第十一話 城壁
街は
もう目の前だった。
高い石の城壁。
巨大な門。
門の前には
長い列ができている。
商人。
旅人。
荷馬車。
多くの人が
検問で止められていた。
兵士が
一人一人確認している。
アイリスが
小さく言う。
「検問ね」
クロエは
門の方を見ていた。
兵士の横には
白い服の男が立っている。
教会の神官だった。
クロエが言う。
「魔力感知か」
アイリスが頷く。
「ええ」
「魔女を探してる」
クロエは
少し考える。
そして
静かに言った。
「門は使わない」
アイリスが驚く。
「え?」
クロエは
城壁を見る。
「こっちだ」
⸻
二人は
門から離れた。
街の外周を
歩いていく。
城壁は
どこまでも続いている。
石の壁。
かなり高い。
アイリスが言う。
「どうするの?」
クロエは
壁を見上げる。
「越える」
アイリスが
思わず言う。
「無理でしょ!」
クロエは
少し歩く。
そして
足を止めた。
城壁の端、門から一番離れた場所
クロエが言う。
「ここだ」
アイリスが
城壁を見上げる。
「……高いわよ」
クロエは
手を前に出す。
地面が揺れる。
ドンッ
土が盛り上がる。
土壁
地面から
足場ができた。
アイリスが驚く。
「そんな使い方……」
クロエは
足場に乗る。
もう一度
魔力を流す。
ドンッ
さらに
土の足場ができる。
城壁の高さまで
少しずつ近づく。
クロエは
軽く跳び
城壁の上に手をかけた。
そのまま
体を持ち上げる。
城壁の上に
立つ。
クロエは
街の中を見る。
石の道。
多くの人。
煙がいくつも上がっている。
クロエが言う。
「人が多いな」
アイリスも
なんとか登ってきた。
「大きい街だから」
⸻
クロエは
城壁の内側を見下ろす。
かなり高い。
アイリスが言う。
「……どうやって降りるの?」
クロエは
手を前に出す。
空気が揺れる。
風が
足元に集まる。
クロエは
そのまま城壁から跳んだ。
ふわりと
風が体を支える。
落下が
ゆっくりになる。
クロエは
静かに地面へ降りた。
アイリスが叫ぶ。
「ちょっと!」
クロエは
下から言う。
「大丈夫だ」
アイリスは
少し躊躇する。
そして
思い切って跳んだ。
クロエが
風を操る。
落下が
ゆっくりになる。
アイリスは
そのまま地面に降りた。
「……びっくりした」
クロエは
街の中を見る。
人の声。
商人の呼び声。
馬の音。
街は
活気に満ちていた。
アイリスが
少し笑う。
「侵入成功ね」
クロエは
街を見回す。
「大きいな」
アイリスが言う。
「ここなら」
「しばらく隠れられる」
クロエは
小さく笑った。
「そうだな」
⸻
続く




