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夢幻への再臨  作者: 柴光
27/55

27 英雄王〜コロシアム2〜

転移者、45歳、男

前世の死因、溺死

 




 かつての俺は長年に渡る戦争に終止符を打ち、民衆から英雄王などと持て囃されていたが…国王の死去後に誕生した新たな王によって反逆罪に問われて闘技場送りだ。

 戦争も再開して国境の街はまた地獄を見ていると聞く…俺がやって来た事は無意味だったのか。


『本日もやってまいりました!皆様の期待を裏切らない我等が無敗の剣士!!対するは…元、英、雄、王っだ!!』


 歓声が走る…これが…俺の守ってきた国だと言うんだから笑えるな。

 だが、やるからには死ぬ訳には行かない。残してきた仲間達の為にも。


『死合開始だー!!』


「隻腕?悪いが、勝たせてもらう」


 開始早々、隻腕の剣士はあっという間に距離を詰めて俺の懐に飛び込んでくる。

 剣と剣がぶつかり合う音が耳を貫く。


「英雄王、アンタと出会えて光栄だ」

「それはどうも」

「本当なら別の所で会いたかった」

「あぁ、全くだ。片腕なのにこの強さ…君なら国を導けるだろうに」

「生憎、もうこんな国なんてどうでも良いんだ」

「それには同感するが…俺にはまだこの国でやらなきゃイケない事があるんでね」


 鍔迫り合いの最中の会話、その間決して力を抜いていた訳ではないが、この剣士の力量が測れない程の強さがある。


「剣では互角…ならば」


 一度距離を取り、光魔法の一つである数十本の光の矢『ホーリーペイル』を放ったが、炎の壁に阻まれて届いていないように見える。


「いきなり魔法とは…俺のも食らえ『ファイアブレット』!」

「速いっ!『ゲレルシルト』」


 剣士が放つ炎の弾丸に対し、俺は光りの防壁を展開させて防ぎきった。


「その防壁、いつまで保つかな『プロクスプリズン』」


 全方位の防壁を炎魔法が覆い尽くし、徐々に

 ヒビが入り始めて熱気が中を満たしていく。


「解除したら一瞬で丸焼けか…それなら吹き飛ばしてみせる『セイクリッドレイ』」


 防壁を解除すると同時に、自分を中心として光りの柱を立てて炎の牢獄を打ち消すことに成功する。


「流石は英雄王だ」

「君も相当やるな」

「嬉しい事を言ってくれる…が、そろそろ勝たせてもらう」

「それはこちらのセリフだ」

「『フレイムタン』!」「『リヒトラミナ』!」


 互いの振るった剣先から放たれた炎と光りの刃は打ち消し合い。


「纏え『カロルエンチャント』」


 剣士は炎を付与させた剣を構え駆け出し、俺は天に振り上げた剣に。


「薙ぎ払え『ライザースパーダ』」


 空高くに延びた光りを収束させて振り下ろした。

正面の観客席諸共地面を斬り裂き土埃が上がる…剣士は?終わったのか?


「ッ!」

「おし…かったな…」


 胸元に熱さと痛みが走った…此奴は半身を失いながらも剣を突き立てたんだ。


「よもや…これ程とは…」

「互いに…な」


 燃え盛る俺は、倒れ行く剣士を見ながら思った…正義などかざした所で神の手のひらからは離れられなかったか、と。


『これは大判狂わせだ!!両者同士討ち!誰が予想出来たのだろうか!我等の無敗の剣士も英雄王も剣闘虚しく逝ってしまったー!!命有っての物種だと言うのに!実に惜しい!!えー、会場の一部が破壊されてしまったが、次の死合に参りましょう!!』





『魔法』

 この世界には、保有する魔力を消費して適合する魔法を使うことが出来る。

 種類は攻撃魔法、防御魔法、補助魔法、デバフ効果魔法、武器付与魔法があり、慣れれば詠唱は不要。

 経験と魔力さえあれば誰でも上級魔法も修得可能だが、上級魔法を扱えるだけの魔力が満たないのが一般的。



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