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第22話 その頃、神殿では

 レオンハルトがセレナと合流した頃の神殿では、患者たちの苦しげな声が朝から晩まで響き渡っていた。

 「いつもの子は? なぜ来ないんだ!」患者たちは神官たちへ詰め寄っていた。

 他の見習いが代わりに向かったが、セレナが普段どんな世話をしていたのか誰一人として分からなかったのだ。


 そして、夜の帳(とばり)が降りた頃……。


「痛い!」

 

「眠れない!」

 

「あの子を呼んでくれ!」

 

 患者たちは痛みに眠ることもできず、苦しみに叫び声を上げる者さえいた。

 

 そんな中、トーマスたちは同室の者たちと共に、わざと夜中に騒いでみせた。

 

「痛い……」

 

「あのお嬢ちゃんはおらんのか?」

 

「俺も眠れない」

 

「いつもの見習いを呼んでくれ」

 

 その裏で、調査も順調に進んでいた。

 慌ただしい神殿では、患者の動きを一人ひとり把握している人間などいないからだ。そして、不審な動きが見つかりそうになると……。


「あの嬢ちゃんはどこじゃ?」

 

 と聞き返せば、聖女も神官も見習いたちまでも、何も言えなくなるのだった。

 

 神官やローレンツは、「たかが雑用係だ」「他の見習いで十分だ」と最初は取り合わなかった。しかし、いつまで経っても苦情が止まらない。

 

 聖女見習いたちは夜中に何度も呼び出され、疲弊していった。やがて聖女たちまで担ぎ出される事態となっていたが、それでも患者は満足しない。


「……なぜだ?」


 ローレンツは眉をひそめた。


 トーマスが「あのお嬢ちゃんはまだ戻らんのか?」としつこく問いかけると、他の患者たちもローレンツを囲んでセレナの行方を問い詰める。

 

 疫病神を追い出せたと思っているローレンツらは苛立ちを募らせていた。


「……あの雑用係が一人いなくなったくらいで、なぜ神殿が回らないんだ!」


 ローレンツの怒鳴り声が、神殿内に響き渡るのだった。

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