↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
39/71

第38話「月曜日の朝」

週末はあっという間に過ぎ、月曜日の朝がやってきた。


俺はいつも通り少し早めに学校へ着き、教室に入ると自分の席に座った。


それから数分後。


教室のドアが開き、愛乃が入ってきた。


教室に足を踏み入れた愛乃は、すぐに俺の席へ目を向ける。


そして、俺と目が合った。


「……」


一瞬だけ固まったかと思うと、愛乃は慌てて目を逸らし、自分の席へ向かった。


「おはよう、愛乃」


「えっ! あ、お、おはよう、レン!」


びくっと肩を跳ねさせる愛乃。


まるで不意打ちでも食らったみたいな反応だった。


愛乃は慌ててバッグから教科書を取り出し始める。


そのとき――


ぽろっ。


筆箱が手から落ちた。


中に入っていた鉛筆やペンが、床の上を転がっていく。


「あ……」


俺もしゃがんで、一緒に拾う。


「はい」


拾い終えた筆箱を愛乃に渡す。


「今日、なんかぼーっとしてない?」


「そ、そう? ……ありがとう。ちょっと寝不足なだけだから!」


愛乃は慌てて筆箱を受け取ると、顔を赤くしながら教科書を開いた。


そして、そのまま顔を伏せる。


俺は何気なく教科書に目を向けた。


……上下逆じゃないか?


「愛乃」


「は、はいっ!」


「その教科書」


「え?」


俺が指差すと、愛乃は自分の教科書を見下ろした。


数秒の沈黙。


「あ……」


愛乃は慌てて教科書をひっくり返した。


「……間違えただけ」


「そう」


俺は肩をすくめた。


土曜日はもっと普通に話していた気がする。


日曜日に何かあったんだろうか。


そんなことを考えていると、海斗が俺たちの席までやってきた。


「おはよう、レン。愛乃もおはよう」


「おはよう、海斗」


「お、おはよう……」


愛乃は小さな声で返事をした。


海斗は愛乃を見て、それから机の上の教科書に目を向ける。


「朝から勉強してるの?」


「え?」


「もう教科書開いてるじゃん」


「あ……うん」


愛乃は一瞬固まった。


それから小さく息を吐いて、また教科書に目を落とした。


海斗はそれ以上何も言わず、近くの椅子に腰を下ろした。


その直後――


ガラッ!


教室のドアが勢いよく開いた。


「おーっす! みんな、おはよう!」


武雄が大きな声を上げながら教室に入ってくる。


そのまま俺の机までやってくると、勢いよく手を叩いた。


「海斗! 次は絶対お前に勝つからな!」


「急にどうしたんだよ」


「この日曜日、ずっとボウリングの投げ方を研究してたんだ!」


「ネットで?」


「そうだ!」


海斗が笑う。


「まあ、次はボールがガターに入らないようにな」


「あれはたまたまだ!」


武雄はすぐに俺のほうを向いた。


「レン! お前からも言ってやってくれ!」


「武雄が負けたのは事実だろ」


「お前まで言うのかよ!」


海斗が声を上げて笑う。


「ほら、これで証人もいる」


「くそっ、完全に包囲されてる!」


そんなところへ、美子が教室に入ってきた。


騒がしい俺たちを見て、それから愛乃へ視線を移す。


「おはよう」


「おはよう、美子」


「愛乃、なんか今日静かじゃない?」


「そ、そんなことないよ」


「ふーん……」


美子が少しだけ目を細める。


すると愛乃は、机の下で必死に手を振った。


「言わないで」


そう言っているみたいだった。


美子はそんな愛乃をしばらく見つめる。


そして――


「はいはい」


そう言って、にっこり笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。