孤独感
征吾は目を覚ました。
「また悪い夢を見たのか。」
征吾の着ていた服は汗で至る所がぬれていた。
「いい加減病院にいくか。」
悪夢のせいで彼は寝床についても、眠りにつくのはいつも深夜3時ていどだった。
しかし、今日という日は妙だった。
擦り切れた紙のような。
色あせていた。
しかし、征吾が受診した精神科医は新鮮であった。
「比山様、どうぞ。」
診察室にはいる。
その医者らしき人はどこかで見覚えがあった。
幾度となくあった錯覚。
「お座りください、比山さん。」
その医者はあまりにも若く見えた。
この見た目だとまだ研修生だろうと思われる。
征吾は疑問に思った。
「あなたが僕の存在について疑問を抱くのは問題ない。むしろ、正常ですよ。」
その医者は異常なまでに落ち着いている。
征吾は座席に腰掛けると、医者は手を差し出して、握手を求めてきた。
そして、
「平戸才と申します。よろしく。」
ヒトは全ての数列に存在する。
その個人としての性質は数値が変われば比例して変化してゆく。
そして、平戸はこの多次元的な存在理由よりもその性質の利用に着目していた。
平戸が望んだものは、人が求めたものに似ていた。
それはより上の己の創造だった。
様々なバージョンの世界で多様な動きを展開している。
しかし、すべての世界、あるいは数列が同じものになった。
空間は相互作用していたため、多様性を失うことは数列同期する事だった。
すべての世界はその数だけ様々な表情を持つ。
それに対して誰から聞いたわけでもないのに、憎らしくそれを恨む者がいた。
自分自身の今の苦しみ、幸せ、葛藤、それらが否定された感覚に陥ったのだった。
おそらく、無限に近い可能性がこの世にはある。
だからこそ、真理を確定させる事は困難と見た平戸は、その方向性を変えた。
まず1つ、自分自身のついて。
そして次は、世界の創造。
平戸は1つの目的を芹川のメタフィールドで達成していた。
あるバージョンで御白玲奈はその世界を崩壊させた。そのため芹川はメタフィールドというバックアップ空間を作り出し、情報のサンプルを採集する事にしたのだった。
そのバージョンの平戸は御白、比山はメタフィールドと共に消滅させられたが、彼は知能はすべてのバージョンと同じため、メタフィールドでの得た知識を実質、自分のものにできていた。
それは、ある時点で平戸はもともと人間だったということ。
比山の弟という設定が存在していた。
時間のわん曲により、その記録はアカシックレコードのみに存在していた。それは、芹川ら創造者というものたちの空間にしか存在していなかったのだ。
惑星衝突のさいの空間の歪みにより、創造者たちが想定していないバグが発生し、そこから何らかの部外物質が侵入した。
地球が人を望んだ理由を平戸は探していた。




