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夢幻への再臨  作者: 柴光
35/57

34 未来〜カコ〜

転生者、16歳、女

前世の死因、他殺

 




 北部にある元鉱山、今は採掘も行われていない単なるハゲ山へ、私はパートナーの黒獅子『アトルムレーベ』のレオンと一緒に依頼を受けて向かっている。

 良く足を運ぶ店の主人からどうしても欲しい鉱物があると相談され、私達の実力なら心配ないし報酬も弾んでくれるって事なので断る理由はなかった。

 森を抜けた先に鉱山の麓にある入口が見えてきたんだけど、黒い何かが蠢いてる…蟲?


「何アレ、レオン」

「アヤツ等は『大甲冑』だな。デカいだけの虫けらよ」


 二本ツノを生やした黒光りする、言うなれば大きいカブトムシかな…にしてもあのサイズはキモすぎる。


「やれる?」

「任されよう。お主は一旦降りて待つといい」

「うん。宜しくね」


 1、2、3…五匹の大甲冑は岩肌を食べてるっぽかったけど、レオンの存在に気付いてコチラを振り返り上下のツノをカチカチと鳴らして戦闘態勢に入った。

 突進してくる蟲を避け、固有の炎魔法『炎舞流欄』を浴びせて早々に一匹を退治、続く二、三匹目も炎魔法の渦で一網打尽に。

 得意の牙も爪撃も使わない所を見ると、外見通り大甲冑に効果が薄いのかも知れない。


「終わったぞ」


 残った二匹も燃え盛っていていつの間にか片付けていた。


「流石レオン。頼りになるんだから」

「この程度、造作も無い」

「ヤダぁ、超イケメン」

「フ、褒めても何も出んぞ」

「いつも私を守ってくれてるじゃん」

「主だからな。さてさっさと依頼の物を取って帰ろうぞ」

「うん」


 いざ中へ入ろうとした時、坑内から何かが崩れたような轟音が鳴り、レオンは私の襟元を加えて後ろに下がった。

 崩れる音が近付いてくる…それと羽音みたいなものも混じってる。


「これって…また大甲冑?」

「いや…違う。これは…」


 ドォーンっと土煙を上げながら入口を吹き飛ばして中から別種の蟲が姿を現した。


「『ロイヤルプレート』だ」


 入口に群がってた大甲冑の倍以上はありそうな巨体は金ピカに輝き、三本のツノが剣みたいな鋭利な形状をしている。


「お主はもっと下がっておれ…ワシでも厳しいやもしれん」

「そんな…なら逃げよう!?」

「いや、もう遅い」


 羽根を広げて私達に突っ込んでくるロイヤルプレートに、レオンは走り出して互いの距離が縮まっていく。

 一番デカいツノに爪撃を当て、スピードを相殺したものの力負けして吹っ飛ばされてしまった。


「レオン!!」

「問題ない」


 飛ばされたけどアッチも地面に足を付けている。

 再び距離は開き、レオンは炎魔法『黒炎破』を打ち出し、ロイヤルプレートはツノの間で溜めた光りの弾を高速で飛ばして炎魔法をかき消し、避けようとしたレオンは間に合わず半身が消し飛んでいた。


「しくじった…スマン」

「レオン!」

「早く…逃げ、ろ」


 粒子になり消失しちゃった…

 アレから逃げきる?無理でしょ…膝から崩れ落ち、諦めた私をアイツは見下ろしながらノシノシと近付いて来る…死を悟るのは二度目、もっと生きたかったよ…


『まだ諦めるには早い』


 後方から拡声器のような声とジェット機みたいな音がして振り返えると、森を飛び越えて私とアレの間に銀色のロボットが割って入り、刃こぼれした幅広い大剣を振りかざしてロイヤルプレートを怯ませる。


『そこじゃ危ないから離れていてくれ』

「だ、誰なの?」

『自己紹介は、後だ!』


 聞こえてくる男の声に聞き覚えはない、けど味方なのは間違いないと思う。

 大振りだけど、大剣の攻撃は確実にロイヤルプレートを追い詰め、攻撃を受け止めていた長いツノは何度目かの猛攻で折れて痛がる素振りを見せた。

 ロボットは大剣を放り投げて腰にマウントしていたナイフを抜いて飛び掛かった。

 発熱したナイフは残った二本のツノを避け、頭の外殻を貫いてロイヤルプレートは悲鳴のような鳴き声を上げて地面に倒れて動きを止めた。




 ロボットのコクピットが開いて見知らぬおじさんが降りてきた。


「間に合って良かった」

「どうしてココに?誰かから頼まれたんですか?」

「いや…これは…」

「?」

「過去に見たからだ」

「過去?未来予知的な能力じゃないんですか?」

「まぁ、話すと長くなる。君もコチラの世界に送られたんだろ?仲間達が待ってるんだが、俺と一緒に来てくれないか?」


 突然の申し出に少し迷いを示したけど、助けてくれたのもあって頷いた。


「その前に街に戻って知り合いに知らせたいんですけど」

「りょーかいだ」





『大甲冑』

討伐レベルA

体力A 攻撃力A 速力B

 全長四メーター、あっちの世界でいうヘラクレスオオカブトのデカいヤツ。

 岩や鉱物を主食としているせいか、黒光りする外殻は高い防御力を持つ。


『ロイヤルプレート』

討伐レベルS

体力S 攻撃力S 速力A

 全長10メーター、金色に輝く三本ツノのコーカサスオオカブト。

 金ピカの外殻は魔法に対する圧倒的な耐性を持ち、物理攻撃に対しても並大抵の攻撃は通さない。

 研ぎ澄まされたツノによる攻撃の他、威力の高い魔法弾を放ってくる。


『アトルムレーベ』

召喚獣

体力A 攻撃力S 速力A

 全長五メーター、黒い毛並みと赤いたてがみを持つライオン型の召喚獣。

 牙や爪撃は高い攻撃力を有し、固有の炎魔法もまたAランクの魔物なら一撃で焼き払う威力を持つ。


『MMAS-010Cc バルディエルTypeC』

 全長12.5メーター、この機体を愛機としていた者のパーソナルカラーである銀色に塗装された隊長専用機。

 開口式スラスター二基を背負っており、飛行能力はないが、高い推力によって疑似飛行を可能とする。

 武装は胸部上バルカン二門、アンチマジックコーティングが施された機体半分を覆う大剣、ヒートナイフ。









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