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ハッピー・カニバリズム・スローライフ~因習村育ちの社畜、人肉料理を振る舞ったら女子大生に世界を壊すほど愛された~  作者: アカアオ
2章 疑似家族編

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利用価値

 「大体何なのアンタ達は?!」 

 「ひょえ?!」

 「のんびりとパン食べながらする会話が『人肉美味しい』って、どんな異常者?!」


 ちょっとまずい事になったかもしれない。

 目の前の子供が少しヒートアップしてる。


 「ちょ、ちょちょちょっと落ち着いて」

 「落ち着けって??この状況で??」


 「私達とあなたは敵対しなくて良いと思うんだ」

 「なんで」


 「私の勘がそう言っているから」

 「そんな理由で信じろって言うの?!馬鹿なの??」

 「ば、馬鹿って言いわれた」


 駄目だ。

 ミミミさんが涙目になってる。


 ここは、俺が前に出た方がよさそうだ。


 「彼女の勘は普通じゃない」

 「け、健二さん」

 

 ミミミさんに軽く目配せをする。

 対する子供の方は……ジリジリと俺から距離を取っていた。


 「へぇ……第六感的な?」

 「そう捉えてもらっても良いだろう。そんなミミミさんの勘が、お前を脅威として認めていない」


 あの旅行の時を思い出せ。

 ミミミさんはその気になればさっと人を殺せる。


 『この人は危ないかも』

 『この人を殺せば良い未来に進むかも』


 そんな勘があれば、ミミミさんは人を殺すのに躊躇は無い。

 そのミミミさんが、目の前の少女を殺そうとするそぶりを見せないんだ。


 「つまり何が言いたいわけ」

 「君には俺達にとって利用価値が高い可能性がある、と言いたいわけだ」


 「利用価値って、何考えてんの?私なんかどう見てただの子供だって分かるよね?」

 「本当に利用価値が無いなら、警察にばれないように処理するだけだ」


 分かりやすく少女の顔が歪んだ。


 「くっそぉ……せっかく警察と六芒組から逃げて来たのに」

 「警察?」


 見た目からして訳アリだろう。

 警察からも逃げていると言う事は……こいつも何かしらこの国の法を犯していると言う事だ。


 「この手は使いたくなかったけど」


 少女はそっと右手をマスクに添える。


 マスク外そうとしている?

 一体何の為に?


 「……」


 少しの沈黙が流れる。

 少女はマスクを外そうとする姿勢のまま、動かなくなった。


 「ど、どうしたんでしょう?固まっちゃいましたよ」

 「あぁ。一体何をするつもりなんだ?」


 少女はまだ動かない。

 その視線を、じっと俺に向けたまま。


 「なるほど……理解。利用価値ってそう言う事かぁ」

 「何をどう理解したのかさっぱりだな」


 少女はマスクを着けなおす。

 それと同時、大きなため息をついた。


 「ズバリ言うけどさ……男の方のアンタ、記憶喪失かなんかでしょ?」

 「な?!」

 「それも、天使が関わってる」

 「どうして貴方がそれを??」


 その秘密を知っているのは俺とミミミさんだけだ。

 それを出会ったばかりの子供が気づくなんてありえないだろ。


 「私、悪魔と人間のハーフみたいなもんでさ」

 

 普段なら、悪魔なんてと笑い飛ばすところだろう。

 だが、俺はもう天使という存在を知っている。

 百玉様以外の異能が存在している事を知っている。


 「悪魔の力があれば、アンタの記憶の一部を戻せるかもしれないよ」

 「……嘘はついてなさそうです」


 ミミミさんがそう言うなら、間違いは無いだろう。

 積もるところ、この少女は俺の記憶をこじ開ける鍵になると言う事だ。


 いや、それ以上に。

 酒呑角(しゅてんかく)トバリや警察への対抗札になるかもしれない。


 「ねぇそこの二人、私の力が必要なら貸してあげても良いよ……その代わり」

 「なんだ?」

 「私をかくまって。もちろん私を食べるのはナシ。私に人の肉を食べさせるのもナシ。それが最低条件だから」


 これはチャンスだ。

 少女の言う悪魔の力がどれほどの物かは分からないが……普通に生活していて手に入れられない力であるのは確実。


 「ミミミさん」

 「健二さん」


 声が重なる。

 視線も同時に重なった。

 どうやら、同じことを考えていたみたいだ。


 「んじゃ、私をかくまってくれるって事で良いの?」

 「あぁ、いったんはな」


 そう言うと、少女はどっとその場にへたり込んだ。

 

 「んじゃ、私ユーフォね。駒外ユーフォ。これからよろしくね」


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