第2話 今日は絶対に学校へ行くんだよな、作者!
第2話 今日は絶対に学校へ行くんだよな、作者!!
「この野郎!」
涼太の母親は、ひとりで何かを叫んでいる涼太を見て、早く朝食を食べるように促した。
「涼太、何してるの? 早く食べなさい。今日は高校の入学式でしょ」
「お母さん、お兄ちゃんのことは放っておいていいよ。いつも頭の中が変なんだから」
妹は朝食を食べながら、当然のように兄をからかった。
「誰が変だって? 俺は今……いや、何でもない! ごちそうさま!」
「お兄ちゃん、待ってよ~。一緒に行こう?」
妹は涼太の袖を引っ張りながら、急いで朝食を口に運んだ。
「引っ張るなって。待てばいいんだろ」
「えへへ~。お兄ちゃん大好き」
涼太は仕方なく椅子に座り直し、手元の食器をいじった。
母親はそんな二人を見て、微笑んだ。
「あなたたち、昔からずっとそうよね。特に涼太は、妹に何か頼まれると嫌そうな顔をするのに、結局ちゃんとやってあげるんだから」
「こいつがしつこいからだよ。それに、断ったら殴ってくるし」
涼太は妹の腕を軽く叩いた。
すると妹は、すぐに叩き返してきた。
「こんなに可愛い妹が、お兄ちゃんを叩くわけないでしょ?」
『ん? 今、普通に叩き返してなかった?』
「いや、今叩いただろ!」
妹はむっとして言い返した。
「だって、お兄ちゃんが先に叩いたんでしょ!」
涼太は反論しようとしたが、少し考えてみると、たしかにその通りだった。
「食べ終わった! 行こ!」
「やっとかよ~。ようやく俺の学校を見に行ける!」
涼太と妹は食器を洗い終えると、家を出た。
『両親、ちょっと便利キャラっぽくなってるな~。でも本当にどう書けばいいのか分からないんだよね』
「それはお前の問題だろ!」
「お兄ちゃん、また空気と話してたでしょ?」
「話してない」
「お兄ちゃんがそう言う時って、いつも斜め上を見てるんだよね」
妹は冷ややかな目で言った。
「空を見てただけだ」
『今日の天気、まだ設定してなかった』
涼太が空を見上げる。
空の半分は晴れていて、もう半分は真っ白な空白だった。
「この野郎!」
妹は無言で一歩横に離れた。
「お兄ちゃん、本当にちょっと離れて歩いて」
『ばーか』
「お前ら二人ともこの野郎!」
「何してるの! そんな大声出さないでよ!」
妹は涼太の腕を拳で叩いた。
涼太は痛みに顔をしかめながら、叩かれた場所を押さえる。
「もう少し手加減しろよ!」
涼太は涙目になりながら妹を見た。
「お兄ちゃんがバカなことするからでしょ?」
妹はまったく気にした様子もなく、涼太をからかった。
「お前、覚えてろよ! 叩き返してやる!」
涼太が近づこうとした瞬間、妹はもう一度涼太の腕を叩き、そのまま走り出した。
「追いつけるなら追いついてみなよ!」
「逃げるな!」
涼太は妹を追いかけた。
そして二人は、十字路まで走ったところで足を止めた。
「お兄ちゃん、私はこっちの学校だから」
「分かったよ。学校まで気をつけて行けよ。何かあったらメッセージ送れ」
二人は十字路で別れ、それぞれの道へ進んでいった。
『いいな~。こんなお兄ちゃんがいて』
「お前には関係ないだろ! それより、タイトルでは一日消えるみたいなこと言ってたくせに、再開してからずっと出てるじゃないか」
『そんなこと言われると傷つくな~。それに、読者だって僕と話したいかもしれないじゃん』
「誰がお前と話したいんだよ。読者は絶対、俺の恋愛が見たいに決まってるだろ? そうですよね、読者の皆さん?」
涼太は空白の向こう側をじっと見つめた。
『そんなに見たら目玉くり抜くよ。人様のプライバシーを少しは考えなさい』
「分かったよ! じゃあ、そろそろ学校へ行くぞ」
『あ~、学校ね~。へへへ~』
「今度は何を企んでるんだよ」
『えっと、小さい子が……小さなペンギンが……小動物が……』
「お前、また考えてないだろ!」
『うん……そう……』
「この野郎! ちゃんと書かないと、いつまでたっても本筋に入れないだろ! 読者だって俺たちの雑談に飽きるぞ!」
『いや~、わざとじゃないんだって~。もう一話だけ時間をちょうだい。第3話では絶対、絶対に本筋へ入るから!』
「その言い方、詐欺メールみたいだな」
『信じて』
「作者が信じろって言う時ほど、一番信じちゃいけないんだよ!」
『大丈夫。第3話には必ず学校が出る』
「学校だけ?」
『……たぶん、クラスメイトも出る』
「ヒロインは?」
『……』
「今、黙ったよな?」
『それでは、第3話でお会いしましょう!』
「戻ってこいよおおおおお!!」




