第九話 指名手配
男は
そのまま村の奥へ消えていく。
クロエとアイリスは
しばらくその背中を見ていた。
アイリスが
小さく息を吐く。
「助かったわね」
クロエは
まだ男が去った方を見ている。
「ああ」
クロエは
男の去った方を見つめ目を細めている。
アイリスが言う。
「彼、普通の剣士じゃないわよね」
⸻
その時だった。
村の入口の方から
鎧の音が聞こえる。
ガシャッ
ガシャッ
兵士が
数人
村へ入ってきていた。
村人たちが
ざわつく。
「兵士だ」
「何かあったのか?」
「魔女が出たらしいぞ」
アイリスの顔が
少し強張る。
クロエは
静かに言う。
「……調査だな」
アイリスが聞く。
「どうする?」
クロエは
少し考えた。
そして言う。
「出る」
「長居する場所じゃない」
アイリスも頷く。
「ええ」
⸻
二人は
村の出口へ向かった。
木の門。
その横に
掲示板がある。
新しい紙が
何枚か貼られていた。
クロエは
ふと視線を向ける。
そして
足を止めた。
そこには
少女の絵が描かれていた。
黒髪。
赤い瞳。
その上に
大きく書かれている。
緋眼の魔女
討伐報酬
金貨五百枚
特徴
・黒髪
・赤い瞳
・少女 (13〜16)
・魔法を使用
・兵士複数殺害
アイリスが
小さく息を飲む。
「……これ」
クロエは
隣の紙を見る。
もう一枚の紙。
そこにも
少女の絵。
そこに書かれていた文字。
魔女の協力者
アイリス・ルミナ
特徴
・黒髪
・青い瞳
・少女 (16〜19)
・魔法を使用
・処刑運搬車からの逃走
討伐報酬
金貨二百枚
アイリスが言う。
「名前まで出てる……」
クロエは
少しだけ笑った。
「早いな」
アイリスが
呆れた顔をする。
「笑ってる場合?」
クロエは
掲示板から視線を外す。
「有名になったな」
アイリスは
ため息をついた。
「本当、最悪よ」
クロエは
村の外を見る。
街道が
遠くまで続いている。
クロエが言う。
「次は街に行く」
アイリスが聞く。
「追われるわよ」
クロエは
小さく笑った。
「もう追われてる」
⸻
二人は
そのまま村を出た。
風が吹く。
掲示板の紙が揺れる。
そこには
緋眼の魔女
という文字が
はっきりと書かれていた。
⸻
続く




