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夢現〜眠りの鏡界  作者: ヴィトー・シームルグ


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旧道を行け

ショウの動きを確認したところ、短剣の扱いは問題なかった。

魔法に関しては短剣の影響もあり、かなり威力に違いが出ていたので調整していった。


ショウに指示を出して、ザンダとユウは少し離れたところで見守っている。


「訓練を元々受けていたとはいえ、戦闘でも通用しそうなレベルの魔法を使えるなんて、魔道具ってすごいんだな」


ショウの魔法の威力は他の討伐師達と比べても遜色無いほどであった。ユウはショウを見守りながら呟く。


「いや、確かにあの魔道具が凄い高性能であるのは確かだ。でもショウ自身が魔法をうまく使えているという事もある。憑神化の影響か…」


ザンダはショウの能力が高くなっているのは一時的でも憑神化した事が影響していると考えていた。


「討伐師の歴史の中で鬼神の如き強さだったと言われた人も憑神に憑かれたが助かったとされている。真偽は不明だったんだが、本当の話だったのかもね」


英雄として語られる者がいた。他の者では到底討伐不可能な魔獣も倒す事ができ、鬼神のようだと言われていた。

その英雄は憑神に憑かれた事がある、そんな人物は実際にはいなかった等様々な話があり、今ではどれが本当かわからないそうだ。


「じゃあショウも英雄って言われるくらい強くなるのかな」


ユウはショウの魔法の行使を観察しながらザンダに言う。


「…そうかもしれないな。もしそうなら、今ここにいる先輩の僕らの責任は重大だよ」


そうザンダが言うと、2人はショウにそれぞれが気付いたことをアドバイスしに行くのであった。


山小屋にて、明日向かう熱海へのルートを確認する。

どうやらユウが思っていたルートと違うルートらしく、現実でよく使っていた道は存在しないようだ。

小屋にいる職員の話を聞きつつ、最近出没した魔獣の事なども情報収集する。

最近は狼のような魔獣の数が少なく、植物型の魔獣が多いようだ。

明日の確認と準備が終わり、ユウ達は眠りにつくのだった。



「……ん、朝か」


現実の自分の部屋で目を覚ます。

起き上がってスマホで地図を見る。


「あー、旧道から行くのかぁ。確かにこのルートを魔獣に警戒しながら歩いて行くとなると時間かかるかも」


現実で旧道とされているルートが、夢の世界で確認したルートとほぼ重なる。

夢の世界でも車が移動できる道なので、足元が悪いわけではないとザンダは言っていた。


「まずは大学だな。早めに帰ってきて、寝よう」


熱海に着けば何か今の状況を改善させる何かがわかるかもしれない。

早く続きを見たいという気持ちが膨らんでいった。


ユウは大学でいつも通り大学で過ごして時間が流れていく。たまにスマホで地図を見ては旧道のルートを確認して、夢の世界での移動に備える。


大学から帰宅し、就寝の時間になる。


(何をおいても安全に!でも確実に今回で熱海に着いてみせる!)


そう決意して眠りにつき、夢の世界に落ちていくのであった。




ユウは山小屋で目を覚ました。ザンダとショウは既に目を覚ましていて各々準備を始めていた。

ユウも起きて準備を始める。といっても、ユウはイメージするだけで服装も身だしなみも整ってしまうので準備はすぐに終わった。


植物型の魔獣はツタを伸ばしてくるそうだ。大体の個体は地中に根を張りその場から動かないが、稀に自走する個体が現れるらしい。

動きは遅いので対処はしやすいが、山なので火事にならないように炎の攻撃をする時は注意が必要であった。

根に繋がる部分を断ち切るか燃やすかすれば植物型魔獣の活動は停止する。

昨夜のうちに3人の動きの打ち合わせは済んでいた。


3人は準備を整えて山小屋を出た。


「よし、それじゃあ熱海に向けて出発しよう。ユウ、炎魔の使用には十分に注意して。ショウは昨日の打ち合わせ通りにいこう」


3人はザンダを先頭に山道を進み熱海へ向かっていく。

道は思ったよりも広いが、前からも後ろからも車や人の気配はない。


「通行量はそんなに多くないのかな」


ユウは呟く。


「そんなに多くはないね。魔獣も出るし、一般人には危険だからね。でも、全くないわけではないよ」


この道は誰でも使えるので一般の人が通る事もある。魔獣や何か不測の事態に備えて山小屋には魔獣対策課の職員兼討伐師の方が待機しているのだ。


「おっと、お客さんが来たよ」


ザンダが止まって横を指差す。植物のツルがこちらに向かってきている。ツルの先には大きな赤い花が咲いている。


「食人花だ。ツルに捕まると地面に引っ張り込まれて養分にされるよ!ユウ、ショウ準備して!」


「「了解!」」


ザンダは障壁を展開する。ショウは短剣を鞘から抜き構える。

短剣を振り抜き風の刃を食人花に向けて放つ。

食人花は花の部分を風の刃に斬り落とされる。


ツルの動きが鈍くなる。ユウが斬り落とされた食人花に近づき、炎魔で茎の部分を掴んで地面から引っこ抜く。

炎魔に捕まれた食人花は一瞬で燃え尽きて炎が消える。根も燃えたようだ。


「よし、大丈夫そうだね!」


ショウは風の刃を使えるようになっていた。

憑神化した時に使っていたので、短剣の補助があれば今でも使えるのではとユウに言われて試したら、あっさり習得できてしまった。

ザンダが守り、ショウが風の刃で離れた場所から敵を斬る。

最後にユウが炎魔で処理すれば、安全に食人花を倒す事ができた。

ショウの実戦の練習にもなるので食人花は積極的に狩る事にした。


途中で休憩を挟みながら安全に進んでいく。

道が下りになってしばらくすると、煙が見えてきた。


(何だ?火事か?…いや)


どうやら湯煙が見えてきて、熱海に入ったようだ。


(いや、現実の世界では山道から湯煙が見えるなんて無いよな…)


明らかに違う雰囲気の熱海に困惑しつつ、この違いがドラゴンの存在を濃くしていくような気がして、ユウの期待は膨らんでいくのであった。

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