第十三話 冒険者ギルド
アルディアの街は
昼でも賑やかだった。
石畳の道。
行き交う人々。
店の呼び声。
クロエとアイリスは
通りを歩いていた。
アイリスが言う。
「これからどうする?」
クロエは
街の様子を見ていた。
商人。
冒険者。
兵士。
様々な人間が行き交っている。
クロエは言った。
「金だな」
アイリスが首を傾げる。
「金?」
クロエは頷く。
「宿」
「食料」
「装備」
「全部金がいる」
アイリスは
小さく笑った。
「現実的ね」
クロエは
通りの先を見る。
大きな建物。
看板には
冒険者ギルド
と書かれていた。
クロエが言う。
「一番早く稼げるのはあれだ」
アイリスも看板を見る。
「冒険者?」
クロエは頷く。
「魔物は慣れてる」
「金も入る」
アイリスは
少し考え
頷いた。
「じゃあ決まりね」
クロエは
隣の店を見る。
武器屋だった。
「まず武器だ」
⸻
武器屋の中には
様々な武器が並んでいた。
剣。
槍。
斧。
短剣。
店主が言う。
「何を探してる?」
クロエは
短剣を手に取る。
軽い。
扱いやすい。
「これだ」
アイリスは
細身の剣を手に取る。
軽く振る。
重すぎない。
「これにする」
店主が言う。
「銀貨八枚だ」
アイリスが
袋から金を出す。
兵士から奪った金だった。
⸻
二人は
冒険者ギルドへ向かった。
中は
騒がしかった。
酒の匂い。
笑い声。
鎧の音。
多くの冒険者が
集まっている。
二人は
受付へ向かった。
受付の女性が言う。
「登録ですか?」
クロエが頷く。
「ああ」
紙が差し出される。
「名前を書いてください」
クロエは
迷いなく書いた。
クロエ・ヴァーミリオン
アイリスは
アイリスと書いたところで
一瞬だけ手を止める。
クロエを見る。
クロエは
何も言わない。
アイリスは
小さく息を吐く。
そして書いた。
アイリス・レイン
受付が言う。
「では試験を行います」
⸻
二人は
裏の訓練場へ案内された。
広い場所。
木人形。
そして
一人の女。
紫髪。
細身の体。
手には
レイピア。
女が言う。
「試験官のリディアよ」
その目は鋭かった。
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まず
アイリス。
剣を構える。
リディアが言う。
「来なさい」
アイリスが踏み込む。
剣が振られる。
キィン
レイピアが弾く。
もう一度。
剣が振られる。
リディアが受け流す。
その瞬間。
クロエは
ほんのわずかに
風を動かした。
アイリスの剣が
一瞬だけ速くなる。
「ッ...!!」
リディアの目が
わずかに細くなる。
だが
何も言わない。
数分後。
「そこまで」
⸻
次は
クロエ。
短剣を構える。
リディアがレイピアを向ける。
「来なさい」
クロエが踏み込む。
速い。
キィン!!
短剣が弾かれる。
クロエは止まらない。
再び攻める。
キィン
キィン
剣がぶつかる。
クロエは
ほんのわずかに
風で体を押す。
速度が上がる。
短剣が
リディアの肩へ迫る。
リディアの目が細くなる。
レイピアが弾く。
キィン!!
クロエが距離を取る。
リディアは思う。
(まただ)
(詠唱してない)
(なのに魔力が動いた)
クロエが再び踏み込む。
その瞬間。
リディアの目が変わる。
レイピアが動く。
速い。
クロエの短剣が弾き飛ばされる。
キィィン!!
レイピアの先が
クロエの喉元で止まる。
「そこまで」
リディアは
小さく息を吐いた。
⸻
リディアは言う。
「アイリス」
「Cランク」
アイリスが驚く。
「え?」
リディアは
クロエを見る。
「クロエ」
「Aランク」
周囲の冒険者が
ざわつく。
「Aランク?」
「少女が?」
クロエは
肩をすくめた。
⸻
クロエとアイリスが
訓練場を出ようとする。
その時だった。
リディアが
二人の横を通る。
そして
小さく囁いた。
「今夜」
クロエの目が動く。
リディアは続ける。
「東区」
「古い倉庫街」
アイリスが
わずかに動揺する。
リディアが言う。
「話があるわ」
そして
振り返らずに言った。
「来るかどうかは」
「あなた達次第」
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クロエは
黙っていた。
アイリスが小声で言う。
「……どうする?」
クロエは
少しだけ笑った。
「行く」
⸻
続く




