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不可解に

ある犯罪者を追い詰め、自殺に追いやってしまったある刑事。

多田正弥は天性の勘と事象の一つ一つを繋ぐことを得意とする刑事だ。

40代手前の彼は、30代に入ったばかりのある事件を忘れることができないでいた。



秋山孝太は17歳の時に一人の少女を殺した。

多田は秋山の度々残す犯行声明からなにかしらの秋山の孤独を感じていた。

そして、未成年が殺されたにもかかわらず、所詮、一種のデータのように扱うメディアを含めた世間そのものに不審な何かを多田は感じていた。

ワイドショーでは決まり切った言葉で、遺憾の意を述べるキャスターやコメンテータ達。

いつも通りにすぎてゆく。

いつも通りに周りの連中は、面白がったり、批判したり、ただ彼らは誰一人として自分自身という存在を考慮していない。

多田はまた秋山は人を殺すのだと思った。

結果的に秋山はまた人を殺した。

被害者は42歳の母親だった。

娘の前で行った。

娘はアザだらけだった。虐待を受けていたのだ。

「どうしてママをいじめるの?」

「君をいじめていたから」

すると娘は動かなくなった母に抱きついて泣いた。

「そうか。君の存在を僕は奪ってしまったんだね。」

秋山がそう言うと、娘は

「あなたは自分で自分を殺せない。あなたはあなたを失う」

秋山はギョッとしてその場から逃げた。

多田は娘がどこか異様な雰囲気であることに不安を覚えた。娘はこう言った。

「お兄ちゃんはまた人を殺す。そして死ぬ。あなたたちは死を守れますか?」

第三の殺人は起きなかった。

多田は聴き込み、彼の勘で

秋山を追い詰めた。

廃墟の屋上まで追い詰めると

「俺は俺を定義できるぞ!!あの娘みたいに存在価値を周りに預けない!!!」

多田は

「失いたくないか?自分を。それは死ぬことだぞ?」

秋山は何かに気づいた様子で身を投げた。


多田は事件を事件としてだけ取り扱っては解決しないことを学んだ。

多田はそれからこの世を斜めに見つめるようになった。

そんな時、夕暮れ時に例の娘に遭遇する。

御白玲奈。旧姓、山田玲奈。

数人の男性に取り囲まれているがすぐに何処かへ行ってしまった。


多田は玲奈に何かある事は感じていた。

人の何かに触れる何か。


そこで不意に出た言葉が、「もうスイッチをおすな。」であった。




東京都港区である事件が起こった。

始まりであり、続きであった。

















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