一章 _三
煌良は魔物の攻撃により地に臥し、痛みによって動けなくなってしまう。魔物が煌良の脚を砕こうと次の攻撃を繰り出そうとする。その時、怜が煌良の元へ走り出し魔物に目潰しを投げつけ、煌良を抱え魔物から大幅に距離を取り姿を隠す。
魔物が放った攻撃は空を切り、目潰しを受けた魔物は暴れ回り、自身の涙で視界を失い煌良達を見失なう。
煌良達は魔物に対抗するため、作戦を練る。
怜「大丈夫か!」
怜は冷や汗をかき、焦りがこもった声で煌良に問いかける
煌良「大丈夫…ありがとう。」
煌良は攻撃を受けた足を気にしながら怜に礼を伝える。
怜「礼は生きて帰ったらだ、それより、あの魔物をどうやって倒すかだ…。」
怜「そうだ!その魔道具を魔物に食わせて体内から貫くのは?」
煌良「無理…吐き出されると思う、この魔道具、私が触れてない時は動きが鈍くなるし、硬化時の硬度が著しく低下する、後私にできる事は簡単な身体強化くらい。」
怜「そうか…。」
怜は残念そうにして、魔物を倒すための案を模索し続ける。
煌良「怜はなにか持ってたりする?」
怜「さっき使った目潰しがあと一つと、油、爆竹、火打ち石と火打金、痺れ毒と痺れ毒の解毒薬くらい。」
煌良「使えそうだね…。」
煌良はそう言い、魔物を倒すための作戦を詰め始める。
辺りが暗くなり始めた頃…
煌良は怜から油壺を受け取り、慎重に魔物の背後に回り込み、怜は魔物の側面の茂みに隠れた。
カチンッ…カチンッ
魔物は茂みから聞こえる音に気づき、慎重に近付く。
パンッパンッ
突然鳴った爆竹の音に魔物は注意を逸らされる。
その瞬間…煌良が魔物に油壺を投げつけ、怜が火矢を放つ。
一瞬で魔物の体に炎は広がり、突然の出来事に魔物は状況を理解できず、苦しそうな声をあげる。
怜(これなら、どんなに頑丈でも…。)
魔物はのたうち回りしばらくの間地面に体を擦り付け、火が消えた。
魔物は突然の攻撃に怒り狂い、血眼で辺りを見回す。
煌良が魔物から少し離れた所に姿を現す。
魔物が煌良に気づき、目を真紅に染め、歯をガチガチと鳴らし、体毛を逆立て、息を荒くし怒りを露わにし、煌良に向かって全力の突進を放つ。
その突進は魔物は今までに放ったどの突進よりも速く、鋭く、強い一撃だった。
その一撃は巨木を、岩を穿ち、煌良を死に至らしめるには十分過ぎる一撃だった。
魔物が物凄い勢いで一直線に突っ込んでくる。煌良はギリギリまで引き付け、次の瞬間体を勢い良く捻って攻撃を躱す。
すれ違いざまに、突進の勢いを乗せて全力の一撃を叩き込み、その一撃は魔物のこめかみを貫いた。
魔物はこめかみを貫かれたものの、突進の勢いは止まらずに煌良は突き刺した槍を手から離し、転んでしまう。
魔物は大量の血を流し、よろめきながらも
煌良に次の攻撃を開始する。
煌良は体勢を崩しており、星滴も手放してしまっており、防御を選択せざるを得ない状況。
魔物は重症を負っているとはいえ、人を殺すには十分な力を持っている。
魔物の凶悪な牙が煌良の体を貫こうとする。
万事休すと思われたが…
怜が魔物の側面に全力の体当たりを喰らわす。
魔物は煌良の命にその凶牙が突き刺さる寸前で倒れた。
槍が脳を貫き、大量の出血を経てもなお魔物は立ち上がろうともがいていた。
煌良は体勢を崩したまま数秒の間放心状態になってしまったがすぐに体勢を立て直し、魔物の体を貫いたままの星滴を回収して魔物の心臓に向け槍を突き刺した。
その後、土で汚れた怜が煌良の元へ駆け寄って話しかけた。
怜「終わったな…。」
煌良「なんとか…ね。」
二人は勝利の余韻に酔い、煌良は強い疲労感に地面に横たわった。
怜「汚れるよ。」
煌良「ふふっ、お揃いだね。」
煌良は笑いながら地面に大の字になる。
怜「………。」
怜は呆れや安堵を感じながら帰るための準備を始める。
怜「もうこんなに暗くなってしまった…。」
怜「早く戻らないと…村のみんなが心配してるだろうし。」
煌良「待ってよ〜。」
煌良は面倒くさそうにしながら立ち上がり、服に着いた土を払い怜のあとを着いていく。
しばらく歩いていると…
煌良「こんなのがいるなんて聞いてないんだけど…。」
怜「………逃げるぞ。」
そこには先程の魔物の3倍くらい大きな魔物がいた。
怜と煌良は一歩下がり逃げようとする。
その時、星滴がなにかに反応して淡い光を放ち、魔物が煌良達に気づいてしまう。
怜「まずい…。」
怜は疲労困憊の煌良を抱え全速力で走り出す。
それに続き魔物も煌良達を追いかける。
魔物が近付くほど星滴の放つ光は強さを増し、魔物に居場所を教えてしまう。
怜「どうにかできないのか!その光ってるやつ!」
煌良「なんで光ってるのか、私にも…」
煌良(どうして光ってる?なにかに反応して…?)
煌良は星滴が光っている原因を頭の中の知識から導き出そうとするが、怜の声によって現実へと引き戻される。
怜「服の中に隠すとかしてくれ!」
煌良「あぁ!ごめん!」
煌良は慌てて星滴を服の中に隠す。
煌良(星滴が脈打ってる?)
怜(まずいな、そろそろ森を抜ける…木々が魔物を邪魔してくれているが、それが無くなれば確実に追いつかれる。)
煌良「…私が囮になって魔物を引きつけるから、怜は迅臣さんを呼びに行って。」
煌良はポツリとつぶやく。
怜「は?!ヘトヘトの君が引き付けられる相手じゃない!君がなるくらいなら僕が囮になる!」
怜はガラにもなく大声を出して、自分が犠牲になると言った。
煌良「大丈夫…私には奥の手ってものがあるから!」
怜「………。」
怜が走りながら悩み続ける。
煌良「二人が生きて帰るために…お願い。」
煌良のその言葉に怜も意志を固める。
怜「信じて…いいんだな。」
煌良「大丈夫!」
怜「すまない、ありがとう…。」
怜は役に立てない自分の不甲斐なさを謝罪して煌良に感謝した。
煌良「礼は生きて帰ってたら、でしょ!」
怜「あぁ…そうだな。」
そう言い、怜は煌良を下ろしてから村へと全速力で向かいそれと同時に煌良は奥の手を解放した。
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