表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻への再臨  作者: 柴光
61/66

57 強襲〜アイドネウス〜

転移者、58歳、男

前世の死因、溺死

 




 ルフアフィスとの戦闘に勝利した私達は暗く広がる雲の下をズイホウ級で航行していた。

 艦に大きな損傷はない、これも皆のお陰だと感傷に浸っている所にオペレーターが声を荒げた。


「艦長!急速に近付く熱源が二個あります!!」

「何だと?何処からだ!?」


 艦長席に座っていた私はオペレーターが見ているモニターに視線を落とす。


「上空…雲の上と推測されます!」

「あの中か、対空準備だ!ガトリング砲を上へ向けろ」


 何が来るかは分からんが物凄い速度で近付く

 物体に、各所に付いているビームガトリングで頭上の雲へ掃射を開始すると、狭間から放たれた二本の光線…いや、ブレスが甲板と主砲の一門へ直撃しブリッジに衝撃が走る。


「クッ!艦の状況は!?」

「右舷主砲のビーム砲損傷大、起動不能」

「一撃でか!一体何に狙われてるんだ!!」

「艦長!目標捕捉しました…照合確認出来ました」


 別の索敵係が正体を掴み、艦を襲ってくる者達の名前に俺は言葉を失った。


「もう一度言ってくれ…」

「『覇王竜サトゥルヌス』と『冥王竜アイドネウス』の二体です」

「六王竜…」

「雲を抜けて来ます!」


 実物を見るまで信じてなかったが…黒雲から出てきた二体の竜の姿を見て確信に変わってしまった。

 あの黒く禍々しい西竜姿は紛れもない、拠点に残っていた過去のデータで見た覚えがある。


「本物だ…近付けさせるな!対空ミサイルも順次放っけ」

「はっ!」


 散りばめられたバルカンの弾に複数のミサイル、その間を縫うように近付く二体の竜。


「魔法反応確認!攻撃来ます!」

「撃ち落とせんか、ショックに備えろ」


 すれ違いざまに放たれたアイドネウスからの黒炎魔法が艦上部に、サトゥルヌスによる長く光る爪撃が側面を抉り艦は大きく揺れる。


「コーティングが意味を成さない威力とは畏れ入るな」

「艦長、各隊長から通信です。俺達を出して欲しいと」

「しかし召喚士達のスタミナも、機械兵の補給もままならないだろ」

「…構わないとの事です」

「構わないだと!?」


 この間にも再び衝撃が襲い、ブリッジ内に警報音が鳴る。


「艦底に被弾!被害は軽微ですがこのままでは」

「…やむを得んな、出撃を許可する。ただし無茶はせんよう伝えてくれ」

「はっ!」


 このままではどうせジリ貧だと、召喚士と機械兵に対処を任せる事にしたが…先の戦闘で皆疲弊しきっていると言うのに、俺は自分の不甲斐なさを感じた。


『一番機出るぞ』

「絶対生きて帰投しろよ! 死ぬなよ戦友」

『任せろ戦友、俺一人じゃないからな』


 通信を終えた一番機が発進し、続いて二機の機械兵もまた空へ向かった。


『俺も準備万端だ。甲板へ出るぞ』

「頼む…危なくなったらすぐ中へ戻ってくれ」

『あぁ、無理はしないさ』


 召喚士部隊は一人、俺達のサブリーダーのみが外へ出て青竜ブルードラゴン希望竜エスペランサドラゴンを召喚していたが、呼吸が荒くなっているのが通信機越しに聞こえる。


「すまない皆…頼んだぞ」




 三機の機械兵は覇王竜サトゥルヌスへ向かい、青竜と希望竜はもう一体の冥王竜アイドネウスに攻撃を仕掛けた。

 青竜のブレスは冥王竜の翼を掠め、希望竜の

 光魔法『フルゴールグラジェス』の眩い炎が胴体を捉え、高度が落ちて行く冥庭竜は途中で立て直して青竜目掛けて血のように赤黒い十字の刃『ハイマメッサー』を放つ。

 距離が開いているのにもかかわらずその速度は凄まじく、直撃は回避はしたが尾を途中から切り落とされてしまっていた。

 希望竜は隙を逃すまいと横からブレスを放ったが、難なく避けられ反撃の一撃が迫り防御魔法を展開して事なきを得、負傷して怒りが満ちた青竜は尾から血を流しながら近付いて

 ブレスを射って避けられるも、それを見越してか水魔法の球体で冥王竜を包みこんだ。

 そこへ希望竜からの雷撃、トドメに球体共々氷結させて二体のブレスで打ち抜いて辺りは氷のダストによって視界が遮られる。

 それをモニターで見ていた俺は「やったのか」と問うと。


「熱源反応は…っ!!今だ反応あり!」

「なんだと!?アレで砕かれてないのか…」


 未だ晴れない視界から二体に向かうエネルギー反応、伝える間もなく見るも無惨にバラバラにされ粒子と化していく希望竜。

 青竜の方は左半身を削られ満身創痍だが辛うじて留まっているが…アレではもう。

 放たれた冥王竜からのもう一撃と青竜渾身の氷結魔法『アブソリュートヴェルト』がすれ違い、決着がついた。


「ブルードラゴンの反応…消失」

「…見れば分かる。敗けたか…」


 青竜は敗れ、召喚主も限界を迎えその場に倒れてしまったが、冥王竜の身体もまたあちこちが砕かれ致命傷を負っていた。

 殺るなら今しかない、艦と二連装ビームの主砲を旋回させて狙いを定める。


「外すなよ…テェーッ!」


 奴は動かない、これで終わる…そう信じていたんだけどな。

 砕けた防御魔法の欠片が飛び散ったのが見え、次の瞬間には左舷の主砲周りは消し飛んで爆発を起こして自動防壁システムが起動し各部のシャッターが下り始める。


「なんて奴だ…だが限界だったみたいだな」


 冥王竜は最後の魔法『カースグラディウス』を艦にぶつけて力尽きたように地面へ真っ逆さまに落ち、衝突の土煙に紛れて光りの粒子が空へ上がっていく。


「勝った…のか?」

「はい、アイドネウスの反応消えました。それと…」

「それと何だ?」

「先程からサブリーダーの応答がありません」

「なんだと!?」

「あ!艦長っ!!」


 俺はブリッジを離れて駆け出した、甲板へ向けて…走って走って走った。


「そんな…」


 外へ通じるハッチを開けて絶望が襲う。

 自動消火されて火の手はないが、黒く焼かれて煙が上がる甲板…そこに召喚士の姿は見当たらなかった。





『アイドネウス』

討伐レベル?

ステータス?

 全長20メーター、冥王竜とも呼ばれる黒い西竜型の最上級種。

 深淵の六王竜と呼ばれた過去を持ち、黒い炎は全てを焼き尽くしたと云われる。


『サトゥルヌス』

討伐レベル?

ステータス?

 全長22メーター、覇王竜と呼ばれ恐れられた深淵の六王竜の一体。

 赤黒い翼の西竜型で最上級種に分類され、山をも切り裂く爪撃はかつて大地に大きな爪痕を残した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ