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夢現〜眠りの鏡界  作者: ヴィトー・シームルグ


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13/27

始まりへの繋がりを探せ

(今日の夜、眠ったら昨日の続きだ!時計塔の手がかりを絶対に見つけてやる!)


順調に目的に近づいている事が嬉しいのか、大学でも度々夢の世界について考えてしまうユウなのであったが、それも仕方のない事だった。

命の危険さえあるかもしれない夢。そんな状態からは早く解放されたいと思うのが自然だろう。

それと同時に、夢の世界での冒険は好奇心を掻き立てられている事も事実であった。


「おっ!ユウ髪染めないって言ってたのにメッシュ?入れるなんてどうしたんだよ。似合ってんじゃん」


後ろに座っていた大学の友人が休憩時間によくわからない事を言ってきた。


「ん?髪なんて染めてないぞ?」


ユウは染めると禿げると思っているので絶対に髪は染めないと決めていた。


「嘘つけ。後ろの毛先の部分だけ暗っぽい赤になってんじゃん」


友人がスマホで写真を撮って見せてくる。

後ろ髪の一部の毛先が赤黒くなっているように見える。


「……あ、あー。そういえばそうだったっけ。毛根は怖いから毛先だけやったんだよ。よく気づいたねー!きみー!」


染めてはいないが色でわかった。炎魔の色によく似ている。

咄嗟に話を合わせて友人を指差す。


「うっざ!なんで一回とぼけたんだよ。…まぁいい感じじゃん?」


なんとか誤魔化せたようだ。

何故髪の色に変化が出たのかわからない。今ぐらいならオシャレで逆にいいくらい思った。

もちろんこのまま進行したらという考えもあったが、これ以上考えるのはよそうと思考をやめた。

夢の原因さえ分かればなんとかなるはずと考えるようにした。


帰宅し、就寝の時間になる。


(必ず手がかりを掴む!)


そう決意しベッドで目を閉じるのだった。




目を開けると夢の中の宿のベッドだった。


「よしっ!今日は頑張るぜ!」


ベッドから起き上がり体を反らす。

ドアをノックする音が聞こえる。

どうぞと言うとザンダがドアを開けた。


「ユウ、起きたかい?下で朝食を食べよう」


ザンダと宿で朝食を摂る。


「食べ終わったら支度を済ませて、予定通り昨日のさらに奥に行こう」


ザンダと今日の予定の再確認をする。



「あのスライム状になって対象に擬態して乗っ取る魔獣、便宜上『ノットリ』って呼ぶけど、ノットリの対処は前みたいにザンダさんが障壁で飛びつきを防いで、僕が炎魔で倒すという流れでいいですか?」


ノットリの対処については再確認しておきたかった。乗っ取られた討伐師達を追うのであれば、その先にノットリがいる可能性は十分あった。


「いいと思う。安全に確実に対処していこう」


ザンダもその方法が1番確実と判断した。


「あと、ザンダさんは炎の力も使えるって言ってましたよね。どのような力なんですか?」


不測の事態に備えてお互いの出来ることを知っておいた方がいい。ユウはザンダに出来ることを再確認しておきたかった。


「僕の剣は魔道具でね。この剣に炎を纏わせて切ったり、剣から炎を射出させたりする感じかな。少しタメが必要なんだ」


集中に少し時間がかかるためタイミングが悪いと炎は出せないようだ。守りの障壁は得意なのかすぐに展開できるようだ。


「僕は炎魔と、あとは剣を出したり、凍らせたりですかね…。一応障壁は見よう見まねでできましたけど強度は分かりません」


夢の世界という事で、おそらくイメージさえできれば色々な事ができると思うのだが確証はない。咄嗟にザンダの障壁を真似て重ねて展開したがどの程度まで防げるかは不明だった。


「炎魔の力でスピードも上がるみたいです」


炎魔の力が自分に馴染んできているような気がして少し気味が悪かったが、戦闘に関しては助かるのは事実だった。


「そういえば僕らの後の援軍はどうなったんですか?」


追加の援軍が来ている様子はないためザンダに確認する。


「どうやら僕たちが最後のようだね。その後、誰も来ていないらしい。僕らだけでやるしかない」


ザンダも対策課で援軍について聞いていたが、その後誰も来ていないと職員が言っていたそうだ。

乗っ取られた討伐師達の体力も考えると、捜索は早くした方が良いと考えられる。

人手は欲しいところだが来るかどうかわからない援軍を待つ時間はなかった。


「さて、では各自準備が出来たら1階に集合。北の山へ向かう」


ザンダがそう号令をかけ、2人とも各々の部屋で準備をする。


(炎魔の力はまだまだこんなものじゃない気がする…。炎魔の腕っていう固定観念がいけないのか?もっと、色々できるのかもしれない。)


ユウは炎魔の力をもっと上手く使う事が出来るのではないかと考え始めていた。


1階でザンダと合流して北の山へ向かう。

道中にノットリが現れないか警戒しながら進んでいく。

何事もなく風切りのマナの結晶が残っている場所まで戻ってきた。

さらに奥へ進んでいく。

警戒しながら進んでいくと、建物が見えてくる。

どうやら目的の旧軍基地についたようだ。


「誰もいない、かな」


建物は皆崩れている。しかし、どうみても廃墟で風化しているのではなく、最近まで使っていた建物が崩れたような感じであった。


風切りが破壊したのか、それとも別の何かが破壊したのかはわからないが警戒して他の討伐者達がいないか探す。

ユウは目的の旧軍基地だった事もあり、時計塔の手がかりも見逃さないようにしていた。


敷地内を進んでいくと1番大きな建物を見つけた。

明らかに建物の損壊が激しいため怪しいと思った2人は建物に近づいていく。


「っ!!ユウ!」


ザンダは2人を包む障壁を張る。ノットリが2体障壁に飛び付いて来る。

障壁にノットリが激突する。


手筈通りにユウが障壁の裏から飛び出て炎魔の爪で2体を焼き切る。

ノットリ2体は焼け焦げた。


「ユウ!後ろから追加で2体!」


建物の裏から2体飛び出して来る。


(炎魔の機動力を再現する!!)


ユウは目にも止まらぬスピードで横に移動し、強靭な足の力で急な方向転換をしてノットリ達の横を通り抜ける。


(これで決める!)


更に方向転換をし背後から炎魔の爪で引き裂く。炎魔の爪から派生した炎の爪がノットリ2体を消し炭に変える。

攻撃の余波で建物の一部も崩れていった。

2人は周囲を警戒し、敵がいない事を確認した。


「…よし。警戒しながら建物を調べてみよう」


2人は建物を調べる事にした。

攻撃の余波で崩れた部分から潰れた部屋が見える。中の書物は燃えてしまっていて黒くなってしまっていた。


「これは…証拠隠滅なのか?」


ザンダが手に取った書物も黒焦げで中は何も読めない。

書物など何か情報を得られそうなものばかりが燃えていて、他の家具などは燃えていない。


ユウは諦めずに手がかりを探す。


(どこかに手がかりがあるはずだ!時計塔につながる何かが!)


燃えた書物を一つ一つ確かめて読めるところがないか探していく。

たくさんの燃えた書物が重なっている所の1番下に、数箇所読めるものを見つける事ができた。



『風切り:憑神化実験 NO.??』


「憑神化実験?」


タイトルだけ読める状態だった。


(憑神の実験をしていて、あの風切りは実験体だったということ?)


他に読める部分はないか本をめくる。


『…ドラゴン……て…効………か検……る必………』


(ドラゴン?)


所々読めるが穴抜けであった。ドラゴンという単語だけはわかった。

他に燃え残ったものはないようだ。

ザンダにも書物を見せて、2人は書物を持ち帰る事にした。


敷地内を探索したが行方不明の討伐師達は見つける事が出来なかった。

他に探す当てもなく、2人は富士の町へ帰還した。

2人は対策課にて捜索の結果を報告。書物を提出し、その後の捜索は町の職員が引き継ぐ事になった。軍から捜索の人員が派遣して来る予定らしい。

救出した討伐師は目を覚ました。この町の討伐師で、センサーが赤くなった場所へ出動しようとした時に背後から襲われ、いきなり何かに包まれてしまってから記憶がないと言っているそうだ。


「僕たちは東部へ戻ろう」


軍も派遣されるため、自分達の町へ帰還することになった。

乗ってきたトラック乗り、2人は東部へ帰還するのだった。

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