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その名は郡山蓮

投稿時間遅れてしまい申し訳ない!基本19時だけど20時になることもあるかも!許して!

あ、あと今回から一人称が変わるよ。楽しみだね!

53人。


私の言葉を聞いた郡山はただ、

「そうですか。」とだけ呟いた。


そして席を立ち上がり、淹れたコーヒーにも手を付けず大隊本部を出ていこうとする。


「大隊長、あとで[ロロ]に関する事件の記録全てをPDFファイル化して送ってもらえますか?」


「いや、あれは幹部以上の機密ファイルでね…郡山君にはちょっと…」


[真狼]のデータは国家危機レベルの脅威のデータなので安易に公開していいものではない。

少なくとも[七羊]以上の階級がないとアクセス権すらないのだ。


しかし、郡山の言葉を聞いた瞬間私の顔は一瞬にして凍りついた。


「いや、ファイル自体はサーバーをハッキングして持ってるんですけど、偽物を掴まされてないか心配なので。」


「え?」


「そういうことなんで。よろしくお願いします。では失礼します。」


私が驚いてキョトンとしている間に本当に出ていってしまった。

まさか裏でそこまでコソコソやっていたとは…


(参ったな…勤務初日から戒律違反は起こしたくないんだけど…。)


私は協力するか否か頭を抱えながら唸ったり足をばたつかせたり忙しなくして何とか紛らわそうとした。


「先輩?」


「あ、ひゃい!!」


それは足利が歓迎会の為に私を呼びに来るまで続いた。


______________


僕は郡山蓮。今日から早乙女大隊3等兵である。

さっき大隊長に挨拶を済ませてきたところだが正直がっかりだった。

あの頃の熱はもう彼女にはないようだ。

まるで腑抜けている。


SSランク狼[ロロ]は自分が殺す。


実質15年分のブランクなので誰にも抜かれまいと先を走るよう常に努力してきたがどうやら今自分が一番飛び抜けてしまったらしい。

寮の部屋に戻り、僕はパソコンを開く。

ホームから暗号化されたファイルを復元してパスワードを打ち込み[開く]をクリックした。


そこには今までの[ロロ]が関わったとされる事件がずらりと並んでいた。

関わったと言っても狼男は基本単独行動で群れることはないので全て[ロロ]単独による捕食事件だが。

頬杖をついて僕はカーソルを不満を表すようになぞり、下へスクロールしていく。


一番下にそれはあった。

[ロロ]最初の捕食事件。

犠牲者:2名 負傷した幼子を保護。ほか隊員1人が負傷。

WF-64は腕を失ったまま逃走した。

対処にあたった隊員:伊藤 早乙女 織田 足利


隊員のうち織田は次の戦闘で[ロロ]に殺された。

早乙女大隊長より先輩だった伊藤という人もこの戦いで[赤頭巾]の戦闘員をやめ情報班に転勤している。

足利さんはその後も生き残り今は早乙女大隊長の下で働いている。

やつはたくさんの人の人生を狂わせた。

しかし、その中で恩恵を受けたであろう人もいる。


早乙女秋大隊長。

彼女が何故大隊長にまで昇進したのか。

実績も確かにある。しかしそれより[真狼]と対峙した経験があるというのが大きかった。

実際、[ロロ]が殺害数を増やすにつれ彼女の隊での評価はうなぎ上りに上がっていたらしい。


現場の総司令を務めるには[真狼]などの強力な狼男にも即座に対処する判断力が求められるからだ。


そして[真狼]と戦闘をして生きて帰った人間というのがそもそも少ない。

その戦闘は生き残っても何処かで別個体に殺されていたり隊に居なかったり様々な形で居なくなっていた。

結局、前任の引退の引き継ぎとして彼女に白羽の矢が立ったのだ。


別にそれを羨んだり快く思っていないというわけではない。

悲惨な目に合う人間がいれば、また別の人間がいることも分かっている。

だがしかし、生き残ったならば生き残った者なりのやるべきことがあるのではなかろうか。


やつを自分の手で殺すというたいそれた目的じゃなくとも、代表として積極的な姿勢は見せていくべきだろう。


だからさっき、あれを見た途端に心底失望した。

自分に機密データを渡せないというのはまだわかる。

[ロロ]討伐への意欲が感じられなかった。

上の立場になって配慮する人間が増えたのか知らないが、正直どうでもいい。

とにかく早乙女大隊長の協力は得られそうにない。

ならば自分一人でやってやる。ここまで来たのだから。

地道に奴らを狩り続けたらいつかは遭遇する。


はたまた、もう死んでいるならそれでもいい。狼男といえど寿命に縛られる。自分の手に掛けられなかったのは残念だがこの世から消すことが目的なので悔しいが問題はない。


僕はそっとパソコンを閉じると部屋に立てかけてある写真をみる。

あの夜、織田だったか足利先輩だったか忘れてしまったが、医療室に届けてくれた家族写真。

それは未だに色褪せることなく平和な家族を今日も映している。


「父さん、母さん。じゃあ、行ってくるね。」


僕はひと言写真に声をかけ、正装に着替えて部屋を後にし、歓迎会の指定された部屋へと薄暗い廊下を1人向かった。




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