一章 _二
二人は魔物に関する資料をしっかりと確認してからその日は解散し、魔術の研究や装備を整えてから眠りについた。
そして、朝がやってきた。
煌良「怜くん、おはよう!」
怜「おはよう。」
煌良と怜は軽い挨拶を交わし村から森に続く道へ進んだ。
煌良「迅臣さん、結構強そうだね。」
怜「あぁ、昔は王国の魔物討伐隊にいたらしい。」
怜は誇らしげにそう答えた。
煌良「へぇ…。そういえば怜くんはなんで森で遊ぶようになったの?」
煌良は怜のことに興味を持ち様々ことを質問した。
怜「ここは田舎過ぎてそれくらいしか娯楽がなかった。」
煌良「じゃあ、森はそんな好きじゃない?」
怜「そういう訳じゃない、森は好きだよ。」
怜「風に木々が揺れる音、川のせせらぎ、鳥たちのさえずり、その他にも森の好きな所はいっぱいある。」
怜はまたもや淡々と質問に答えるが、その言葉には前に感じられなかった優しさと子供らしさを感じられた。
煌良「そうなんだ!私も森は好きだよ!
幼い頃に綺麗な星を見るためによく家を抜け出して森の近くまで行ってたんだ。」
怜「星か…確かに星は綺麗だ。」
煌良は怜から出た「星は綺麗」の言葉に嬉しそうにしていた、怜も煌良の「森は好き」の言葉に嬉しそうにしていた。
それからしばらく歩き、煌良達は魔物が確認されたという森に踏み入ろうとする。
怜「ここからはいつ魔物と鉢合わせるか分からない。」
怜は周囲を警戒しながら少しずつ森に近付く。
煌良「よし、じゃあ早速森の中へと出発!」
煌良は特に気を引き締めずに森へと進もうとするが怜に止められてしまう。
怜「気を抜きすぎなんじゃないか、今回は様子見とはいえ相手は魔物なんだ、命の危険も十分にある。」
怜「昔、僕の友達も魔物に襲われた。…迅臣さんが助けてくれたから命は助かったけど。」
怜は煌良に魔物の恐ろしさを説きながら、警戒するようにキツく促す。
煌良「…気をつけるよ。」
煌良は魔物の危険性を甘く見ていたことを深く反省し気を引き締める。
それから森へと踏み込んだ。
森を警戒しながら進んでいると…
怜「酷いな…」
そこには腹を抉られ周囲に血を撒き散らし倒れている鹿の姿があった。
煌良「周囲の木々も傷だらけ…」
怜「ここからは更に慎重に行こう、まだ近くにいるかもしれない。」
煌良達はその惨い光景に怯えと恐怖を覚え、命の危機を身に覚えた。
森を調査して数時間後…
怜「そろそろ引き上げよう、今帰れば暗くなる前に村に着く。」
煌良「そうだね、今日はもう引き上げよう。」
引き上げようと来た道を引き返していると…
怜「待って。」
煌良「なに?」
怜「傷が付いている木が来た時よりも明らかに増えている。」
その時、なにかが凄い勢いで走ってくる音が聞こえた。
怜「右からなにかが猛スピードで迫ってきてる。気をつけて。」
煌良「わかった。」
二人は戦闘態勢に移る。
怜「来るぞ!」
その瞬間に魔物が地面を抉りながら一直線に突進してくる。
二人はギリギリのところで勢いよく地面を蹴り、魔物の凶悪な牙が煌良の服を掠める。寸前で躱した魔物の突進は煌良の後ろにあった木を打ち倒していた。
煌良は自身が開発した魔道具「星滴」を両手杖に纏わせる。
淡い光が走り、杖が一瞬で槍へと姿を変える。
煌良は振り向きざまに、勢いのまま反撃し、怜は大きく距離を取り弓を引き絞り、魔物に向けて鋭い矢を放つ。
「ガンッ」
煌良の反撃が岩を叩いたような、鈍い音を鳴らしながら弾かれる。
煌良(いくらなんでも硬すぎる…。)
煌良の反撃は無情にも弾かれ、怜の矢も魔物にダメージを負わせることは叶わなかった。
魔物は何事も無かったかのように体勢を整え次の攻撃の準備をする。
魔物の充血した目、荒い息遣い、蠢く体毛に本能的に危険を感じて、煌良は魔物から距離をとる。
少しの間煌良と魔物は睨み合う。
数秒後、先に怜が魔物の側面から脇腹に矢を放つ。
一瞬遅れて煌良は魔物に急接近し、魔物の前足を切りつける。
しかし怜が放った矢と煌良の槍は、魔物の岩のような硬さの骨に阻まれてしまう。
魔物は煌良の槍に噛みつき、槍を引き剥がそうと頭を振り回す。
煌良は予想以上の力に体勢を崩し槍と共に振り飛ばされる。
魔物は怜に向かって頭を下げながら突進する。
煌良はすぐさま体勢を立て直し怜の元へと走り出す。
怜は魔物に矢を放つ。
魔物は飛んでくる矢に目もくれずに突進を続ける。
怜は素早く近くの茂みに飛び込み、魔物の突進を回避した。
魔物は怜を見失い辺りを見渡す。
その瞬間、背後から近付いていた煌良は魔物の死角から渾身の一撃を叩き込む。
その一撃は魔物の背中に突き刺さり、魔物はその痛みに叫び声をあげる。
魔物は背後にいる煌良を攻撃しようと後ろ足を振り上げる。
煌良は間一髪で躱し、魔物の後ろ足を槍で切りつけ浅い傷をつけながら後退した。
魔物は歯をカチカチと鳴らし、息を荒くしながら怒りと殺意がこもった目で煌良を睨む。
魔物は煌良に向かって素早く近付き、凶悪な牙が付いた頭をしゃくりあげる。
煌良は回避が間に合わないと判断して星滴を瞬時に盾に変形させ、それを構えた。
煌良は魔物の攻撃を辛うじて防御できたが、その凄まじい攻撃に怯んでしまう。
その隙を魔物が見逃す訳もなく、魔物は煌良に向けしゃくりあげた頭を振り下ろして攻撃し、煌良はその攻撃を脚に受けてしまう。
煌良「イ゛ッッた゛ぃ゛…。」
煌良は魔物の攻撃により地に臥し、痛みによって動けなくなってしまう。魔物が煌良の脚を砕こうと次の攻撃を繰り出そうとする。その時、怜が煌良の元へ走り出し魔物に目潰しを投げつけ、煌良を抱え魔物から大幅に距離を取り姿を隠す。
魔物が放った攻撃は空を切り、目潰しを受けた魔物は暴れ回り、自身の涙で視界を失い煌良達を見失なう。
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