第45話 包囲
ガルザへ調査に向かう当日。セレナに「一緒に行きたい」と押し切られた俺は、治癒師のマティアスと、騎士団員を同行させることで折れた。
ユリウスはこうなると分かっていたらしく、昨日のうちに既に出発の準備を整えていたのだった。
「セレナ、絶対に俺より前に出るんじゃないぞ」
「はい、レオ様」
嬉しそうな笑みを浮かべる彼女に、同行する騎士団の連中の顔がデレデレとだらしなくなる。
セレナを誰にも見せたくないからと、全身を覆い隠すわけにもいかない。俺はやっと自分にも独占欲というものが備わっていたのだなと、どこか他人事のように感じていた。
「レオンハルト殿。私たちは教皇様と合流し、神殿を調べます」
「俺とセレナは事故現場へ向かう」
「はい。調査が終わりましたら迎えに参ります」
「何かあれば『鳥』を飛ばす」
「承知しました」
俺たちは神殿より手前にある事故現場で、二手に分かれることを確認し、ガルザへ向かった。
「レオ様、『鳥』を飛ばすのですか?」
馬車に乗り込んだセレナが、興味津々といった眼差しで俺を見つめている。
「ああ、緊急時の連絡手段だ。魔力で作った『鳥』を飛ばして、特定の相手にだけ伝言を届けることができるんだ」
そうして話しているうちに、馬車は目的地へ近づいていた。
——ガタン!
到着予定場所の随分手前で、馬車が急停止した。その反動で座席から体が浮いたセレナを、俺は慌てて抱きかかえる。
「何事か!」
「か、囲まれています!」




