第十話 土と水の魔法
街道。
クロエとアイリスは
ゆっくり歩いていた。
遠くには
大きな街の壁が見える。
アイリスが言う。
「もう少しね」
クロエは
街を見ていた。
「人が多そうだ」
「ええ」
アイリスは頷く。
「この辺では一番大きい街よ」
その時だった。
地面が
小さく揺れる。
ゴゴ……
クロエが
足を止める。
「……来るな」
アイリスも気づいた。
次の瞬間。
地面が割れる。
ドォン!!
土の中から
巨大な腕が現れた。
石でできた体。
人の形。
ゴーレムだった。
アイリスが叫ぶ。
「ゴーレム!?」
ゴーレムは
ゆっくりと立ち上がる。
クロエは
静かに言う。
「でかいな」
⸻
ゴーレムが腕を振るう。
クロエは横へ跳ぶ。
拳が地面を叩く。
ドゴォン!!
土が飛び散る。
アイリスが
手を前に出す。
そして詠唱する。
「炎よ!」
「我が魔力に応えよ!」
「敵を焼き尽くせ!」
火球が生まれる。
火球が
ゴーレムへ飛ぶ。
ドォン!!
炎が爆ぜる。
だが
煙が晴れると
ゴーレムは
まだ立っていた。
アイリスが言う。
「効かない!」
クロエは
少し考える。
「硬いな」
⸻
その時。
ゴーレムが腕を上げた。
地面が動く。
ドンッ!!
土の壁が
目の前に立ち上がる。
クロエの目が細くなる。
「……なるほど」
クロエは
土壁を見る。
魔力の流れ。
地面との繋がり。
構造。
すべて理解する。
クロエは
手を前に出す。
地面が揺れる。
ドンッ!!
同じように
土の壁が現れた。
アイリスが驚く。
「え!?」
「今の……!」
クロエは言う。
「使えるな」
⸻
ゴーレムが
腕を振り上げる。
その腕の周りに
石が集まり始めた。
次の瞬間。
石の塊が
クロエへ飛ぶ。
ドォン!!
クロエは横へ避ける。
石は
地面に突き刺さった。
クロエは
その魔法を見る。
「石を飛ばすのか」
クロエは
手を前に出す。
地面が揺れる。
石が
一つ浮かび上がる。
クロエが
軽く振る。
次の瞬間。
石が一直線に飛ぶ。
ドォン!!
ゴーレムの胸に直撃。
クロエは
さらに石を飛ばす。
ドドドドッ!!
石が
次々と当たる。
最後の一撃。
石弾が
ゴーレムの頭を砕いた。
ドォン!!
ゴーレムは
ゆっくり崩れ落ちる。
⸻
静けさが戻る。
アイリスが
呆然としていた。
「……また増えた」
クロエが聞く。
「何が」
アイリスが言う。
「あなたの魔法」
クロエは
少し考える。
「便利だな」
アイリスは
ため息をつく。
「本当」
「でたらめ」
⸻
少し歩くと
小さな川が流れていた。
アイリスが
ふと思い出したように言う。
「そういえば」
「あなた水魔法ないの?」
クロエが言う。
「ないな」
アイリスは
少し笑った。
「じゃあ教えてあげる」
クロエが聞く。
「できるのか?」
アイリスが言う。
「簡単な魔法よ」
アイリスは
手を前に出す。
そして詠唱する。
「水よ」
「流れ、集まり」
「我が手に形を成せ」
水が集まる。
小さな水の球が
手の上に浮かんだ。
クロエは
それを見る。
魔力の流れ。
水の動き。
構造。
クロエは
手を前に出す。
何も言わない。
次の瞬間。
同じ水球が
手の上に生まれた。
アイリスが
固まる。
「……え」
クロエは
水球を見て言う。
「便利そうだ」
アイリスが
呆れた顔をする。
「あなたの魔法」
「本当でたらめ」
クロエは
水球を消す。
そして
街の方を見る。
石の壁。
大きな門。
クロエが言う。
「行くか」
アイリスも頷く。
「ええ」
二人は
再び街道を歩き出した。
大きな街は
もうすぐそこだった。
⸻
続く




