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【溺愛プラン】オプションどうします?(完結保証☆)  作者: 田中葵
第5部 ヒトらしく生きるって?
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花子・村田・ハヤトの三人コーヒー回―関係が初めて同じ場で交差する

 三人のコーヒー



 昼前。

 駅前の小さなカフェ。


 ガラス張りの店。

 コーヒーの香り。


 平日のため人は少ない。





 野村花子は窓際の席に座っていた。


 ノート。

 スマホ。

 コーヒー。


 いつもの落ち着いた様子。





 花子はノートの隅に書いた。


 観測

 三者関係


 そして小さく笑う。


「実験みたい」





 その時。

 店のドアが開く。


「すみません、遅れました」


 村田孝好。

 短い茶髪。

 少し太めの体。


 いつもの気さくな笑顔。





 花子が手を振る。

「こっち」





 村田は席に来る。

「いやー」


 椅子に座る。

「久しぶりですね」





 花子は笑う。

「そうだね」





 村田がメニューを見る。

「コーヒー奢るって言ったの俺ですよね」





 花子は言う。

「そう」





 その時。

 店のベルが鳴る。





 ハヤトが入ってきた。





 村田が気づく。

「あれ?」





 花子が手を振る。

「ハヤト」





 ハヤトは少し驚いた顔をする。

「……本当に来てる」





 ハヤトが席に来る。

 少しぎこちない。





 花子が言う。

「座って」





 三人、

 同じテーブル。





 村田が笑う。

「なんか珍しい組み合わせですね」





 花子はうなずく。

「そうだね」





 ハヤトは水を飲む。

 チップはON。


 表情は落ち着いている。





 しかし

 胸の奥には


 昨日の感情が

 ほんの少し残っていた。





 村田が言う。

「ハヤトさんも花子さん担当なんですか?」





 ハヤトは答える。

「はい」





 村田は笑う。

「大変でしょ」





 花子が眉を上げる。

「どういう意味?」





 村田は慌てる。

「いや違う違う」

 笑う。

「花子さん頭いいから」





 花子は小さく笑う。

「観察してるだけ」





 ハヤトの手が止まる。

「観察?」





 花子はコーヒーを飲む。

 そして軽く言う。

「人間」





 村田が笑う。

「それ俺もやりますよ」





 花子が聞く。

「どうやって?」





 村田は答える。

「話聞く」





 花子はうなずく。

「シンプル」





 村田は続ける。

「人って」

 一拍。


「話聞いてくれる人に弱い」





 ハヤトは黙って聞いている。





 花子はノートを閉じる。

 そして二人を見る。





「質問」





 村田とハヤトが同時に答える。

「はい?」





 花子は言った。

「二人とも」

 一拍。


「この会社好き?」





 沈黙。





 村田が先に笑う。

「難しい質問ですね」





 花子は言う。

「正直でいい」





 村田はコーヒーを飲みながら

 少し考える。





「嫌いじゃない」





 花子は聞く。

「理由」





 村田は言う。

「人に会える」





 花子はうなずく。

「なるほど」





 次にハヤトを見る。





「ハヤトは?」





 ハヤトは少し考えた。

 そして言う。

「仕事です」





 花子は微笑む。

「優等生」





 村田が笑う。

「ハヤトさん真面目ですもんね」





 ハヤトは少しだけ笑う。


 しかし心の奥では

 別の感情が動いていた。





 村田は

 自然に花子と話す。

 距離も近い。

 笑い方も柔らかい。





 ハヤトはそれを見る。





 胸の奥で

 小さく何かが動く。





 言葉にするのは

 まだ早い。





 ただ

 一つ思う。





 この人は強い。





 村田。





 花子はその様子を見ていた。

 二人の視線。

 距離。

 声のトーン。





 ノートがなくても

 頭の中で整理している。





「なるほど」

 小さくつぶやく。





 村田が聞く。

「何がです?」





 花子は笑う。

「三人の構造」





 村田が首をかしげて

「構造?」





 花子は言う。

「うん」





 そして静かに言った。

「面白い」





 その頃。

 マルトク本社、

 管理モニター前。





 佐伯が画面を見ている。





 ログ。


 meeting

 nomura hanako

 murata takayoshi

 sasagawa hayato





 佐伯は小さく言う。

「三人か」





 少し考える。





 そしてつぶやく。

「……面白くなってきた」





 なぜなら

 この三人は


 それぞれ

 会社の想定外の存在だからだ。

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