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夢幻への再臨  作者: 柴光
13/55

13 狙撃兵〜サージェント〜

転移者、45歳、男

前世の死因、自殺

 




『マティアス』…少し前までは、まさかこの年でロボットに乗れるなんて思っていなかったんだ。

 まともに動かせる奴がいないってもんだから試しに乗ってみたら思ったより操作が楽で驚いた。コイツ…動くぞなんて口に出したりして。

 まぁ、大抵がオート化されてるから仕事で建機を操縦してた身からしたらわけもない…筈だったんだよ。

 隣国との戦争が激化するまでは。


「敵機械兵来るぞ!!」

「三機…まずは先頭の奴をやる」


 魔法があるだけで戦争そのものは中世レベルの中で、機械兵は異質な存在にも関わらず、相手さんは三機も導入して来やがった。

 こちとらスナイパータイプの後方支援機だぜ?殺られる前に殺るしかないじゃないか。

 先頭の一機に照準を合わせて引き金を引き、直撃を確認すると、すかさず次の目標へ銃口を向ける。


「…ヨシ、二機目撃破」

「油断するなよ、後一機残ってるんだからな」

「分かってるって」


 複座式じゃないのにこの狭いコクピットに乗り込んできたコイツは一応指揮官なんだけど、無能故に誰も言う事を聞かないので昔馴染みの俺が面倒を見てやってる。


「片付いたな、よくやったぞ」

「うるせーな。お前も働けよ」


 最後の一機を破壊し、後は魔法使いと召喚士の部隊に残りの歩兵相手を任せようとしていた時、突如として警戒アラートが鳴った。


「なんだ!?まだいるのか!」

「お、おい何か光って「ゔぁーっ!!」」


 撃ち抜かれた…狙いが逸れたのかワザとなのか分からんが左肩をヤられて腕が吹き飛ばされてしまった。

 後ろを振り返ると、指揮官は頭をぶつけたらしく血を流してぶっ倒れている。


「クッ…ビーム!?何処からだ…何処から撃ってきた!?」


 まだ生きてるメインカメラを最大望遠で光った方へと向け、スナイパーライフルを構えた灰色の機体が見えるのと同時だった…二発目が腰部へと直撃し、マティアスは後方へ倒れ込んでだ。

 手の震えが止まらない、これが狙われる恐ろしさ…やっぱ俺の仮初めの技量じゃたかが知れてたんだよ…

 ビービーと鳴り響くコクピットを後に、外へと這いずり出て確信した。


「俺も同じ恐怖を与えていたのか」と…


 三度放たれたビームは外される事なく俺を蒸発させた。

 熱く…ない?そうか、熱さなんて感じるわけないか。肉体なんて一瞬にして消し炭だもんな…あぁ~あ、軍になんて関わらなきゃ良かったぜ。

 二度目の人生…もう少し生きたかっ…た




『ザザ…敵狙撃型機械兵の沈黙を確認』

『ザ…ご苦労。次なる目標は敵術者及び召喚獣だ。一掃しろ』

『ザザ…了解』


 マティアスを撃沈させた敵機械兵は、後方にいる術者達へその引き金を引き、一撃で何十もの人間が蒸発していく。

 今回の戦闘は、これ以上の継続は不能だと白旗が上げられて隣国側の勝利で終わりを迎えた。

 死者257名、負傷者580名、捕虜74名、激戦区とは程遠い南端では異例の数を出し、後に付近の街は隣国の支配下に置かれる事となる。





『MMAS-008sc マティアススナイパーカスタム』

 アーティファクトの一種、全高11メーター。

 旧式の機体を引っ張り出さなければならない程に切迫した頃に、実戦で使えるよう遠距離後方支援機として改修され投入された一機。

 各種センサーの強化と超望遠カメラ、専用のEスナイパーライフルを装備し、そのままでは出力の関係で撃てなかった為に、バックパックへ後付けのエネルギータンクを増設した。

 近接戦闘用にヒートナイフも装備していたが、現代では失われている。


『BA-25-j サージェント イェーガータイプ』

 アーティファクトの一種、全高10メーター。

 マティアスやバルディエルを所有する国連と敵対していた帝国の機体。

 サージェントは、作戦内容に応じてバックパックの換装を行い、一機で様々な戦略が可能となっていた(今では技術と設備の問題で換装が行えない)。

 この狙撃型のイェーガータイプもその一つで、重力化での飛行能力に加えて小型のEパックを数個配置し、装備している荷電粒子スナイパーライフルの電力を補っている。

 威力はエネルギー式より高い数値が出ているが、大気の影響を受けやすい為に照準にブレが生じてしまう弱点がある。

 その他武装に、左腕部展開式超高速振動ブレードが備わっている。

 型式のBAは[Brisk Armor]の略。


『BA-19-f クリーガァ』

 全高14メーターの機械兵、マティアスに撃ち抜かれた三機。

 Eマシンガンと腕部に小型のシールド、背部にメインスラスター一基という旧式故にシンプルな設計となっている。

 もちろん飛ぶ事も出来ないし、重量を軽くする目的で装甲も薄い。そのくせ遅い。

 次期主力機が量産体制に入ると、即座にお払い箱となったパイロットから嫌われた機体。

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