12 終結〜テラニウムドラゴン〜
転移者、30歳、男
前世の死因、事故死
ギルド宛に領主街が滅んだと、通信魔導具で知らせを受けて駆り出されることとなった。
魔物兵の軍団は隣街へ移動している最中だとかで、その侵攻を阻止すべく相棒のジルコートこと『銀了竜』の背に乗り飛翔する。
「あそこにはアーティファクトもあっただろ。それを一夜にして滅ぼす力なんて嫌になるな」
「本当に…私達だけで平気かしら?」
「何を言うてるんだ、私達じゃなくジルだけが頼りだ」
「まったく、主にも働いてもらうから」
「足手まといにならない程度には立ち回るよ」
夜も明けて太陽の日差しが平野を照らした頃、まるで日が届かない影が落ちた真っ黒に染まったソレ等の軍勢が行進しているのを視界に捉えた。
「カオスレギオン…」
「知ってるのか?ジル」
「えぇ。混沌を理解する者だけが喚び出せる召喚獣よ」
「あれで召喚獣なのか…あの禍々しさは異常過ぎる。イケるか?」
「魔法も物理も効きにくいけど、一点集中で焼き払うわ」
「流石ジルだな。頼もしいぜ」
「世辞は終わってからにしてちょーだい」
軍勢の前に降り立ち、ジルの背から降りると同時に、光属性のブレスが真正面の魔物兵を焼き払っていく。
一直線に薙ぎ払われた数百余りの魔物兵を見て、魔法効きにくいんじゃなかったのかと思っていた。
「主、あそこに召喚主がいるわ」
ジルが首を向ける方を見ると、守られるようにして一人の女性が此方を睨んでいる。
「アイツが!?普通の子じゃないか」
「精神が普通じゃないのかも。道を切り拓くから行って」
「了解だ!」
彼女を守らんと、再び前面に展開する魔物兵にジルのブレスが炸裂していく。
次々と数が減っていくものの、まだまだ数えるのはしんどいが、召喚主への道は出来た。
俺はもう一体の召喚獣の力である武器召喚を行い、複数の剣を宙に舞わせて駆け出していき、前方の数十体を斬り伏せようとした。
「硬ってぇなおい!」
そう、硬すぎて斬れないのだ。
ならば力でねじ伏せるまでと、舞わした剣で押し退けて前へ前へと、やっとこさ召喚主の姿を拝めたけど…
「なんて悲しい顔をしているんだ」
「…」
今にも泣きそうな表情を浮かべる彼女に少し躊躇してしまったが、殺らなければこの軍勢をまた産み出されるという思いが勝って手にした剣で胸元を貫いた。
「次は…生まれてきたく…ない」
その言葉に息を飲み応えた。
「自分を悪だと思うな…君も世界の犠牲者だ。その事だけは忘れないでくれ」
彼女が息絶えると、光りの粒子になって次々と魔物兵が消えて行く。
別のカタチで出会っていれば…この世界に存在する理不尽に抗う仲間になれたかもしれないのに。
「終わったわね」
「あぁ。あまり良い気はしないんだがな」
「弱さは強さでもあるのよ。あの子は力を求めて身を滅ぼした…それだけよ」
「相変わらず慰め上手だな。ありがとうジル」
「………どういたしまして」
『テラニウムドラゴン』
召喚獣
体力S 攻撃力SS 速力SS以上
全長18メーター、前脚のある西竜に分類される六枚の翼を持つ白銀色のドラゴン。
銀了竜とも呼ばれており、その種はジルコートと名を持つ個体しか確認出来ていない。
光魔法と高速戦闘を得意とする。
『武器召喚[シュヴェーラ]』
召喚獣の力の一部を借りて複数の剣を顕現させ、宙を舞わせて自在に操る事が出来る。
種類は、幅広のバスターソード、クレイモア×2、極東刀×2、レイピア、片手剣となる。




