表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハッピー・カニバリズム・スローライフ~因習村育ちの社畜、人肉料理を振る舞ったら女子大生に世界を壊すほど愛された~  作者: アカアオ
2章 疑似家族編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/29

真名不明

 『健二もそろそろ、祝詞について知る頃合いだ』


 これは……俺の記憶か?


 『祝詞で一番大切な事、何か分かるか?』


 天使に記憶を消されたせいなのか?

 全く身に覚えがない。


 今までの、何となく思い出せない記憶とは違う。

 自覚出来ない、完全に消去されている記憶。


 言葉と同じ。

 きっかけが無いと消されていたことにすら気づけない記憶だ。


 『それはな、百玉様の真名を唱えることだ』


 真名?

 なんだそれは。


 百玉様は百玉様だろう?


 『良いか、忘れるな。百玉様の本当の名前は#####』


 なんて言ったんだ?

 一番肝心な所が聞こえない。


 ###########。

 ###########。

 ###########。

 ###########。




 「はっ」


 ガンガンと殴ってくる頭痛。

 開けた視界の先にあったのはミミミさんの姿だった。


 「健二さん、大丈夫ですか?」

 「あ、あぁ」


 戻ってきたのか。

 それにしても今の記憶は一体??


 「げぇ。今ので思い出せないって事は結構厄介なのに絡まれてるって事じゃん」


 ユーフォは頭を搔きながらため息をこぼしていた。

 彼女が握っていた『悪魔文字』とやらが書かれていた紙はただの白紙に戻っている。


 「説明しろ。さっきのはなんだ」

 「言ったでしょ?悪魔文字だよ」


 ユーフォはスマホの画面に視線を落とす。

 SNSの画面を流し見しながら、めんどくさそうに説明を続けた。


 「悪魔はさ、魂を操るの。そん時に使うのが悪魔文字」

 「あ、アニメでよく悪魔が契約とかするよね」

 

 ミミミさんがスマホでそれっぽいアニメの一コマを映す。

 ユーフォはチラッとその一コマを確認し、『そうそう、そんなイメージ』とぼやいていた。


 なるほど、悪魔の力とは言うがその実態は魂に干渉する力。

 活用の方法は無限にありそうだ。


 「逆に、天使は人間の脳に干渉する。記憶を改ざんしたり、脳を通して心を読んだり。プライベートもあったもんじゃないよね」


 「待て、じゃぁ何で天使に消された記憶を悪魔の力で取り返せる事になってる?」


 「て~いうと?」


 「天使は脳、悪魔は魂なんだろ?じゃぁ天使に消された記憶を直接悪魔の力でいじれないじゃないか」


 現に、俺の記憶も完全に戻ったわけじゃない。

 一部はノイズで隠されていると言うのが現状だ。


 「ほら、忘れ物とかって何かの切っ掛けでふと思い出す事あるじゃん。私は悪魔文字で健二の魂を揺さぶることで、その切っ掛けを強制的に起こしてる訳」


 そう言われてみれば、あの日も。


 『でも、健二さん標準語で話してくれるから』

 『標準語?それって外の世界の喋り方だろ。馬鹿言っちゃいけねぇよ、百玉村の人間が外の人間と同じ訛りで言葉を話すなんてー』


 自分が知らない間に標準語を話していた事実。

 それを自覚できたのもミミミさんの一言が切っ掛けだ。


 理屈は……通っているな。


 「でも、健二さんは記憶を全部取り戻せてない。ユーフォちゃんは何が原因だと思う?」

 「そりゃぁ、健二の記憶を消した天使が格上だったんでしょ。よっぽど思い出されるとまずい記憶だったんじゃない?」


 未だに思い出すそぶりも見せない、百玉村のなまり。

 百玉村に帰ったあの旅を経ても思い出せなかった百玉様の真名。


 これらの記憶に関してはあのノイズが強くかかっていると感じる。


 「それは、裏を返せば百玉様にとっては重要な記憶なはずだ」

 「そうですね。私も何となくそう思ってました」


 ミミミさんはどこからともなく小さめのホワイトボードを取り出した。

 キュ、キュ、と音を立て、丸文字で『百玉様の真名を思い出す』と書いた。


 えぇ、とゲンナリしているユーフォ。

 「何となくで買って良かったです」と呟き、ミミミさんは冷蔵庫にホワイトボードを貼った。


 「当面はこれを目標にすると良い気がします、健二さん」


 二コリと微笑むミミミさんを見て、ふと笑みがこぼれた。

 ミミミさんが『良い気がする』と言ったのだ。

 なら、信用できるだろう。


 「あぁ。俺もそれで良いと思う」

    

 これで俺はまた、百玉様に近づける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ