第13話「体育祭」
休日が明け、レンはいつも通り学校へ向かった。
今日は、いつもとは少し違っていた。
校庭にはすでに多くの生徒が集まり、先生たちは競技の準備をしている。
「レン!」
声をかけられて振り返ると、タケオがこちらへ駆けてきた。
「おはよう!」
「おはよう」
「今日は体育祭だぞ!」
「覚えてるよ」
「準備はできてるか?」
「まあ、たぶん」
「じゃあ行こうぜ。みんなもう集まってる」
俺はタケオと一緒に校庭へ向かった。
しばらくすると、体育教師が生徒たちを集め、今日の競技について説明を始めた。
「今日はリレー、徒競走、バスケットボール、サッカー、それからいくつかの団体競技を行う。怪我には十分注意して、ルールを守って楽しむように!」
先生の説明が終わると、生徒たちはそれぞれの競技について話し始めた。
俺もタケオと一緒にクラスの列へ並んだ。
最初の競技はリレーだった。
「レン、お前は三番目な」
クラスメイトにそう言われる。
「分かった」
それぞれが自分の位置につく。
スタートの合図とともに、最初の走者が一斉に走り出した。
しばらくして、バトンが俺のところまで回ってくる。
俺はそれを受け取り、そのまま走り出した。
前を走っている何人かの生徒との距離が少しずつ開いていく。
それでも俺は、そのままのペースで走り続けた。
次の走者へバトンを渡し、俺はコースの外へ移動する。
結果は一位ではなかった。
かといって、最下位でもない。
競技が終わると、タケオが俺のところへやってきた。
「もうちょっと速く走れただろ?」
「ちゃんと頑張ったよ」
「本当に?」
「本当」
タケオは苦笑した。
「まあ、いいけどさ」
リレーが終わると、少しだけ休憩時間になった。
俺はタケオと並んで座り、水を飲む。
「次のサッカーは絶対勝とうぜ」
「なんでサッカー?」
「この前、一緒にやっただろ?」
「ああ」
「だから今回は勝ちたいんだよ」
「じゃあ、頑張ろうか」
「おう!」
タケオが笑う。
そのとき、近くを別のクラスの生徒たちが通っていった。
その中にアイノがいた。
アイノはこちらを一瞬だけ見た。
けれど何も言わず、そのままクラスメイトたちと歩いていく。
俺も特に気にせず、視線を戻した。
しばらくして、サッカーの試合が始まった。
俺とタケオは同じチームだった。
「準備できてるか?」
タケオが聞いてくる。
「うん」
試合が始まる。
タケオはすぐに前へ走っていった。
俺は少し後ろに残り、味方からボールを受け取る。
そのまま別の選手へパスを出した。
「ナイス!」
「どうも」
試合はそのまま続いていく。
しばらくすると、また俺のところへボールが転がってきた。
目の前には相手選手がいる。
俺は少し横へ動き、そのままタケオへパスを出した。
「サンキュー!」
タケオが前へ走っていく。
だが、数秒もしないうちにボールは相手チームへ渡ってしまった。
試合はなかなかの接戦だった。
そんな中、見覚えのある選手がこちらへ近づいてくる。
リキオだった。
向こうのチームで試合に出ていたらしい。
リキオも俺に気づく。
「またお前か」
「そうみたいだな」
「今度は絶対に抜かせないからな」
リキオがボールを受け、そのままこちらへ向かってくる。
俺は相手の動きを見ながら、タイミングを合わせた。
そして、ボールを奪う。
「おい!」
リキオが声を上げる。
だが、ボールはすでに味方の選手のところへ転がっていた。
タケオが俺のところへ駆け寄ってくる。
「今の、どうやったんだ?」
「ちょうどいいタイミングだっただけだよ」
「お前、本当にサッカーやったことないのか?」
「ないよ」
タケオは不思議そうな顔をした。
「なんか変だな……」
試合はそのまま続いた。
スコアはなかなか動かず、同点のままだ。
そして、試合終了まで残りわずかとなった。
タケオがボールを受け、相手の守備を抜こうとする。
「レン!」
タケオからパスが飛んできた。
俺はボールを受け、そのままフリーになっている味方へパスを出す。
味方の選手がシュートを放つ。
ボールはゴールへ吸い込まれた。
「入った!」
「よっしゃあ!」
チームのみんなが一斉に喜ぶ。
タケオも俺のところへ駆けてきた。
「ナイスパス!」
「ありがとう」
「勝ったぞ!」
「うん」
試合はそのまま終了した。
その後も、いくつかの競技が続いた。
俺はクラスメイトたちと一緒に競技へ参加し、タケオも最後までチームのために頑張っていた。
すべての競技が終わる頃には、さすがにみんな疲れた様子だった。
最後に先生たちが集計した結果を発表する。
「それでは、体育祭の総合順位を発表する」
生徒たちが静かになる。
「第一位は――」
上位のクラスから順番に発表されていく。
そして最後に、
「第四位、二年三組!」
俺たちのクラスだった。
「第四位か……」
タケオが少し残念そうに呟く。
「悪くないだろ」
「でも、あと少しで三位だったんだぞ」
「次があるさ」
「そうだな」
タケオは笑った。
体育祭も終わり、生徒たちはそれぞれ荷物をまとめて帰り始める。
俺もタケオと一緒に校門へ向かった。
「今日は楽しかったな」
「うん」
「次の体育祭も一緒に出ようぜ」
俺はタケオを見る。
そして、少し笑った。
「いいよ」
「よし、決まりな!」
「うん」
俺たちはそのまま学校を出て、家へ向かって歩き始めた。
今日は、学校で過ごしたただの一日。
けれど、悪くない一日だった。




