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構築空間

「ここは?」

ただの眼前に広がる草原。

風が吹くたびに、草は動きの強弱を変える。

草によって風は自らを表現していた。

多田はこの場にいる理由を有していないが、どこか必然性を感じていた。

「俺はなにを?」

彼の記憶は一部飛んでいた。


「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


その絶叫は遠くから聞こえた。悲しみの叫びであり、しかしどこか歓喜をあげる声にも聞こえた。


「君たちの世界で歪みが起きるとこのようになるのか。」

と芹川十也は、征吾と玲奈にそう言うと

無限に広がる草原を歩いている。

2人は行くあてもないので、芹川に付いてゆく。

「哲学的であって、そうした思考にたいして、君たちの言うレッテルというものを付けることでそれは、

社会的に実用性に乏しいものとされる。

では、君たちは事に行き詰った時、どうするのかな?」

芹川は延々と広がる草原に不自然に存在する。椅子に腰かける。

「君たちも座りなよ。」


世良川ヨシナは多田の前にいた。

「いったいどうゆうことだ?」

多田は不可解な事件が世をにぎわせ、それが世界を侵食していくまでの記憶まではあった。

「物理的に確認できるものしか認識できない人よ、あたなは、あの世界でなにをみた?」

世良川も在るはずのない不確実な椅子に腰をかけた。

「あなたもお座り。」


「この空間が一体何か、なんて疑問はいらない。と言っても君たちはなにかしら自らの存在定義をより明確化するためにその情報を欲するのだろう。では、この場所が一体何かを言うまえにひとつ、言わせてほしい。」

と芹川は2人にいう。

「君たちのいた世界はなんだったのだ?教えてほしい。僕は君たちに地球、あるいは、人の社会と答えてほしいのではないんだ。一体君たちはどこに足を置いてなにを持って、自分としていたんだ?」

2人は何も言わない。


そらは徐々に色を変えていく。そしてその雲は我々の知るところの雲というより、雲らしかった。


芹川の問いかけに答える声が。

「どうせ、お前はその問いかけは問いという形を装った、説教なんだろ?

お前の次に続く言葉は、『明確という嘘で、あいまいを誤魔化し、曖昧そのものを現実として生きようとしたのが、人間だ』だろ?」

芹川は数メートル先に立っている少年を見つめた。

「平戸くん、君までこっちに来れたのか。」

「存在しない人間は内にそれを持てば、こんな所、問題ないんだよ。」


征吾は、声を上げた。

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ」


多田が耳にした声の主は征吾だった。


「もう、この空間も持たないな。」

平戸がそういうと、

征吾のもとへ駆け寄り、こう言った。

「御白になにをした?彼女はただの数字じゃなかったんだ。人が本来持つ孤独を形成する数字を融解する記号を持っていた。だから彼女と関わった、人は次々にヒトツになった。両親は彼女を作成したマザーコードだったから、その同期化を受けなった。

だが君はなぜ、彼女とかかわって無事だったんだ?」

征吾は

「俺もあんたと同じ立場で、物を見て、考えていたんだ。なのになんだっていうんだ?

俺はなんなんだ?俺だって、俺だって、他人に何か求めたっていいじゃないか?

それで、否定されたっていいじゃないか?それで、もう、気がめいったっていいじゃないか?」

横に立っていた、芹川は

「だから、人に何を言われたってどうでもいいじゃないか?」


「もう、ここもダメみたいね。連続した時間はまた不連続性を内包した

一種の亜空間になるわ。」

世良川は、ただ、空を見つめる。

「お前たちはなんだ?」

「私たちは、あなたたちが、まだ細胞だったころに未熟な星に送り届けたもの。

あるいは、あなたたちが住んでいた宇宙の存在に気付いたもの。」

多田はイライラしていた。だが、もう、どうしようもない。

深呼吸した。

「俺たちになにがおきたんだ?」

「質問ばかりね。これは物理的なものではないの。」

「聖書はそれなりに正しかったというわけか。」

世良川はため息をした。そして、すこし、眉間にしわを寄せ、

「アダムとイブ?あれは、あなたたちが私たちに近づこうとして、失敗した、設計図のようなものよ。

私たちは、いずれあなた達が私たちの様に思考できる段階に達することを踏んだ。

でもあなた達は、急激な思考力の上昇をある一定のところまで、して、その成長をやめたのよ。

そして、思考全体ではなく、ある分野を特化させ始めた。」


芹川は3人に

「君たち、新人といわれる、人類は、感情に焦点を置き、

そこに重きを置き始めた。

それが君たちが、膨大に作り出した、文化だ。

民族闘争なんかも文化のひとつだね。

あれは、あれで刺激的だったけど。同族の破滅は、少々、お粗末だった。

が、あれで、君たちは、自己存立のために同じ存在を殺すという手段を得たわけだ。」


平戸はただ、黙って聞いていた。









征吾は、元の世界を望み始めていた。








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