第17章 閑話休題・ROUND2 ③ 後始末・門亜の伯父
門亜が住んでいたアパートに着くと、少ししおれた無数の風船が伯父を出迎えた。
「これを私たちで片づけるんですか?」
伯父に同行した刑事が言った。
「まあ……器物損壊と不法侵入だけで、これ以上の現場の保全は必要ないからな。扉を直し次第、解約するから片づけをしよう」
そう言うと伯父はのろのろとハサミを出した。
少ししおれた風船は、たるんだ場所を切ることで容易にしぼんだ。ただ、いくつかは逮捕前に割ってくれたとは言え、大多数は俺たちが片付けないといけない。
一体いくつ作ったんだ?
伯父は床に座り込むと黙々と風船に穴をあけては傍らの袋に詰めた。
……首が痛くなってきたな。伯父は首を回すように天井を見た。
げ。
割れた風船のかけらが、天井に張り付いていた。
粘着シートを買ってくるようか……。完全にとれるかどうか……細かいぞ……。
はぁ、と大きくため息をついた。
それでも風船をやっとのことで片づけて弘前から帰ると、伯父の机の上に車のカギが置かれていた。
おい!押収品だぞ!こんなところに置きっぱなしにするなんて……。
伯父が文句を言おうとすると、隣の刑事はどうも帰宅したようだった。きれいに片づけられ、臭いだけが残っていた。
どうしたんだ?と近くにいた刑事に聞いた。
「いや……青い車、中はきれいだったんですけど何というか……ありえない臭いがしていたらしくて、わずか100m移動させるだけで気持ち悪くなったようなんです。
しかも、服ににおいがついてしまって、それがまたすごく臭いんですよ。課長が、帰したくらいです」
伯父の頭の中で、一本の線がつながった。
あの日、移動を頼んだ車は放置したんじゃなくて、あまりの臭さに移動できなかったのか。
その時、伯父は課長から呼ばれた。
「工藤君、あの車はいったい何を積んでいたんだ?」
伯父は怪訝な顔をした。俺が追っていたのはリキッドだったはずだが……。
「彼、帰宅したらすぐに着替えてスーツをクリーニング店に持ち込んだら『多分この臭いは取れないですよ』と言われたそうだ」
いや、俺も知りたい。あとで門亜に聞いておくか……。
すべっタローのシュールストレミングがここまで届いたお話。
読んでくださりありがとうございます。
閑話休題、このエピソードで終わりです。
次章は終章・王林です。




