懐古
更新しました!
3話目、モチベ失わず続けられています笑!読んでくれる人がいるのが本当に嬉しい!これを続けて文章力をつけるぞ!面白くするぞー!!
気づけば15年が経っていた。
春。今日は新入生が入ってくる日だ。
私は前線を退き、気づけばこの春から「赤頭巾」の幹部「七羊」の一人となっていた。
幹部の上には副総長と総長を置くのみである。
現役討伐数35。共同討伐回数52。自分でもよくやったと思う。確か歴代20傑には居た気がする。数字に興味がないので覚えてないが。
結局、あの狼男…WF-64 はあれから出会うことはなかった。
私のいないところでやつは殺害を繰り返し、やつもまた最高のSSランク狼[真狼]にまで認定されていた。
SSランクに達した狼男は世界の脅威として特別な呼び名がつく。
やつは
「ロロ」
古ノルド語で「名高い狼」を表す名前で呼ばれるようになった。
奴の真髄は驚異の再生力と知能の良さだ。
奇襲を得意として多少の致命傷では止まらない。
今、名前付きの狼男は全部で7体のみなのでやつはとんでもない強敵だったわけだ。
昔はなんとかして討伐しようと躍起になっていたが最終的には諦めざるを得なかった。
10年前からやつは突然姿をくらましそれからの捕食行動は一切確認されていない。
あぁ、私から交代する前にこれも話しておこう。
狼男には元となる人間の姿がある。
狼が先か、人間が先なのかは未だに解明されていない。
しかし、狼男は確実に人間社会に紛れている。
そして夜になると獣の姿となり人間を襲い食らうのだ。
狼[男]と付いているが別に男性に限った病気かなんかというわけではない。
狼になった姿が恐ろしく男らしいと言う理由で呼ばれているだけで別に女性の狼男も存在する。混同しやすくて厄介だ。
狼男となった時の体長は2m50cmほどだ。個体差はあるが人間よりははるかに大きい。
私たち「赤頭巾」は今から60年前、つまりあの夜は45年目だったか。狼男の発生からまもなくして結成された秘密組織だ。
世間的には存在するかわからない、謎の組織として認知されている。
まぁ狼男の被害は毎年のように出ているのに政府がそれを放置するわけないのでそのような組織はあると考えるのが自然だろう。
「赤頭巾」は主に狼男の遺族で構成される。戦闘班、情報班、医療班、技術班に分かれるが大抵は戦闘班となる。
理由はわかるだろう?
みんな狼男が憎いのだ。
今現時点で狼男についてわかることは少ない。
まず、人を食らうのは衝動であり食料ではない。
狼男の時の記憶は人間に戻っても引き継がれる、狼男の時の欠損も人間化してもそのままだ。
狼男を殺す方法は一つ。銀の武器で傷をつけることだ。
逆に銀以外ではほとんど傷をつけられない。
戦闘班にはそれぞれオーダーメイドで持ち武器が入班時に配布される。
私はマスケット銃を希望したが織田と足利は刀を選んでいる。
…おや、そんなうちにそろそろ新しくこの隊に入ってきた子たちが挨拶に来る頃だね。
私が実質この隊を指揮する7人のうちの1人なので
「早乙女大隊」に配属された子たちが来るはずだ。
まだ名簿リストはみてなかったな…今年は特に優秀と聞いてるし、みんな頑張ってくれるといいんだけど。
毎週のように入ってくる殉職者の名前をリストアップするのはいい加減疲れた。
上の立場になってみたらなってみたで普通に平のころに戻りたいと思えてくるから不思議だ。あの地獄の戦闘は二度とごめんだけれど。
コンコン。
どうやら来たみたいだね。
「入りなさい。」
ガチャ。
「「「失礼します。」」」
(…?)
「…ッ!?」
入ってきた内の一人の子をみた途端に、私は頭が痛くなった。というより驚きで卒倒しそうになった。
「あ…。」
向こうも気づいたようだ。
「…君は…。」
さっと深く頭を下げ[あの子]が言う。
「早乙女大隊長、お疲れ様です。この度、早乙女大隊に配属されました。郡山です。…15年前は誠にお世話になりました。」
「…なったんだね、[赤頭巾]…。」
懐かしくなり、言葉も思わず砕けてしまった。
ほかの新入り達はわけも分からずオドオドしているがそれは一旦どうでもいい。
忘れるわけもない15年前のあの事件。
あの時助かった唯一の子供。顔の傷は未だにうっすらのこっている。
「ええ。僕がいないうちにあの狼男…[ロロ]は本当に危険になりましたね。」
私は、足利中隊長から渡されていた新入りの履歴書を引っ張り出し郡山の名を探す。
あった。訓練隊第4席。討伐数3を既に記録。身体能力に関してはぶっちぎりトップだった。
あれ、これ私より優秀じゃね?
と思ったのは内緒で。
「オホン。君たち、早乙女大隊へようこそ。私が大隊長、[七羊]の7柱目の早乙女秋だ。歓迎するよ。あとで歓迎会兼交流会をするから君たちも出席するといい。というか主役は君たちだからね。」
少し怯えたようにして縮こまっていた新入りたちは圧をかけられなかったおかげか一気に顔が綻び、
「「よろしくお願いしますッッッ!!」」
と一斉にお辞儀をした。
「歓迎会まで時間があるから自分たちの寮に戻って休むといい。あ、ただし郡山は残ってくれ。」
「はい…。」
郡山は苦笑しながらうなずき、ほかの新入りはやはり不思議そうな顔をしながら大隊本部を出ていった。
私は席を立ち、用意しておいたコーヒーポットにカップを置き、2人分のコーヒーを注ぐと応接用のソファーに向かって座り郡山にも促す。
「失礼します。」
「懐かしいな。」
私はコーヒーを置きながら、そう呟いた。
「ほんとですね。」
郡山も無意識といった感じで言葉を返す。
「最近調子はどうだ?うまくやって―」
「―どうでもいい世間話はいらないです。早く本題を。」
郡山は私の言葉を遮った。
本来ならお咎めが必要だが…
「…。」
「真狼…[ロロ]について全て話してください。奴がSSランクになったということは、50人以上殺したんですよね?」
私は彼の目を見つめる。
彼は目をそらしはしなかったが睨みもしなかった。
ただ、無感情な瞳で情報を取り込むロボットのように座っていた。
私は諦めて頷いた。
「…あぁ。犠牲者は合計53人だ。」




