第17話「転校生」
朝はいつもと変わらなかった。
俺はチャイムが鳴る少し前に学校へ着き、自分の席に座った。
数分後、教室にタケオが入ってきた。
「おはよう、レン」
「おはよう」
「また俺より早く来たのかよ」
「みたいだな」
「お前、本当に遅刻したことないんじゃないか?」
「今のところ、する理由がないからな」
「なんだよ、そのつまらない人生」
俺は教科書を開いた。
それからしばらくして、先生が教室に入ってきた。
「はい、みんな。授業を始める前に一つ話がある」
教室が静かになる。
「今日からこのクラスに新しい生徒が来る。入っていいぞ」
ドアが開いた。
入ってきたのは、俺たちと同じくらいの年齢の男子だった。
彼は落ち着いた様子で先生の前まで歩いていく。
「自己紹介してくれ」
「カイトです。よろしくお願いします」
「よし。空いている席に座ってくれ」
カイトは教室を見回し、空いている席へ向かった。
そして、俺の席の近くで足を止めた。
「ここ、空いてる?」
「うん」
「じゃあ、ここにするよ」
カイトは荷物を置き、席に座った。
先生が授業を始める。
俺も教科書を開いた。
普通の転校生。
今のところ、特に変わったところはない。
休み時間になると、カイトはクラスメイトに積極的に話しかけ始めた。
人と話すことに慣れているのか、すぐに打ち解けていく。
気づけば、ほとんどのクラスメイトと話をしていた。
その後、カイトが俺のところへやって来た。
「こんにちは。君、レンだよね?」
「こんにちは。うん」
「俺、カイト。よろしく」
「よろしく」
「ごめん、急に話しかけて。ほとんどの人とはもう知り合ったんだけど、君とはまだ話してなかったから」
「そっか。これで俺たちも知り合いだな」
カイトが俺を見る。
「君って、いつもそんな感じで淡々と話すの?」
「いや。もともとこういう話し方なんだ。気にしないで」
俺はカイトを少しだけ観察した。
特に変わったところはない。
普通の男子生徒だ。
まあ、いいか。
「カイトは、何か趣味とかあるの?」
「君は何か好きなことある?」
「特にないかな」
「そうなんだ」
カイトは少し頷いた。
「じゃあ、またね。レン」
「またな」
カイトはそのまま離れていった。




