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川島式直接排除型除霊工法  作者: いけたらいく
§3.施工事例その1 石田邸
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土禁車

この作品は、フィクションです。作品に登場する人物名・団体名・その他名称などは架空であり、実在する人物・団体・その他名称などとは一切関係ありません。


大ヒットした、走り屋の漫画がある。川島は、その直撃世代だ。


川島の通っていた工業高校では、卒業生の進路の大多数は、進学ではなく就職だった。だからということもあって、卒業を控えた三年生は、誕生月が近づくと、普通自動車免許を取得する為に、自動車学校に通い始める。


三年生の話題は、もっぱら、()()()()()()はどうするのか、何に乗るのか。


人気なのは、例の走り屋の漫画に登場する、スポーツカーたちだ。


川島も、その漫画はよく読んでいたし、スポーツカーに興味がないわけではない。ただ、教習所で、初めて自動車を運転した結果、同級生から、エンスト王と呼ばれるようになった。スポーツカーは、カッコいい。だが、運転が下手な奴が乗るのは、ダサすぎる。


川島は、どの車に乗りたいか、という話題には、お茶を濁すようになった。


スポーツカーは、運転の上手い奴が乗る車だ。


川島は、自分の運転は上手ではない、という評価を下した。だから、スポーツカーには乗らない。


憧れが無くなると、自らのライフスタイルに適合する車を選ぶことになる。


愛車遍歴は、その都度、ライフスタイルに合わせてきた車となっていく。そのうち、選ぶ車が、コンパクトカーになっていった。


通勤の他にも、趣味であちこちへ車で出かける。走行距離を考えれば、燃費のいい車がいい。川島は、高給取りではない。現場へは、自分の車で通うことが多い。現場は、大通りに面しているとは限らない。狭い路地を走ることもある。だから、小回りの良さが重要になる。独り者で、彼女もいない。親は親で、車を持っている。誰かを乗せることはない。4人か5人乗りで十分だ。荷物を運ぶことがあるから、トランクに載らない分を、後部座席に載せる。だから、2シーターはダメだ。高速道路を利用して、遠出することがある。軽自動車では不安だ。


ライフスタイルに合わせれば、コンパクトカーがベターだった。


というのは、後付けだ。


真実は、ちょっといいな、と思っていた女の子が、


「小さい車から、大きな男の人が出てくると、()()()()()()する。」


と飲みの席で言ったのが、キッカケだ。


川島は、どこかでギャップ萌えを狙っている。諦めたとはいっても、モテたいという欲は、完全には消え去らない。


男が何かをはじめるきっかけは、大体、()()()()、だ。


以上のことから、川島のスポーツカーへの執着は、ないに等しい。ゼロではない。所有は無理にしても、何千万もするスポーツカーに、一度は乗ってみたい。しかし、川島の体は、スポーツカーに乗るには、大きくなり過ぎた。コンパクトカーでも同じことだが。公道で出せる速度が限られているとはいえ、スポーツカーの本分として、早く走る為には、軽量化が必須だろう。川島は、自身の軽量化をする予定は、ない。


それに、まだ、川島は、自身の運転技術を、上手と認めていない。スポーツカーは、運転の上手い奴が乗る車だ。だから、運転の下手な自分が乗る車ではない。


しかし、運転は好きだ。目的もなく、ぶらっと、どこかにドライブするのは、好きだ。遊覧船のように、適当に走りながら、仕事に関する考えをまとめる。()()()()()()()()()自分だけの空間に籠り、しかし、じっとしているわけではない。とても心地良いのだ。


その聖域に、無断で踏み込んできた。


縄張り意識の強い川島の聖域に、断りもなく、入った。


あの()()()が、土足で踏み込んできた。


許されようか、いいや、許されない。


次に現れたら、とっ捕まえて、トンネルの中へ放り込んでやろう。


そう川島は、決意した。

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