに夢の続きであると認識した。


(今まで無かったけど、2日連続で同じ夢?)


心配した少年が声をかけてきた。


「あの、もしかして憑神様なんですか…?」


「え?」


(つきがみって、あのデカい熊のことだよね?俺、人間だよな?)


慌てて自分の体を確かめる。いつもの人間の手足である。


「たぶん、ちがう?と、思うよ?」


よくわからず、自信なさげに答えた。


「そ、そうですよね。すいません、おかしな事を聞いて…」


そういうと少年は少しほっとしたように見えた。


(なんだ?なんか安心したような表情だな…)


「えーと、とりあえず町まで送っていくよ」


「ありがとうございます… よろしくお願いします…」


少年の住んでいる町へ向かうことにした。


「あ、すいません!僕はショウって言います!」


少年は名を名乗っていない事に気付いて慌てて名乗った。


「あ、ああ。よろしく。俺はユウって呼んでよ。」


森を抜けると、住宅街が見えた。壁などは特にないが、大きな門があるようだ。


(一応門から入るんだよな?でも、なんでわざわざ門から入るんだ?)


他にも町に出入りする者はいたが、全員門から出入りしている。

ユウ達も門から町へ入っていった。


町は、高いビルなどはなく低い建物ばかりで見通しが良かった。

建物の雰囲気は、ユウの世界となんら遜色のない見た目だった。


「無事に町に帰ってこれました。ありがとうございます。」


ショウは改めてユウにお礼を言った。


「僕は今からさっきの憑神について報告に行きます。そのマナの結晶も報告時に証拠として必要なので、申し訳ないですが一緒に来てもらえませんか?」


「ああ、もちろんいいよ。一緒に行こう。」


ユウは情報収集も兼ねて同行することにした。


ショウと町の中心に向かって行くと、大きめの建物が見えてきた。

多くの人が出入りしているようだ。

中に入ると案内板があり、複数の課が書かれている。


(これは、市役所?住民票はこっちとか書いてあるもんな。)


見知った風景だったが、見慣れぬものもあった。


(マナ引取り?憑神対策課?魔獣課?…ここらへんはファンタジーだな…。)


ユウとショウは憑神対策課へ向かった。


「あの、すいません。憑神報告なんですけど。」


ショウが窓口で報告している。

対策課の窓口の男性が真剣な顔で報告を聞いている。

ユウの方を見て驚いたのか少し固まっていたが、報告は済んだようだ。マナの結晶は一回窓口で受け渡し、必要なデータを取り終わったら返却された。


「報告は終わりました。マナの結晶はユウさんの物で問題ないみたいです。」


(これどうすればいいんだ?引取りしてもらったら対価をもらえる感じなのかな?)


自分には必要のない物のような気がして、どうしようかと思っていたが、ふと、ショウはどうするのか気になった。


「ショウはそのカケラをどうするの?引き取ってもらうの?」


「いえ、僕は孤児院の魔道具のために取りに行ったので持って帰ります。」


「…じゃあコレも使ってくれる?寄付するからさ。」


「え!?こんな大きな結晶を?いいんですか?」


「ああ、全然問題ないよ。」

(本当にいらないし…)


「ありがとうございます!助かります!…できれば孤児院まで一緒に来てもらえませんか?その、僕にはそんなに大きな結晶を持てないので…」


ユウは快諾して少年の孤児院へ結晶を届けるのだった。




ショウside


今日は孤児院の魔道具の燃料でもあるマナのかけらを取りに森に来ていた。この森はマナが豊富でそんなに奥に入らなくてもマナのかけらを拾い集める事ができる場所であった。

危険な魔獣・動物も確認されておらず、安心してマナのかけらを集めていた。


(あと少し集めれば十分かな)


カケラをショルダーバッグに詰めて森の少し奥に入ろうとした時、赤い体毛の巨大な熊が森の奥から顔を出した。


「ひっ!」


驚きと恐怖で声が漏れ出る。

すでに匂いで気付いていたが、声のした方を熊が向いた。


(つ、憑神!!)


ここまで真っ赤な体毛の熊などいない。見た目が異常な変貌をしている魔獣・動物は憑神化の特徴であった。

憑神化は見た目が変わるだけでなく、凶暴になり強力な個体になるという特徴があった。


(に、にげなきゃ)


震える足を何とか動かして森の外に逃げようとしたその瞬間、憑神化した熊は威嚇するように咆哮をあげた。


咆哮に完全に萎縮してしまい、腰が抜けてしまう。

逃げたいが体が動かずに、目の前から死が迫ってくるのを感じていた。


突然誰かが憑神に斬りかかった。


(え!?)


森の外には他に人がいなかったから助けは誰も来ないと思っていたのだが、誰かが助けに来てくれたようだった。


「すごい…」


憑神は腕から流血していた。憑神は普通の武器では傷をつけるのすら難しいと聞いていた。

しかし目の前で闘っている男は自由自在に剣の大きさを変えて憑神と対等以上に渡り合っていた。


(なんなの、あの動き…)


憑神の背後に回り込む超人的な動きと速さ、巨大な剣で憑神を両断する信じ難い光景。


「あれが、討伐師…」


討伐師の仕事を実際に見たことのなかったショウは、おそらく討伐師であろうと思った男が見せたその光景に衝撃を受けていた。


(でも、剣をあんなに自由自在に大きくできる魔法を使える人なんているのかな…。つ、憑神化した討伐師さんじゃないよね?)


「おーい、大丈夫かー。」


男がこちらに歩いて向かってくる。なんとも緊張感のない声がこちらの緊張感をほぐしていく。

自分は助かったんだと強張っていた体から力が抜けていくのであった。

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