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川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§3.施工事例その1 石田邸
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たらい回し

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


部長から、心当たりについて問い質されたが、まったくわからない、と返した。


「相手の石田さんも、川島本人と直接話がしたい、と言ってきているんだがな。」


()言われましても…。」


多分、絵島があちこちに広めた所為だろうが、この場で、心当たりの根拠を伝えても、ふざけた話、としか取られないだろう。他に、部長を納得させられるような話は、思いつかない。思いつかないのであれば、知らぬ存ぜぬで、黙秘権を行使するしかない。


「詐欺とかじゃないんですか?断りましょう。」


とにかく、()()()()()


()()()()()()なものは、基本的に、()()()()()。そう決めている。


それにしても、絵島め。


絵島に対し、歯がゆさを募らせていると、部長が困った顔をして、


「そうもいかんのだ。」


「なぜです?」


たらい回しで、電話は、営業部から建築部に回ってきた。


建築部で、最初に電話を受けたのは、事務の()()()()()だった。いくつか受け答えをして、おねえさんは困ってしまった。その時、部内では離席や不在が多く、渡せる先が部長しかいなかった為、部長に渡そうとして、


「あの、部長…。」


「何?」


声を掛けたが、大量の書類を処理中だった部長は、少し、難色を示した。


「部長ー。持ってきましたよー!」


丁度そこへ、金井が、頼まれた書類を持ってやってきた。


「おお、待ってたぞ、金井。すまんが、ちょっと対応してくれ。」


と、事務の()()()()()()()で差した。


「へい。」


書類を部長の机に置いて、受話器を受け取る。


「お電話代わりました。私、五輪建設の金井と申します。ええ。はい。はい。申し訳ありません。川島は、お休みをいただいていまして。はい。はい。そうですか。少々お待ちください。」


保留音のメロディーが、薄っすら部内に流れる。


「部長。石田さんて方が、うちに工事を頼みたいと。それも、川島をご指名で。」


「どんな仕事だ?」


脇目も振らず、書類を処理しながら、部長は金井に尋ねた。


「それが、内容については、川島と直接、話をしてからだと。」


一瞬、間をおいて、


「なんだそれは。どうして川島なんだ。ちゃんと話を聞かないとわからんぞ。もう少し突っ込んで聞いてみろ。」


「へい。」


保留を切り、


「お待たせいたしました。ええ。先ほどお伝えしました通り、川島は休みをいただいておりまして、他の者では…ええ、はい。はい。しかし、ええ、はい。少々お待ちください。」


保留。


「部長。」


「なんだ?」


部長の語気が強まる。


「どうしても、川島でなければ話せないと。川島は、いつ出社するのかと。」


ここでようやく、部長は、手を止めた。


「仕事を請ける請けないは、川島の領分じゃないぞ。」


少し、考えて、


「角が立たんように、断ってくれ。」


「わかりました。」


保留を切る。


「お待たせいたしました。申し訳ございせんが、今回のそのお話は…え?…あ、はい。はい、はい。えっ!?」


金井が、姿勢を正した。


「そうですか。はい、はい。少々お待ちください。」


部長は、異変を感じた。


「部長!石田本部長の、ご親戚の方です!」


「代われ!」


はじめは、そういうコネをチラつかせるつもりはなかった、と石田さんは仰った。石田さんも、まともな社会人だから、自分の依頼の条件が、一筋縄ではいかない、というのを重々承知の上で、なんとか取り次いでもらおうとしていた。しかし、断られそうな空気を敏感に察知し、石田さんとしても、どうしても川島に仕事を依頼したいという、強い想いがあった。そこで、できれば使いたくなかったが、親戚の名前を出したのだという。


「川島。本当に、何も知らんのか?」


「知らないですね。」


川島は、即答したものの、これはもしかしたら、逃げられない()かも知れない、と苦虫を嚙み潰した。

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