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夢幻への再臨  作者: 柴光
34/55

33 機巧装竜〜マギナドラゴン〜

転移者、24歳、男

前世の死因、事故死

 




 元いた世界から初めて転移した時は、東側の国と戦争をしている国に送られるみたいだ。

 決まりでもあるのか、出会った転移者も皆そうらしい。

 戦争なんてまっぴらごめんなんでさっさと西側諸国に渡り旅を続けている。

 一人旅も良いもんで、自由気ままな生活を送らせてもらっている。

 とは言っても、路銀は稼ぐ必要があるからギルドに登録して道中狩った魔物を買い取って貰ったり、その街の討伐依頼をこなしたりと金を稼ぐには中々の重労働を強いられてしまうが。

 まぁ、女神様々で魔法や貰った剣、それにアイテムボックスがあるから何とかやっていけている。

 こっちの世界の方が充実した日々を送れていると思うんだけど…今回立ち寄った街のギルドで『機巧装竜マギナドラゴン』の暴走の鎮静化または破壊との内容が書かれた依頼書と睨みあってるんだけど、聞いた事もないドラゴンとやり合うのもなぁと迷っていた。


「推奨ランクAかぁ…」

「こちらの依頼に参加されますか?」


 と、受付の女性に話しかけられた。


「参加?」

「はい、マギナドラゴンの依頼は合同となっておりまして、明後日の出発となります」

「それなら俺も参加させて下さい」

「かしこまりました。では日の出にはコチラにいらして下さい」

「わかりました」


 一人じゃないならと参加を希望し、当日を迎えた。

 四人の二組のパーティと俺同様ソロが二人の計10人が集まり、目的地である北側の遺跡へ出発する。

 向かっている遺跡は探索し尽くされていたが、動かす事が出来ずにいたマギナドラゴンが先日から急に動き始め、周辺の機器も稼働しているとの事。

 どちらも遺跡内で起こっており、近辺の外にはまだ被害報告が出てないと…目醒めても出て来ないならほっといて良いのではと口に出したら「領主が直々に金払うから報酬が良いんだし、それに破壊した部位も買い取るってよ」だとさ。金払いが良いのはすこぶる有り難いのでやってやろうじゃないかと意気込み、談笑しているうちに目的地に到着した。


「◯街で依頼を受けたのはアンタ等か?言っとくが、□街でも同じ依頼を出して失敗している。その事を頭に入れて挑んでくれ」


 入口にいた強面の男が話し、そんな話は聞いてないとザワつくと。


「だから推奨ランクを引き上げたんだ。引き返すなら今だぜ」

「…俺達なら問題ないだろ。そうだろ皆!?」

「「おぉ!」」

「よし、ならば入りな。気を付けてな」


 1パーティのリーダーが決起し、他の皆も気合いを入れ直して自動で開く扉の奥へ足を進めた。

 高い天井にはライトが点いており中は明るく、遺跡と言うよりは工場と言った方が良いだろう。

 そう言えばこっちの世界でも外灯が灯っていたなぁ…かつては向こうの世界より栄えてたっぽいし、異世界人も多いから技術継承されている所はされているのか、等と考えているうちに小型の機械仕掛けのドラゴンが三体襲い掛ってきた。

 コイツが言っていたマギナドラゴンかと鑑定してみると『機竜クロックワイバーン討伐レベルB』と出た。コイツ等じゃない?じゃあコイツ等はなんなんだ?


「おい!そっち行ったぞ!」


 男タンクの声にハッとし、俺は即座に闇魔法『グラビテーション』を発動して重力操作で一体を床に叩き付け、床に亀裂を入れながら頭部を破壊して動きを止めた。

 他の二体もまた、炎を付与した矢を射るアーチャーと、風魔法を駆使して宙に足場を創り出して空を渡れるソロの剣士によって壊された。


「この機械の竜達は本命じゃないんだろ?」


 機竜を斬った剣士が言う。


「鑑定したけど違うみたいだ…本命はこの奥にいるかも」

「コイツ等は前座か…これに毛が生えた程度なら余裕だな」


 などとフラグを立てやがった…まぁ、他の人も俺達と同等の実力がありそうだし余裕とまではいかないにしても何とかなるだろう。


「この扉から異様な熱さが漏れてますね」


 女補助魔法使いが言うように自動扉の隙間から熱気が溢れ出ている。この先にいるんだろうなと、手のひらを当て扉が開かれていく。

 居た、『機巧装竜 討伐レベル?』と鑑定結果が出る…間違いないようだ。

 ヤツは取り巻きの機竜に囲まれて赤い眼で此方を見ている。

 先に仕掛けたのは周りを飛んでいたクロックワイバーン、先程とは違って統率されたような動きを見せ、応戦しようとした1パーティのリーダーが槍状に尖った尾に貫かれ、防壁を張ろうとした補助魔法使いは火炎放射のブレスによって焼き焦がされてしまった。

 それに激昂した一人の剣士が俺達の静止を振り切り飛び出していく。


「本命より先にお前達だ!!」


 土魔法『シュタインショット』を繰り出し、牽制しながら剣を振るい、翼を斬り落として一体のトドメを刺す。

 この時間で召喚士が口上を完了させ『アルビオン』と言う名の鎧を纏った巨兵を喚び出した。

 アルビオンが手にする盾でもう一体の火炎放射を防ぎ、大剣で叩き斬って二体のクロックワイバーンは沈黙する。


「後はマギナドラゴンだけだ」


 土魔法を使う剣士は睨みを利かせながら呟いた。

 俺達も気合いを入れ直しヤツの動きを注視していると、機械仕掛けの翼を広げて地面から離れると同時に口内からビーム砲を放つと、前衛の四人が薙ぎ払われてしまい、アルビオンの脚も切断されて起き上がる事が出来ずにいた。

 一撃だぞ…たったの一撃でこの頑丈そうな巨兵が堕ちるのか…残ったのは俺含めて四人。


「召喚士、まだ他のと契約はしているか?」

「はい、後一体」

「よし、時間を稼ぐからそのうちに喚び出してくれ」

「はい!」


 風を操る剣士とアーチャーに俺でマギナドラゴンを引き付けて、召喚士はアルビオンを還して新たに召喚口上を唱え始めた。

 アーチャーと俺の炎魔法で地上から狙い撃ち、剣士は翼に付いた砲門から放たれる砲撃をかわしながら削りを入れてはいるが、魔法耐性があるのか俺とアーチャーの攻撃で傷付く事はなく、剣士の斬撃もまた微々たる傷を負わす程度だ。

 このままでは此方がジリ貧になってしまうと漁りが出た時、口上が終わって新たな召喚獣が陣を潜り抜けようとしていた所…


「ダメだ、またデカいのが来るぞ!!」


 剣士が叫ぶと同時に放たれたビーム砲は剣士を蒸発させ、振り降ろすように召喚士を焼き払った。


「ココまでだね…」

「そのようで…でも最後まで諦めない」


 ビームを放ち終えたマギナドラゴンは翼の砲身の向きを変え、代わりにブレードを展開して俺達へ突っ込んでくる。

 俺は剣を抜いの攻撃に備えたんだけど…あの巨体の突進なんて止められる訳ないよな。

 下半身と上半身は別けられ、今は意識だけがある状態だ…ヤツは…あぁ、チキショー…勝ち誇った顔をしてやがる……




「もう日も暮れる…アイツ等もダメだったか。若者が死ぬのは居たたまれんな…またギルドに報告せんと」





『Fм-2 クロックワイバーン』

討伐レベルB

体力C 攻撃力B 速力B

 全長五メーター、後脚と翼、伸縮可能な尾を持つワイバーン型の機竜。

 口内に火炎放射発射機構と尖端が槍状の尾が主な攻撃手段となる。


『FAD-x5 マギナドラゴン』

討伐レベルS

体力S 攻撃力S 速力S

 全長15メーター、西竜型、クロックドラゴンの上位モデルとして開発され、装甲表面にはアンチマジックコーティングが施されると共に、物理攻撃も効きにくい厚さを誇る。

 その分重さはあるが、速力は背部に背負った大型のスラスターと各部補助スラスターが補う。

 武装は口部ビーム収束砲、翼部ビーム砲四門

 、腹部両脇に二連装ビーム砲二門、翼部ヒートブレード、全脚部ヒートクローとなる。


『アルビオン』

召喚獣

体力S 攻撃力A 速力B

 全長18メーター、全身鎧を纏い、大剣と盾を持つ巨兵。

 国軍が保有するフルメタルゴーレムより高い防御力と攻撃力を有するが、今回のような屋内(とは言っても広い)では行動に制限がかかって本領を発揮出来ずに終わった。










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